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公開日:2018年5月1日

ケアプラン適正化と高齢者集合住宅入居者に対する対策と減算

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吉田 匡和(介護ライター)

さまざまな情報が混在する厚生労働省発表の中から、社会福祉士である筆者がトピックスを紹介します。今回の話題は「ケアプラン適正化」です。
2018年度の介護報酬改定に伴い、10月から「訪問介護の訪問回数の多いケアプラン」は市町村に届け出が義務付けられます。また、居宅介護支援事業所が高齢者集合住宅の入居者に対して、特定事業者のサービスを誘導している点についても指摘。減算となる項目を明らかにする一方、地域ケア会議が担う検証方法やポイントをまとめたマニュアルなどの作成を予定しています。

訪問介護の訪問回数の多いケアプランの対応

ケアマネジャーが統計的に見て、通常よりかけ離れている回数(全国平均+2標準偏差)の訪問生活援助中心型サービスを導入した場合、翌月の末日までにケアプランを市町村へ届け出、地域ケア会議で他職種による検証を受ける仕組みが新たに設けられました。施行は今年10月1日。最初の届け出の期限は11月30日となる予定です。

届け出が義務付けられている生活援助の回数

介護度1 介護度2 介護度3 介護度4 介護度5
27回以上 34回以上 43回以上 38回以上 31回以上

※厚生労働省が直近1年間の全国の給付実績をもとに算定。回数案はパブリックコメントにかけられ、4月下旬にも正式決定となる見通しです。

高齢者集合住宅の入居者に対する対策と減算

厚生労働省は、居宅介護支援事業所が高齢者向け集合住宅の入居者に対するサービス利用を特定事業者に誘導している実態を指摘。不適切事例を明らかにするケアプラン点検が行われており、その効果を高める事業にも取り組む考えを示しています。

具体的には実態調査を実施し、一般住宅の要介護者と高齢者向け集合住宅の入居者のサービス利用量、利用頻度の違いを明らかにし、集合住宅入居者にサービス利用を勧誘するなど、不適切と思われる事例の特徴を特定。ケアプラン点検や地域ケア会議で優先的議題とする事案の抽出ツールを作成する予定です。

同一敷地内建物等減算について

① 同一敷地内建物等の定義
訪問介護事業所と構造上または外形上、一体的な建築物および同一敷地内ならびに隣接する敷地内(訪問介護事業所と建築物が道路等を挟んで設置している場合を含む)にある建物のうち、効率的サービス提供が可能なもの。

② 50人以上の定義
 イ 同一敷地内建物等における訪問介護事業所の利用者が50人以上居住する建物の利用者全員に適応。
 ロ 利用者数は1月間(暦歴)の利用者の平均を用いる。この場合、1月間の利用者の平均を当該月における1日ごとの該当月の日数で除して得た値。平均利用者数の算定に当たっては、小数点以下を切り捨てる。

集合住宅減算について

集合住宅減算は、対象となるサービスコードの所定単位数の合計に対して減算率を掛けて算出します。なお、区分支給限度水準額を超える場合、超過分に同一建物減算を充てることはできない。

特定事業所加算について

地域のケアマネジメント機能を向上させる取り組みとして、「他法人が運営する事業所職員も参画した事例検討会の取り組み」を特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)算定要件に追加。他法人運営の居宅介護支援事業者と事例検討会・研究会等共同実施や、他地域包括支援センターが実施する事例検討会等への参加など、地域における人材育成の取り組みが同加算算定事業所に義務付けられました。厚生労働省の解釈通知は以下の通りです。

① 算定事業所は、質の高いケアマネジメントを実践する事業所として、地域における居宅介護支援事業所のケアマネジメント資質向上を牽引する立場にあることから、同一法人内に留まらず、他法人が運営する事業所職員も参画した事例検討会等の取り組みを、自ら率先して実施していかなければならない。事例検討会等の内容、実施時期、共同実施が始まるまでに、次年度の計画を定めなければならない。年度途中で加算取得の届け出を出す場合にあたっては、届出を行うまでに計画を策定する。

② 特定事業所加算(Ⅳ)
ア 退院・退所加算算定実績
  退院・退所加算算定実績に係る要件は、退院・退所加算算定回数ではなく、その算定に係る病院等との連携回数が、特定事業所加算(Ⅳ)を算定する年度の前々年度の3月から前年度の2月までの間に35回以上の場合に要件を満たす
イ ターミナルケアマネジメント加算算定実績
ターミナルケアマネジメント加算算定実績に係る要件は、特定事業所加算(Ⅳ)を算定する年度の前々年度の3月から前年度の2月までの間において、算定回数が5回以上の場合に、要件を満たす。
ウ 特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)算定実績
  特定事業所加算(Ⅳ)は、質の高いケアマネジメントを提供する体制のある事業所が医療・介護連携に総合的に取り組んでいる場合に評価を行うため、他の要件を満たす場合であっても、特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)または (Ⅲ)のいずれかを算定していない月は(Ⅳ)算定できない。

まとめ

介護保険が公費負担である以上、無駄を見直さねばなりません。「訪問介護の訪問回数の多いケアプラン」については、一定の間隔を空ければ一日に複数回所定の報酬を算定できる現行の報酬体系では、必要以上のサービス提供を招きやすいため、地域ケア会議で他職種による検証を受けることで必要性が精査されることでしょう。

居宅介護支援の論点は、質の高いケアマネジメントの推進と公正中立なケアマネジメントの確保であり、「集合住宅減算」と「特定事業所加算」は、それをよく表しています。集合住宅減算は、いわゆる抱え込みの禁止ですが、地域の事業者が限られている場合や、「特定事業者以外なら、より良いサービスが提供できるのか」と言う基本的な点にも踏み込んで検討する必要があるでしょう。

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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