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公開日:2018年7月23日

従業員・子ども・雇用主・利用者に幸せが波及する「企業主導型保育事業」のススメ

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吉田 匡和(介護ライター)

内閣府は、子ども・子育て支援新制度のひとつとして、企業が設置・運営する「企業主導型保育」のサポートを行っています。保育サービスの拡大、仕事と子育てとの両立、待機児童の減少など、多様なニーズに対応できると注目されています。介護分野においても、職員の福利厚生として設置するなど、高い関心を集めています。

企業主導型保育事業とは

国や自治体でなく、企業が主導的に保育園を設立・運営する事業です。企業等の従業員の子どものほか、地域枠定員を申請している場合は、地域の子どもも保育することができるなど、仕事と子育ての両立を図ることを目的とするほか、同事業の創設により待機児童の減少も期待されています。

企業主導型保育事業制度の特徴

■ 一般的な保育園との違い

一般的な保育園(認可保育園)は、市町村の認可を受けなければなりません。入園についても市町村に申請のうえ、「保育の必要性」が認められた場に利用が可能になります。また、利用料は保護者の前年度の収入によって決定します。

企業主導型保育園は、内閣府が認可した保育園であり、利用の決定は保育園が行います。
保育士の人数配置や安全・衛生管理などは一般的な保育園の基準が適応されるため、無認可保育園のような不安が払しょくされます。

■ メリット

事業を行う企業の労働時間などに応じて、土日の保育、週2回だけの保育、夜間保育、短時間保育―など、多様かつ柔軟な保育サービスを行うことができます。また、運営費や施設整備費について認可施設なみの助成金が受けられる、保育料を認可保険のように設定できる、複数の企業による共同設置が可能などのメリットがあり、2018年2月28日現在、全国で2,365事業所が設置、定員総数は5,4645人に及んでいます。

企業主導型保育事業の実態

■ 社会福祉法人北海道ハピニス(和幸園・グリンハイム)の取り組み

医療・介護サービス等で働く方は女性が多く、出産や子育てを機に退職される方や、子育てを理由に働くことが困難と言う方は少なくありません。北海道札幌市南区で、高齢者施設・障がい者施設を運営する「社会福祉法人北海道ハピニス」は、2017年8月1日に職員の福利厚生の一つとして企業主導型保育園「ハピりす保育園」を開園。職員採用や定着に繋がっていると言います。平松朋紀常務理事に話を伺いました。




北海道ハピニスは、1972年に札幌市南区石山に設立され、障がい者、高齢者、地域福祉など11の事業所を展開する社会福祉法人です。法人名のとおり、総職員約350人がHappinessになることに重点を置き、年1回取得できる5~7日間の連続休暇や、働きながら介護職員実務者研修を受講できるシステム、キャリアアップ制度など、働きやすい環境づくりに力を入れています。企業主導型保育園の開園も、そうした福利厚生の一環として開始しました。

同法人では、育児による産休明けの復帰が困難な方や、出産を機に退職する方が目立つようになった時期があったと言います。豊富な経験を持つ職員を失うことは、法人にとって大きな損失です。「採用することも大切だが、現在勤務している職員の流出を防ぎたい」。そう考えているところに企業主導型保育事業が創設されました。

2017年10月に法人理事会において保育園開設を決議、助成金申請に間に合わせるため、すぐに準備に取り掛かり、約2か月後に申請、2018年1月設計・建築業者の正式決定、2018年3月に着工、同年8月1日に開園すると言う慌ただしさだったと言います。

■ ハピりす保育園開園

職員がデザインした法人のキャラクターにちなみ、「ハピりす保育園」と名付けられました。周囲は深い木々に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえ、時々エゾリスが顔を出すなと、保育に最適な環境です。当初は保育士として法人内の有資格者を起用しようと考えていましたが、保育の専門性を重視して、保育を全国展開している企業に業務を委託しました。定員10人に対し、保育士3人(最大4人ので可能)と、手厚い配置がなされています。





保育園の立地上、地域枠定員の申請が行えず、現在入園している9人は、すべて職員の子供たちです。月々の入園料の個人負担はなく、教材費として1回200円を徴収、月に何度通園しても3,000円を越さないように設定されています。職員募集のチラシに保育園が併設されていることを載せると、子供を預けて働けるだけでなく、費用の負担もないことから周囲の反響が大きく、採用にも繋がっているそうです。

企業主導型保育園の可能性は無限
平松常務理事は、「小さな子どもがいるだけで、障害者や高齢者の方々は生き生きとされます。今後は状況を見ながら、子どもたちとの交流の幅を広げていきたいと考えています」と結びました。

施設に入居している高齢者や障がい者の方々は、家族と離れて暮らしているため、園児の成長が孫やひ孫のように感じられるかも知れません。企業主導型保育事業には、職員採用や定着と言った福利厚生だけでなく、利用者の生きがいや喜びなど、様々な効果の波及が期待できるようです。

企業主導型保育事業申請マニュアル

https://yts.jp/downloads/058-2/

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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