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スリッパから感じること|笹井清範の「本日開店」

小学生になるとき、学習机を与えられたあなたに質問です。
いま、その学習机はどこにありますか?
次の5つから選んでください。

① 今も愛用している
② 誰かに譲った
③ 実家にある(はず)
④ いつの間にかなくなっていた
⑤ 粗大ゴミとして捨てた

①という人はほとんどおらず、②か③も少なく、多くは④か⑤だと思われますが、いかがでしょうか。
私の場合は③でした。
実家を出るとき置いたままで、そのまま置き去りです。

子供じみたデザイン、過剰な収納や照明といった不必要な機能が付いている、重くて場所をとるなど、その机を手放した理由はさまざまでしょう。
大量生産、大量消費が美徳とされた時代は、それが当たり前でした。

そんな学習机の在り方に疑問を持ち、‘一生使える学習机’をつくった商人がいます。
長野の善光寺門前通りに店を構える松葉屋家具店の瀧澤善五郎さんです。

「学習机は子供が初めて持つ自分だけの空間、居場所かもしれません。その前に座るのが楽しみな机であってほしいと誰もが考えます。とはいえ、その後、残念ながら多くの学習机が飽きられ、置き去りにされ、いつしか捨てられています。その子の価値観を醸成する大切なものであるはずなのに」

そう考えた瀧澤さんは、樹齢100年以上の天然広葉樹、飽きのこないシンプルなデザイン、塗装には亜麻仁油と蜜蝋、接着剤にはニカワと自然由来の素材を使った学習机をつくりました。
同店の商品開発の思想を込めた一品です。

そうしたものづくりの思想を、松葉屋家具店ではニュースレターなどを通じて伝えています。
ここで紹介したいのは、入り口に置かれたスリッパです。
同店ではお客様との物理的、精神的距離を縮めるため、靴を脱いで入店してもらうように変えたそうです。
目の前にあったのは革製のシンプルなスリッパでした。

このとき、置かれているスリッパが化学製品でつくられているものだったら、お客様はこの店の主張を信じるでしょうか。
否。
繰り返しますが、神は細部に宿ります。
自身が商いをする世界観をいかに伝えるか。
スリッパ一つが大切だと知った取材でした。
2月1日発売、商業界3月号で松葉屋家具店さんのものづくりと商いの精神と技術を取材しました。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12344808819.html

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第9回目を迎えた商業界POP大賞の選考を、おかげさまで数多くの応募作品と共に終えることができました。
その数、953作品。
一つひとつの作品に込められた情熱と時間、そしてその総量を思うと、厳かな気持ちになります。

応募くださった皆さま、本当にありがとうございました。
皆さまがつくったPOPの先には、良い商品に出合え、それによって得られたお客さまの喜びがあることでしょう。
それは単に、モノがたくさん売れたという現象にとどまらず、家族の団らん、恋人や親しい人の笑顔など“幸せな未来”をたくさん生み出されたことと思います。

商業界創立者、倉本長治は、商店をこう定義づけています。
POPもまさにそうだなーーこれがPOP大賞の審査を終えた私の思いです。

商店とは、大衆に生活を幸福にするために必要なものを売る神聖な場のことだ。だから、常にきれいで、楽しく、うれしさに満ちていなくてはならぬ。嘘や不信が少しでもあってはいけない。そこにあるものは愛と真実でいっぱいであるのが本当だ。

数多くの愛と真実をありがとうございました。
発表は12月28日発売の商業界2月号となります。
山口茂さん、中山マコトさん、増澤美沙緒さんというPOPと伝えることのプロフェッショナルが厳選した20作品ほどをお届けします。

それに先立ち、ここでは商業界POP大賞番外編として、一つの作品をご紹介します。
それは、冒頭でご覧いただいた一通の封筒です。
作品を入れて届けられる封筒はもう一つの作品。
多くの封筒に、ちょっとしたメッセージが添えられており、それを見るのが私たちの一つの喜びです。

