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公開日:2018年8月22日

緊急事態!施設内で殺人が行われる介護業界の異常

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吉田 匡和(介護ライター)

2018年8月10日、熊本県の介護施設で職員が入所者の女性を殴って死亡させると言うショッキングなニュースが全国を駆け巡りました。従業員が顧客を殺害することなど、他の業界では考えられない異常事態です。近年に起きた事件をまとめました。

奈良県・介護老人保健施設殺人事件

2017年5月10日未明、奈良県内の介護老人保健施設で、入居者の女性(当時94)が、何者かに首を絞められて殺されているのが発見された。午前1時の介護職員の見回りでは異常がなかったが、3時に見回りしたところ、ベッド下に倒れているのを発見。心肺停止していいたため、消防に通報するとともに、看護師が応急処置を行ったが蘇生せず。駆け付けた救急隊員が死亡を確認した。

司法解剖の結果、首を絞められたことによる窒息死と判明した。施設は5階建てで当日各フロアには介護職員1人ずつ配置。看護師1人が巡回にあたっていた。18時以降施錠しておりインターフォンで呼ばなければ外部の侵入は困難であることから、警察は殺人事件として捜査を行っている。

エレベーターが停止していたことや、各フロアへの階段のドアには職員しか知らない暗証番号の入力が必要でした。状況からすぐにでも容疑者が特定されそうですが、真実はまだ明らかにされていません。

岐阜県・介護老人保健施設で死亡・怪我多発

岐阜県内の介護老人保健施設で、2017年7月31日から8月16日の半月のあいだに3人が死亡、2人が骨折などにより入院していたことが明らかになった。県警は施設職員18人から事情を聴くなどして、事件と事故の両面で捜査。県の立ち入りも行われた。

死亡した87歳の女性は、12日午後3時におやつを食べた際に異常は見られなかったが、同4時40分に介助職員が来た時は瀕死の状態だったため、5時35分病院に搬送。折れた肋骨が肺に刺さったことによる「外傷性血気胸」で翌日亡くなった。

理事長は「介助で体を圧迫した際に胸骨などにひびが入り、ベッドから車椅子に移動する時に肋骨がずれた可能性がある」とする一方、「監視カメラもないし、空白の時間に誰かがやった可能性は100%否定できない」と述べた。

93歳女性に関しては興奮状態が続いていたとして、椅子から落ちて頭を打った可能性を示唆し、80歳男性は病死ではないかとの見方を示した。施設関係者によると、死傷した入所者はいずれも認知症病棟の2階におり、当時は職員18人が勤務していた。うち30代の男性職員は5人全員の介助に関わっていたが、17日付で一身上の都合で退職したという。

これほど同じフロアで死亡事故やケガが続く現実を「偶然」と呼ぶには無理があります。状況からすぐにでも当事者が特定さできそうですが、現在も真実は明らかにされていません。

上記の二つの事件は、1年経過した現在も未解決です。ともに密室性が高く目撃者がいないため、容疑者を立証することが難しいことが推測されます。逆に言えば介護施設のセキュリティは低く、内部・外部問わず、容易に犯罪が成立する環境であることが立証されてしまいました。

東京都中野区の大手有料老人ホームで殺人事件

2017年8月21日、大手介護サービスが経営する東京都中野区の介護付き有料老人ホームで、入居者の男性(当時83)が男性介護職員(当時25歳)に殺害される事件が発生した。介護職員は男性を浴槽に投げ入れ、お湯を張って窒息させて殺害。司法解剖の結果、死因は溺死で、首には絞められたような痕があった。

介護職員は当初、「男性の入浴中に別の入居者に呼び出され目を離していた。戻ったら溺れていた」と説明していたが、「22時~翌日4時ごろの間に計3回、男性が布団を汚したことにカッとなり、ベッドで一度首を絞めた」と供述。その後、シャワーを浴びさせるために車いすで浴室へ移動させたが、「浴室内も汚したので、腹が立って浴槽に投げ入れた」と容疑を認めている。

「カッとなってやってしまった」のレベルを超える行為であるうえに、死亡解剖の結果が出るまで虚偽の報告でその場を乗り切ろうとするなど、悪質な行為が繰り返されています。この事件に関して社長名義で謝罪文が公開され、記者会見では「勤務などにおいても遅刻や欠勤などもほとんどない職員だった」と発言しています。

熊本県グループホームでの殺人事件

2018年8月7日、午前0時5分ごろ、熊本市にあるグループホームの食堂で、男性介護職員(49)が入所していた女性(88)の腹部などを複数回殴打。暴行後、女性を居室に連れて帰ったが、午前0時半ごろにベッドの上で意識を失っているのを発見し、自ら119番通報した。

搬送先の病院で体に打撲痕が見つかり、病院が警察に通報。司法解剖で死因は腹部の内出血による出血性ショックと判明した。その後の捜査で施設内の防犯カメラの映像などを確認し、男性介護職員が腹部を殴っていたことが判明した。

警察の調べに対して介護職員は、「女性が死亡したのは私の暴行が原因だと思います」と容疑を認めており、傷害致死の疑いで逮捕した。事件発生当時は当直勤務で、職員2人で20人ほどの入所者をみていた。

ネット上では、暴力行為や適性を非難する一方で、過酷な労働環境を指摘する声や、高齢者介護の難しさへの同情も寄せられています。しかし女性を殴ったうえに、死亡原因が自分にあると分かっていたにもかかわらず、病院が警察に通報しなければ突発的な事故で済まそうとしています。介護が大変だからと言って許される行為ではありません。

どこの施設でも起こりうる

近年、介護職員が高齢者や家族から暴力を受けている実態が明らかになりましたが、一方では介護職員が入所者を殺してしまう事件が起きるなど、介護業界は異常事態です。今回殺人容疑で逮捕された人たちは、犯罪者になるために介護を行っていたわけではないと思います。生きるための仕事、生かすための介護が原因で人を殺めてしまうのは、とても心苦しいことです。

中野区の事件で社長が発言した「勤務などにおいても遅刻や欠勤などもほとんどない職員だった」と言うのが事実であれば、ごく普通の職員が突然悪魔のように豹変することに恐怖を感じます。。個々の適正だけでなく、そうなってしまう背景に目を向けなければ、こうした問題は後を絶ちません。施設管理者は注意喚起をするだけでなく、時には経営方針や利用者や上司、同僚への不満を吐露させるなどメンタルケアに注意し、職場環境の改善にあたってください。

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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