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公開日:2018年8月16日

SOMPOホールディングス新会社発足! 大手の躍進と社会福祉法人の衰退

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吉田 匡和(介護ライター)

2018年7月1日付でSOMPOホールディングスは、有料老人ホーム大手の旧メッセージや旧ワタミなどグループ傘下の介護事業3社を吸収合併して新会社を発足しました。大手の参入が著しい中、これからの介護業界はどのように変わっていくのか。今後の展開を予測しました。

メガ介護・ヘルスケア事業所誕生

SOMPOホールディングスは、2010年に株式会社損害保険ジャパンおよび日本興亜損害保険株式会社が経営統合して設立した、NKSJホールディングス株式会社がベースとなっています。その後いくつもの保険会社などを吸収合併し、2016年10月にSOMPOホールディングス株式会社へ商号変更しています。

2015年12月にワタミ株式会社からワタミの介護株式会社の発行済株式全てを取得して完全子会社化することで介護・ヘルスケア部門を強化。2016年3月には、介護事業を手掛ける株式会社メッセージの株式公開を買付けて子会社化しています。2018年3月期の介護・ヘルスケア部門の売上高は、業界2位となる1,192億円。シニアリビング数は、業界1位の25,500室を誇っています。

自社で人材を育成し定着率の向上を図る

介護福祉士養成校が減少して人材供給の機能を失いつつある中、SOMPOホールディングスは独自に人材育成を行うために、2017年7月に企業内大学「SOMPOケア ユニバーシティ」を開設。各施設の居室や浴室の設備が再現された実習室を使い、入社2週間後、6ヵ月後、1年後など定期的に研修を行っています。

こうした取り組みにより全体の離職率は16~18%と平均的であるものの、新卒の新人については8%台まで減少したそうで、今後は新卒者を増やしていきたい考えです。また国が進める外国人労働者については、コストが高いため積極的な採用は行っていないとのことです。

得意分野を介護に還元

6月にアメリカの介護事業者と提携。人工知能(AI)を利用した介護施設入居者の転倒防止技術の実証実験を始めており、介護施設向けのデジタル技術が日本の介護事業に応用できるかを探るとともに、AIを利用した高齢者の転倒防止技術の実証実験を共同で行うなど、連携を強めています。

学校頼みなから抜け出せない社会福祉法人の新卒採用

資本力とスケールメリットを生かして無敵艦隊のように介護業界を驀進する大手企業に対し、社会福祉法人などが経営する特別養護老人ホームの6割が人手不足にあえぎ、うち1割が利用者の受け入れを制限していることが、福祉医療機構(WAM)の調査で明らかになりました。

新卒者の採用についても57%が「ひとりも採用できない」と回答。採用にこぎつけた施設でも「学校の就職課など訪問(63%)」、「学校での説明会訪問(45%)」、「養成校の教員推薦(43%)」、「資格実習受け入れ(40%)」を有効な方法と回答するなど、学校頼みの採用から脱却できていない様子が浮き彫りになりました。

介護職員が大手に大量流出する?!

介護福祉士養成校は2008年に434校から、2017年に373校に減少。定員充足率が半数を切る傾向にあるため、近年では介護以外の学科から新卒者を採用する傾向にあります。そのため自力での育成が急務であるにもかかわらず、人手不足に陥っている事業所は新人育成への余力がありません。少数で業務を行うことから人間関係の悪化やサービスの質の低下が顕著であり、「採用した以上に退職する」と言う負のスパイラルを繰り返しています。

介護福祉士養成施設の充足率

介護福祉士養成施設 定員充足率(%)
大学(課程数53)
短大(課程数78)
専門学校(課程数246)
専門学校(2年課程・課程数220)
高等学校専攻課(課程数2)
53,3%
50,8%
49.3%
49.4%
43.8%
合計(課程数379) 50.0%

※2015年8月現在 日本介護福祉士養成施設協会調べ

同調査では、ここ数年の採用活動で対応した学生の傾向について、40%が「変化した」と回答。「給与だけでなく、残業や休日数も重視」「雰囲気の悪そうな施設は明確に避ける」「各種手当てや就職後のスキルアップ制度を他施設と比較する」など待遇や労働環境を重視する傾向が見られます。

社会福祉法人の閉鎖が増加する

SOMPOホールディングスの入所施設は、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅が多く、社会福祉法人が経営する特別養護老人ホームや、医療法人などが経営する介護保険施設や介護医療院との競合は少ないものの、在宅サービスや通所介護には積極的に進出しています。介護職はより条件のよい事業所に転職する傾向がありますので、社会福祉法人は蚊帳の外に置かれ、大手による介護職員の奪い合いが加速することが予想されます。

これまでは、小規模事業所や異業種から参入した事業所、拡張路線に失敗したベンチャー企業の倒産が一般的でしたが、今後は都市部で「利用者がいても介護職員がいない」と言うバブル期のような閉鎖が増え、人口が少ない農村などでは自然死により利用者が減少するなど、公共性の強い社会福祉法人さえもバタバタと消え去る時代が訪れることでしょう。

これまでと同じを打ち破る

このまま突き進んでも社会福祉法人に明るい未来は見えません。他の法人と人材育成の提携を結ぶ、収益事業を行うなど、これまでと異なる展開を考える必要があります。例えば躍進を続ける「いきなりステーキ」は、ゲームソフトや映画、アニメーションなど一見つながりのないものとコラボレーションすることで客層を広げました。介護以外の業界にも目を向けるなど斬新な経営スタイルを見つけて、オンリーワンの法人を目指してください。

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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