そこで番外編として、愛にあふれる封筒を一点選ばせていただきました。
ありがとうございます。
POPはもちろんチラシ、DMなど販促物の本質は売ることにはなく、それを目にした相手の笑顔の創出にあります。
一枚の封筒がそれを教えてくれました。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12332215122.html

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商いの目的とは何でしょうか。
商業界創立者、倉本長治はかつてこのように定義しました。

世の中の、およそ善とされる事柄のほとんどすべては、金儲けとは縁が遠い。
ただ、正しい商売のみが善と一致する。

商いの目的とは、関わる人たちを幸せにすることにあります。
本日発売の商業界2月号の巻頭特集「真の商人はキレイごとで飯を食べる」では、事業を通じて社会課題を解決しようとする3人の商人を取材、その理念と実践を紹介しています。
客よし、店よし、社会よしという三方よしに加え、次の世代をおもいやる“未来よし”の追求こそ使命と考える彼らは、いかに善と儲けを一致させようとしているのでしょうか。

また、生産者・メーカーという“作り手”と、生活者・消費者という“使い手”の間に立ち、 “伝え手”である商人として両者の最適・最善のつながりを生みだす技術、作り手の価値の伝え方、使い手のニーズの汲み取り方を取材しました。
そこには、作り手へのリスペクトと共栄の思想、使い手の暮らしを豊かにしようという熱意がありました。

一人目は “工場直結ジャパンブランド”を旗頭とする衣料品・服飾雑貨店「ファクトリエ」を展開するライフスタイルアクセントの山田敏夫さん。
日本の小さいけれど優れたメーカーによって作られた商品には「語れるもので、日々を豊かに。」というコンセプトが貫かれています。

二人目は“ニッポンのモノヅクリにお金を廻す”をミッションとする生活雑貨・加工食品店「日本百貨店」の鈴木正晴さん。
日本全国からものづくりにこだわった職人の手による良品を集め、そのセレクトによって独自の価値観を創出しています。

三人目は“世なおしは、食なおし。”をミッションとする食べ物付き情報誌「東北食べる通信」を発行する東北開墾の高橋博之さん。
東日本大震災後の2013年、疲弊する東北の生産者の価値を伝えようと始まった事業はいまや国内39地域、そして海外へも広がっています。

買物の本質とは、単なる経済行為ではありません。
商人の哲学に対する信任行為であり、お札とは良き商人を選ぶ投票券です。
お客は商人に誠を求めているのです。
そして、それはあなたと無縁なことではありません。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12332813039.html

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昨日届いた二つの宅配便。
それらは共に注文していた商品でした。
一つは店舗で試着して注文した商品。
一つは毎月異なる商品が届く定期購入品。
これら二つには、その買物の満足感を本質的に高める共通点がありました。

“工場直結ジャパンブランド”を旗頭とする衣料品・服飾雑貨店「ファクトリエ」。
その店名は英語のファクトリー(工場)と仏語のアトリエ(工房)に由来しています。
どの商品にも根底に「語れるもので、日々を豊かに。」というコンセプトが貫かれています。

届いた荷物を開けると、店舗で試着したカーディガンに二つの手紙が添えられていました。
共にプリントではありますが、丁寧に記された手書きです。
一つは、伝え手であるファクトリエ店主の山田敏夫さんからの近況報告。
ファストファッションの国、アメリカでは昨年、5兆円分の未使用の服が廃棄されていることが触れられていました。
もう一つは、作り手である日本有数のニット産地、新潟・五泉のニットメーカー、川島の代表、川島幹生さんからのメッセージ。
長年培った技術と努力がこの商品に注いでいることを伝えています。

