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公開日:2017年12月12日

副業・兼業の解禁に対する企業の対応

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福田 秀樹氏 (特定社会保険労務士/株式会社福田式経営研究所 代表取締役)

1 厚生労働省の政策転換

厚生労働省は、モデル就業規則の内容につき、副業・兼業を原則不可から、原則容認に切り替えようとしています。これは働き方改革実行計画(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定)で既に決定されていた事です。

副業・兼業は労働基準法等の法律に何ら規定されたものではありません。個別企業の就業規則に多くの会社が「原則不可」と記載し、運用されているという事です。

厚生労働省の政策転換によらずとも、副業・兼業に係る裁判例・学説の傾向は「原則容認」です。

 裁判例や学説においては、

  • ① 勤務時間以外の時間をどのように過ごすかは基本的に労働者の自由であること、また例外的に副業・兼業禁止が可能となるケースとしては、
  • ② 本業への労務提供上の支障がある場合
  • ③ 企業秘密が漏えいするなど企業秩序に影響が生じる場合
  • ④ 信頼関係を破壊する行為がある場合
  • ⑤ 副業・兼業が競業に当たる場合 等が示されている。

厚生労働省のモデル条文は以下のように提示されました。〇〇〇〇には判例・学説による副業等の制約事項とお考え下さい。

(副業・兼業)

第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

  • 2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に会社に所定の届出を行うものとする。
  • 3 第1項の業務が〇〇〇〇に該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

2 企業が困る実務上の問題点と対策

一つ目は、時間外割増賃金の支払い義務です。労働基準法と行政解釈によれば、本業と副業の労働時間は通算して、時間外割増賃金の対象となります。たとえば、こんな事が起こりえます。

本業の始業時刻前に新聞配達のアルバイトを2時間行っていた場合、仮に本業でその日の労働時間が8時間であったとしても、副業と合わせれば、10時間労働となり、本業の会社において2時間分の割増賃金の支払義務が生じてしまうのです。

二つ目は、会社の法的責任・民事損害賠償です。従業員が会社の禁止する副業・兼業を行ったケースであれば、「知らなかった」という弁解はありえます。。しかし「副業解禁」にて、届出・許可申請を受けることを通じて、副業先での労働時間が付加されることによる長時間労働が予見され、会社の安全配慮義務(労働契約法第5条)違反が問題となりえます。

したがって、自社の時間外労働時間と副業先での就労時間を加えて、時間外労働が月間60時間~80時間を超えないよう事前に指導し、もし労働者が想定される時間を超えていると知ったときは、指導注意をする、とてもめんどうな作業が生じます。

副業・兼業は会社の指揮命令で行われるものでなく、個人の自由意思で行われるものです。したがって、副業先で割増賃金の支払い義務を課したり、2社でトータルの時間を常に把握し、その安全配慮義務を会社に課すことになる、現行法の運用はおかしいのではないかと考えます。

特段の労務政策があれば別ですが、就業規則は安易に副業容認型にせず、従来どおりの原則禁止型にしておくべきではないかと考えます。ただし、合理的な理由なく、副業の申請を不許可にし続けると不法行為で損害賠償責任が生じるという裁判例もあるので、申請があれば許可する事も多くなると考えます。しかし、積極的に就業規則にて、副業容認とし、副業を奨励するような行為は慎むべき時期です。規程は変更せずに運用で十分に対応可能ですので早まらないようにしましょう。

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