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公開日:2018年6月19日

この介護サービスが危ない! 数字で見る利用料3割合負担の影響

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吉田 匡和(介護ライター)

厚生労働省は、現役並みに所得がある人の介護保険サービスの自己負担割合を、2018年8月から2割から3割に引き上げる予定です。国は開始に向けて自治体などにリーフレットを配布いるなど、負担能力のある方への理解を求めているものの、事業者としては、介護サービスの利用抑制が心配されるところです。

今後、自己負担が増えることでサービスを利用者は減少するのか。2018年3月に発表された「介護保険における2割負担導入による調査研究報告」から、3割負担が及ぼす影響を読み取りました。

参考資料: 介護保険における2割負担導入による調査研究報告 報告書
http://www.murc.jp/uploads/2018/04/koukai_180418_c12.pdf

利用者負担割合の変更点

65歳以上の方で、合計所得金額が220万円以上の方が3割負担の対象となります。ただし、合計所得金額が220万円以上であっても、世帯の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額」の合計が単身で340万円、2人以上の世帯で463万円未満の場合は2割負担又は、1割負担になります。

<合計所得金額>

収入から公的年金等控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で、基礎控除や人的控除等の控除をする前の所得金額。また、長期譲渡所得及び短期譲渡所得に係る特別控除を控除した額で計算。



<その他の合計所得金額>

合計所得金額から、年金の雑所得を除いた所得金額。

負担割合
年金収入等 340万円以上(※1)
年金収入 280万円以上(※2)
年金収入 280万円未満
2割 ⇒ 3割
2割
1割

※1 具体的な基準は今後政令で定めることとなる。現時点では、合計所得金額(給与収入や事業収入等から給与所得控除や必要経費を控除した額)220万円以上を想定している。これは、年金収入プラスその他所得ベースにすると340万円以上に相当する。(年金収入だけの場合は344万円となる。)
※2 合計所得金額160万円以上だが、年金収入ベースにすると280万円以上に相当する。

介護保険における2割負担導入による調査研究報告

厚生労働省は、2015年に実施された2割負担導入の影響を調べるため、2018年2月から3月にかけてアンケートを実施。その結果が公表されています。厚生労働省から委託を受けた三菱UFJリサーチ&コンサルティングが調査。全国4000件の居宅介護支援事業所を対象に、担当のケアマネジャーが最大8人の利用者の状況を回答しています。有効回答事業所数は1,423票、利用者票は1割負担5,727票、2割負担3,342票となっています。

2割負担の利用者は全体の約9%に過ぎない

現役並みの収入を得ている利用者は、全体の9%であり約45万人が該当と言われています。全利用者に占める2割負担の分布を見ても15.2%の事業所が「該当者なし」と答え、平均値は9.2%、20%以上を占める事業所も5.5%と少数であることが分かりました。

<利用者負担割合別実利用者数の割合(n=785)>

1割負担:88.5% 2割負担:8.9% その他・不明:2.3%
※利用者負担割合別実利用者数の全項目に回答した事業所のみ集計

<2割負担の分布>

2割負担利用者の人物像

現役並みの所得を得ている2割負担の利用者とは、どのような人なのでしょうか。データからイメージすると、「年齢は80代で介護度は1~2、持ち家に配偶者または子と同居している男性」という人物像が浮かび上がりました。

<性別>

男:77.8% 女:22.0% 無回答:0.1%

<年齢>

85~89歳(31.2%)80~84歳(21.7%)90~94歳(21.2%)75~79歳(11.0%)
70~74歳(6.1%)95~99歳(5.1%)65~69歳(2.6%)100歳以上(0.7%)無回答(0.4%)

<介護度>

介護度2(28.8%)介護度1(26.0%)介護度3(16.6%)介護度4(9.8%)要支援2(7.7%)
介護度5(6.6%)要支援1(4.1%)申請中(0.1%)無回答(0.2%)

<住居>

持ち家(83.6%)サービス付き高齢者向け住宅(5.5%)有料老人ホーム(4.7%)賃貸住宅(4.2%)その他や無回答、不明など(1.9%)

<同居者>

配偶者(55.7%)子(36.5%)同居者はいない(24.2%)その他や無回答(4.4%)

事業所における2割負担者の影響

利用者単位数の合計比の変化を見ると、84.8%が「変更しなかった」と回答したのに対し、「合計利用単位数が減った/サービス利用を中止した」との回答は3.8%程度と、「著しくサービスの利用が抑制されている」とは言えない状況です。厚生労働省の発表では、3割負担者は約3%、12万人程度を見込んでおり、ひとまず影響は少ないものと考えられます。

この介護サービスが危ない

今後の経済状況や社会保障の財政によって、さらなる負担増や1割負担者の見直しが図られないとは言い切れません。経済的に限られたサービスの利用しかできなくなった場合、どのサービスを減少または中止するか。今回の調査で実態が浮き彫りになりました。

<変更により利用単位数が減った又は中止したサービス>

<利用単位数の合計値が減ったサービス及びサービス利用を中止した理由>

変更により利用単位数が減った又は中止したサービスは、通所介護(デイサービス)、訪問介護が約半数を占めています。訪問看護や通所リハビリなどの「生命維持に関するサービス」や、短期入所や訪問入浴などの「他を持って代替できないサービス」は継続され、娯楽的イメージが強い通所介護や、家族が代わりにできると思われる訪問介護などの回数を減少したり、中止される傾向がハッキリと表れました。

デイサービスは四面楚歌

これまでのデイサービスはレクリェーションなどを中心とした「高齢者の社交の場」的な位置付けでしたが、地域包括ケアシステムが構築される中で、在宅心身機能の維持・向上、生活行為の維持・向上、社会参加の促進など、明確な役割が求められるようになりました。 しかしどうでしょう。「支出の負担が大きい」だけでなく、「要介護状態の改善」と言うダブルのパンチで利用者離れが起きています。地域によっては事業所数も多く、ますます淘汰が進むことが想定されます。

今後の不安材料

自己負担割合のみならず、物価上昇や消費税アップなど、利用者の経済的負担を伴う要素は無数にあります。介護は「たまの贅沢」ではなく、経済状況に関係なく日常的に必要なものです。もし最低限のサービスしか使えないのであれば、何のサービスを残し、何をやめるのか。先の話ではない事実を真摯に受け止め、早期に対策を検討してください。

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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