“世直しは、食直し。”をミッションとする食べ物付き情報誌「食べる通信」は、2013年、東日本大震災後、疲弊する東北の生産地と作り手の価値を伝えようと始まりました。
食を通じて地方の生産者と都市の生活者を“かき混ぜる”ことで、双方を豊かにしようという理念が共感を呼び、今では全国39地域に広がっています。
丁寧につくられた生鮮品には、作り手と使い手をつなぎ、費やして消す者だった消費者を、活かして生きる者である生活者に変えていこうというビジョンが流れています。

届いた荷物を開けると、カラー16ページのタブロイド判雑誌「東北食べる通信」と、今月号特集テーマ、山形県高畠町の中川吉右衛門さんと美花子さんご夫妻がつくった玄米3合。
誌面には、玄米の炊き方、編集部が選んだおにぎり9選、中川吉右衛門さん流自然栽培を抑えて、お二人の馴れ初めから駆け落ちの物語が巻頭を飾ります。
その物語を読むうちに、読み手は中川さんの米づくりに対する覚悟と信念を知ることになるのです。
「食べる通信は単に特産品の定期販売事業ではありません。作り手のライフストーリーと共に、食べものをいただき、ごちそうさまを伝える――という作り手と直接つながる取り組みなのです」と創立者の高橋博之さんは言います。

お客様が求めているのは
商品ではありません
商人の人間としての
美しさを求めています

これは商業界創立者が伝え続けた商いの心。
“美しさ”とは他者を思いやる心であり、志です。
ファクトリエと食べる通信――この二つの取り組みに私はそれを見ます。

いま、しばしばメディアでは「消費はモノからコトへ」と言われます。
しかし、勘違いしてはなりません。
確かなモノだからこそ、体験に値するコトがあり、語るべきモノガタリがあるのです。
この秋いちばん冷え込んだ今朝、私がファクトリエのカーディガンに袖を通し、お弁当に東北食べる通信の玄米を詰めたことを、この一文の締めくくりとします。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12326018960.html

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「つくりたてをお渡ししたかったし、お客さまと顔を合わせる商売がしたかったから、でしょうかね」

ピーク時には売上げの7割を占めていた通信販売を3年前にスパッとやめた理由をこう語るのは、ガトーショコラの名店「ケンズカフェ東京」の氏家健治シェフ。
東京・新宿御苑前、表通りから一本入った静かな通りにある店ではスタッフたちが、この店唯一の商品、一本3000円のガトーショコラを一つひとつ手づくりしていました。

イタリアの最高級チョコレートの老舗「ドモーリ」創始者、ジャンルーカ・フランゾーニ自らが調合したチョコレートを、世界で唯一使用したガトーショコラは小麦粉を加えず、チョコレート本来のコク、甘味、苦味を三“味”一体で楽しめる人気商品。
2016年には食べログの全国チョコレート店ランキング第1位、2017年には食べログのスイーツ百名店に選ばれています。

そんな同店が売上げの柱であった通販をやめて、どうなったのでしょうか。
「当然、売上げの減少は覚悟した」と氏家さん。
それでも、自分の納得できる商いを選んだのです。

そこで、わざわざ来店くださるお客さまのために、より美味しく価値あるガトーショコラを提供しようと、さらに原材料と製法に磨きをかけ、できたてにこだわりました。
久しぶりに訪れると店内には香り高いチョコレートの匂いが満ち、持ち重りするガトーショコラの小箱からはできたての温かみが伝わってきました。

2.5倍。
通販をやめ、店売りと銀座と池袋の2つの百貨店のみに顧客接点を絞ったところ、販売本数は減るどころか、2.5倍へと伸びたのでした。

小さく狭く、そして濃く深く徹すると、そこに他にない価値が熟成されていくーー商業界11月号でお伝えしている筋肉質の商いが、ケンズカフェ東京にありました。
氏家さんには近々、あらためて小誌に登場いただきます。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12317402847.html

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もはや「食のテーマパーク」というべき東京駅。日本各地はもちろん、世界の“食”が食べられ、買えます。これほどの食の商業集積は世界でも類を見ません。

