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公開日:2018年5月28日

介護人材不足に向けた厚労省の施策の数々

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吉田 匡和(介護ライター)

厚生労働省は、2025年度に介護職員が約34万人不足する恐れがあると推計を公表しました。介護現場で働く職員数は、介護保険制度によるサービスの創設と共に増加していますが、現状の推移のままでは団塊の世代が75歳を迎える2025年に、必要な介護職員数が確保されないと警鐘を鳴らしています。これまで国は、どのような対策を行ってきたのか。おもな政策をまとめました。

介護職員の処遇改善

介護の人材不足の理由の一つとして、低賃金と重労働が指摘されます。一般のサービス業のように介護業界は、売れば売るだけ儲かるというシステムではありません。介護報酬は「公定価格」であり、利用可能な人数も定められていることから過度な増収が見込めず、低い給与水準にとどまっているのが現状です。
それを解消することを目的に、国は介護職員処遇改善加算を拡充しました。競合他産業との賃金差がなくなるよう、キャリアアップの仕組みを構築。月額平均1万円相当の改善が行われました。平成29年度の予算は289億円を計上するなど、注力した金額になっています。

潜在介護人材の呼び戻し

介護の仕事に就いたものの、処遇などに不満を抱き、離職する人は少なくありません。その技術や知識を、再び現場で生かしてもらうための政策が、介護人材への再就職準備金の貸付制度です。20万円×1回限りを貸し付けるほか、介護職として2年勤務すれば返済を免除。介護人材の確保が特に困難な地域における貸付額は倍増されます。平成27年度補正予算で261億円、平成28年度第二次補正予算で10億円が計上されています。

新規参入促進

全国的に介護福祉士などを養成する学校の入学者数が減少し、廃校の危機に瀕しています。中高年や外国人の活用が活発化しているものの、若い人材の育成なしでは、日本の介護業界に未来はありません。金銭的負担の軽減を目的として、介護福祉士を目指す学生への奨学金制度が制定されました。平成27年度に補正予算261億円を計上。80万円/年×2年を貸し付け、介護職として5年勤務することで返済が免除されます。

介護ロボット・ICTの活用推進

人手不足や腰痛などの防止のため、装着型パワーアシストなどの介護ロボットや、遠隔で見守りなどが可能なICTの活用が進められています。近年では自治体から購入費用が補助されるなど活発化し、市場の拡大が見込まれています。国は介護ロボット関連を輸出も視野に入れた新しい産業として注目。平成29年度予算に5.3億円を計上するなど、期待が寄せられています。

職場定着支援助成金

高い離職率を抑え、職場に定着することで人材不足を回避する制度です。事業者が賃金制度を整備した場合に50万円を助成。1年後に離職率の目標を達成した場合は57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)を助成。3年後に離職率が上昇しなかった場合に85.5万円(生産性要件を満たした場合は108万円)を助成します。平成29年度予算には32億円が計上されています。

介護施設等における職員のための保育施設の設置・運営支援

介護施設が職員のための保育施設を作る際に、開設費310万円、整備費1,130万円、運営費は、都道府県が定める額が補助されます。平成29年度予算では、60億円が計上されています。女性が多い職場ですので、福利厚生としても有意義な制度です。

介護福祉士資格を取得した留学生に対する在留資格「介護」の創設

これまでもEPAによる介護福祉士候補者の受入れは行われていましたが、各施設で研修を行わなければならず、言葉をはじめ様々な課題を抱えていました。そうした問題などを踏まえ、平成28年11月に「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」を公布。平成29年9月に介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士国家資格を取得した留学生に対して、国内で介護福祉士として従事することを可能とする在留資格「介護」が施行されました。EPA同様に、日本語能力試験N2を取得している者については、訪日後研修後、就労開始6か月後から配置基準に算定することも可能です。

受刑者に介護福祉士資格

女子刑務所の「札幌刑務支所」では、2016年度より職業訓練の一環として、受刑者に介護福祉士資格のための講座を開設しています。介護職の需要は高く、出所後に就職しやすいことから、人材補充と再犯防止の二つが期待されています。

民間での取り組み

新規求人について、従来のように専門学校やハローワークだけに頼る従来のやり方では採用できないことから、福祉関係の新卒学生を対象とした合同企業説明会に積極的に参加する法人も見られます。未経験者でも資格を取得できるよう、実務者養成講座を独自に開設するなど、豊富な研修制度でバックアップすることをアピールし、採用に結び付けているようです。

高齢化に対応するための事例はない

このような政策を打ち出しても、介護職員不足は改善されていません。特に職業の選択肢の多い都市部は有効求人倍率が高く、超売り手市場です。すでに介護職員として働いている人たちも、少しでも良い条件を求めて職場に定着しないことも問題視されています。2025年問題は、人口の1/3が高齢者になると言われている2030年の通過点でしかありません。今後、日本がどうなっていくか。世界中にサンプルは一つもないのです。



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■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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