そこに新しく開業した商業施設「グランスタ丸の内」の核店舗「EATALY(イータリー)グランスタ丸の内店」を見てきました。
イータリーは2007年にイタリアのトリノで誕生、「Eat Better, live Better」をコンセプトに、いまやイタリアに23店、世界に38店を展開しています。その特徴は「食べる、買う、学ぶ」が一堂で体験できる食物販とレストランの融合にあります。

店舗面積は約450平米で、レストラン座席数80席、カフェ座席数30席。店舗面積構成比は食物販60%、レストラン40%。売上構成比は食物販50%、レストラン50%を運営会社は想定しています。
食べる(Eat)レストランエリアではオープンキッチンを採用し、パスタ、ピザ、魚料理、肉料理、サラダなどを提供。買う(Shop)マーケットエリアでは約600種類の商品を販売、店内のほとんどの商品はイタリアからの輸入商品とのこと。

いずれも生産者がこだわり抜いた商品であり、単に陳列しているだけでは売れない商品が大半。そこで実際に味わい、体験してもらうことが重要となり、レストランでの食べる体験を重視しています。店内各所に試食コーナーが設けられ、主力商品のワイン、チーズ、生ハム、オリーブオイルなどを説明を受けながら試食できます。

試しにオリーブオイルの試食をしてみました。好みの味を伝えると、スタッフが3つの商品を選んでくれ、産地、生産者、製法、味の特徴、加えて本人の感想を説明してくれます。その説明ぶりが見事だったので、彼女も愛用しているという一本を買いました。

学ぶ(Learn)では、イタリア食文化と伝統が実感できる「学び」の場を提供します。売場ごとにワインの試飲方法、オリーブオイルの使い方、パスタとソースの相性、オリジナルカクテルの作り方など、イータリーの食材をより楽しむための知識をPOPで伝えていました。

そのほか、お客と生産者をつなぐ試みとして、ワインやチーズなどの生産者やインポーターを招いての試食・試飲会セミナー、イタリアの料理を自宅でも楽しめる料理教室や、大人も子どもも楽しめる食育教育を定期的に開催するといいます。

わたしが初めてイータリーを体験したのはニューヨークでのことで、そのときの驚きをいまでも憶えています。物販とレストランの融合、その場でつくられるライブ感、売り手と買い手のコミュニケーション、そのいずれかが欠けても同点の魅力は大きく減るでしょう。

日本のイータリーが今後どうなるか、そのポイントは「学ぶ」点の成否にあると思います。商業において「学ぶ」という行為の重要性はますます高まっていくでしょう。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12309115206.html

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『文庫X』をご存知ですか。
昨年7月、岩手・盛岡市の一書店が、ある文庫本の表紙にカバーを掛け、書名と著者名を隠して販売した企画です。
売場の一部でスタートした小さな試みでしたが、興味をそそられたお客が続出、4カ月半の販売期間で5034冊売り上げました。
ピーク時には1日に206冊、1カ月で1713冊と、一書店では考えられない販売実績を記録しました。
さらに、この企画は全国の書店にも波及し、650以上の書店で『文庫X』現象が巻き起こり、結果30万部を超えるベストセラーとなったのです。

「企画」と書きましたが、企画ありきで行われた単なる販促手法ではありませんでした。
「企画ありきで本を選んだのではなく、この本を多くの人に読んでもらうためにはどうしたらいいか考えた結果、中身を隠して売ることにしたのです」と、同店の文庫担当であり発案者の長江貴士さん。
モノを売るための販促ではなく、価値を伝えるための伝道ーー『文庫X』の本質はそこにあります。

『文庫X』現象の現場、さわや書店フェザン店を取材すべく、盛岡を訪れました。
JR盛岡駅ビル内に店を構える同店は、いつも地元客と観光客でにぎわう繁盛店。
全国各地で見慣れた“駅ナカの本屋”というイメージを超越した、本と情報、そして人が集う“知”のテーマパークでしたね。

「一人の書店員が出合える本には限りがあります。すべての本に平等に情熱を注ぐことは不可能です。だからは、本屋の数だけ、書店員の数だけ、違う売場があるのだと思います」
こう語るのは、さわや書店フェザン店の田口幹人店長。
同社は岩手・盛岡市を拠点に書店10店、雑貨店など2店を展開、フェザン店はその一番店です。
『文庫X』現象の震源地として名を馳せましたが、同店は出版業界では以前から「ベストセラー製造工場」「北の仕掛け人」として知られる存在です。

「横にある本が違うだけで、一冊の本は違う顔を持ちます。その違いは、書店員の蓄積とアンテナの高さから生み出されます。本屋は置かれた環境で店も変わります。本屋は、本を棚に並べて終わりではないのです。読者であるお客さまの手元に、本が届いて初めて完結します」と田口店長。

確かに、同店の「売場」は異形です。
入り口付近の一丁目一番地には、普通の店なら全国共通の売れ筋や新刊が面陳列されるところですが、同店では「岩手の魅力再発見してみませんか?」というPOPを従え、地元関連・郷土本が並んでいます。
さらに、そこには「なぜ今この本を陳列するのか」という主張が添えられているのです。

こうした“熱さ”は売場全体に及びます。
各コーナーそれぞれがPOPを媒体に激しく主張し、そこに並べられる本は他店では目に留まらないものばかり。
いえ、たとえ知られた本でも、饒舌なPOPが添えられていると、ここだけの特別な一冊に感じられるのです。

「ただ、ここで忘れてはいけないのは、けっして独りよがりにならないこと。自分たちの満足のためにやるのではありません。あくまでもお客さまのため。したがって、『この本をお勧めするのは本当に今なのか』ということを、理解していなければならない。もっといえば、店にやってくるお客さまのことを、きちんとわかっていないといけないのです」(田口店長)

ついつい個性豊かなPOPに目を奪われがちですが、フェザン店の真価は「この本をあのお客さまに出合わせたい」という熱意に満ちた品揃えであり、長江さんのような価値を伝えようと試行錯誤をいとわないスタッフにあります。
『文庫X』はそうした土壌から生まれた可憐な花の一つなのです。

その詳細は、9月1日発売、商業界10月号をお待ちください。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12304023714.html

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「お客様と何度も何度も試食をして、とっても美味しい茎みょうがのピクルスができました」
早稲田大学に隣接した商店街にあり、産地直送の生鮮品から調味料などを扱う食料品店「こだわり商店」の店頭には、いくつかの「お客様と~」で始まるPOPがあります。
それは、お客さんと一緒に商品を開発していることの証なのです。

その一つが冒頭のみょうがの茎のピクルスです。
きっかけは店主の安井浩和さんが高知県を訪れた折、道の駅でみょうがの茎が山積みで売っているのを見つけたことでした。
東京では見慣れない食材に、どう食べればいいのかを尋ねたところ甘酢漬けにするとのこと。
しかし、各家庭で漬けるのが一般的で、甘酢漬けとして商品の販売はされていませんでした。

そこで安井さんは地域で一番腕の立つつくり手に商品化を依頼しました。
後日、届けられた試作品をさっそくお客さん30人ほどに試食してもらいました。
すると予想に反して「甘すぎる」と大不評となってしまったのです。
高知県では求められる味が東京では通用しないことに、安井さんが驚きと面白さを感じた瞬間でした。

そこで今度は、お客に試食してもらうたびに「どう改善したら、あなたが買いたい商品になるか」を徹底的に聞き込みました。
味だけでなく、価格、商品パッケージの形状、消費期限まで幅広く意見を求めたのです。

さらに、そうしたお客さんからの情報を包み隠すことなく生産者にフィードバックしました。
すると、大不評だったことには悔しがりこそしたが、消費者の正直な意見を聞きながら商品化に向けて試作を繰り返してくれたのです。

安井さんは、さらに幅広い意見を聞こうと、青果店を経営する4人の仲間で100人ほどお客さんの声を集約。
度重なる試作と試食を繰り返すこと約4カ月、とうとう納得のいくみょうがの茎ピクルスが完成しました。
このように、商品ができ上がる過程を一緒に体験したお客さんが、完成品に強い愛着を持つことは必然です。
結果、クチコミによる広がりも著しく、他にはないオリジナル商品として年間販売数は1000袋となりました。

ヒット商品の芽は
お客との会話にあり

もっとも、お客と一緒にオリジナル商品を開発したとはいえ、すべてが簡単に売れるわけではありません。
「失敗は山ほどあります。でも、売れる努力は必死でします。クオリティの高いオリジナル商品をつくってもらったのに、『売れなかった』のひと言で一度きりで終わらせるのは失礼です。生産者のプライドを傷つけないためにも売れる商品に育てていきます」

15坪ほどの小さな店ゆえ、販売数はそれほど多くはありません。
それでも生産者側はこだわり商店への協力を惜しみません。
それは、同店と一緒に商品開発をすると「お客の顔が見える商品」ができ上がるからにほかなりません。
それゆえ、同店で提案し開発した商品は、生産地の道の駅などでも大きな需要が生まれ、売上げを伸ばしている実績があるからです。

このように、安井さんは今までお客になんでも相談してきました。
2007年の開店当初、店の目指す方向性に迷いが出たときもどうすればいいか聞いたそうです。
そのとき、「私、この商品が好き」という声を集めることで、他に代えがたいオリジナリティあふれる店へと成長してきたのです。

「店とはお客さまの希望を叶える場所。お客さまと共に成長する店でありたいですね」
そう語る安井さんは、お客一人ひとりと会話を交わすことにより、今日もヒット商品の芽を見つけているのです。

詳細は明日8月1日発売の商業界9月号
東京・谷中、一日千杯ものかき氷を販売する「みひつ堂」の人気商品、いちごみるくが表紙です。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
http://ameblo.jp/19660726/entry-12297422055.html

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「デザインで大切なもの、それは言葉なんですよ」
こう語るのは、独特な手書き文体を駆使したデザインで知られるギミック都市生活研究所の小原潔(おばらきよし)さん。
彼を慕う多くのお弟子さんもいるクリエイターです。

「はじめに言葉があった。言葉は神と共にあり、言葉は神であった」
新約聖書のヨハネによる福音書の一節です。
小原さんを取材をして思ったのが、この言葉でした。

小原さんの名は知らなくても、商品パッケージ、地域コミュニティ誌、書籍・ムックなど数多くのデザインを手がけ、あなたもどこかで必ず目にしています。
たとえば、八天堂のクリームパンのデザインなども彼の手によるものです。

実は小原さん、広島の下町でお好み焼き屋さんを営む商店主でもあります。
奥様との約束を60歳にして果たした店は、築60年の理髪店を改装した、昭和感満載の懐かしく、あたたかく、小さな宇宙。
店名は「あたご屋」と言います。

店内に貼られたPOPは思わず目に留め、自然と笑顔になってしまうものばかり。
その詳細は、商業界の人気連載「POPの学校校長の今月の秀逸コトPOP」の著者、山口茂さんの新刊『POP1年生』で紹介しました。

冒頭の言葉は、その取材で得られた彼のPOPノウハウ。
人間が何かを生み出すとき、必ず用いるのが言葉、だからどのようなデザインも言葉をないがしろにしたら人の心を動かすことはできない、と小原さんは言います。
だから、インターネットに頼らずに、現場に足を運び、見て、聞いて、触って、嗅いで、味わうことが大切だと。

小原さんの言葉で、あえてもう一つだけシェアさせていただくのなら、これです。
「デザインとは、その発注者のものであり、それを受け取る人のものです。自分のものと勘違いして“作品”などと称しているクリエイターは二流、三流です」

これはPOPでも、私が手がける雑誌や本でも同じ。
POPなら商品・サービス、雑誌や本なら著者や取材元のもの。
そして、それを伝えたいお客さんや読者のためにあります。
商業界創立者、倉本長治が「店は客のためにある」というのは、そういうことなのです。

小原さん、ありがとうございました。
また、やさしい味のお好み焼きを食べにうかがいますね。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
http://ameblo.jp/19660726/entry-12295607756.html

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東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩8分、早稲田大学に寄り添う場所にある商店街の中ほどに、産地直送の生鮮三品と無添加食品を販売する小さな店があります。
こだわり商店――「お客様の胃袋をつかむ店」をキャッチフレーズとする店です。

若き店主、安井浩和さんとは付き合いも長く、東京・羽村を拠点に本当のおいしさで多くのお客様に愛される福島屋の福島徹さんの元で共に学ぶ仲間でもあります。
ひと回りほど年下の彼は、弟を持たない私にとっては弟のような存在で、たまに会いたくなる人物の一人です。

「商業界9月号」の特集「売るとは聞くこと」の実践事例として登場してもらおうと、久しぶりに店を訪れたときのことでした。

店の前では、青色のハッピをまとった10人ほどの中学生が元気な掛け声を出して売り子さんをしています。
販売しているのは産地直送のヒラメと殻付きホタテ貝。
青森県津軽半島にある外ヶ浜町からやって来た生徒さんたちと海産物です。
東京に修学旅行に来ており、販売体験実習をしているとのことでした。

こだわり商店では、こうした実習を全国から年間20校ほど受け入れているそうです。
彼らは “買う”側から“売る”側へと身を置き、売ることの難しさと楽しさを経験しているようでした。
お客さんはそうした生徒さんたちを温かい目で見つつ、彼らが持ってきた地元の自慢の品をお得な値段で買うことができるのです。

一人ひとりのお客さんと言葉を交わし、品物を渡してお金をもらう――それを一つひとつ繰り返していくと商品は手許を離れ、稼いだお金が重みを持って残ります。
彼らがこうした商いを通じて学べる経験は、これから職業を考えていく上でも、とても貴重なものでしょう。

実習の最後に、安井くんが生徒さんたちにこう言いました。
「短い時間だったけれど、売る側を経験してどうでしたか? お客さんに“ありがとう”って言ってもらえましたか?」
生徒さんたちは高揚した表情で、彼の話を聞いています。

「言われた人はどう思いましたか? とても気持ちよかったんじゃないかな。では、君たちは日ごろの買物でお店の人に“ありがとう”って言っていますか?」
生徒さんたちは、友だちと顔を見合わせ、日ごろの自分を振り返ります。

「ぜひ、これからは“ありがとう”って言ってください。君たちが感じたようにお店の人たちもその言葉に喜びを感じ、もっとお客さんに喜ばれる商いをしようと努力するんです。そんな店が一つ、二つと増えていったらどうですか? 暮らし良いまちになるよね? まちづくりって、そういうことの積み重ねなんですよ」

まちづくりは事業者、生活者のどちらかだけが担うものではなく、共につくりだしていくもの。
その大切なことを彼らが学んだ実習は、未来の大きな投資と言っていいでしょう。
草の根からの地方創生――そんなかしこまった言い方をしたら、おそらく安井くんは笑うことでしょうが(笑)。

お国言葉の愛らしい生徒さんたちから買い求めた、陸奥湾が育んだホタテ貝は新鮮で肉厚、味は濃厚。
おかげで、その日の夕食はこんな具合に豊かになりました。
本当の店は、こんなふうに暮らしを豊かにしてくれるのです。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
http://ameblo.jp/19660726/entry-12290194042.html

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