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公開日:2018年3月30日

【介護ビジネス開業の基礎知識4】介護保険制度とは?介護報酬のしくみ

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大浦里穂(ライター・翻訳者)

知っておきたい介護保険のしくみ

さて、いよいよ介護ビジネスを始めよう!と思ったら? これまでの記事では、介護業界のサービス形態や介護事業の始め方について、概要をご説明してきました。今回は、介護事業を開業するにあたって、ぜひ押さえておきたい介護保険制度のしくみを中心に解説していきます。

これまで介護サービスの収益のしくみは、介護保険制度に基づき、介護報酬(介護給付費)の形で事業者に支払われる形がほとんどでした。

しかし、これから介護事業に参入したり、新しくサービスを始める予定の経営者の方は、介護保険の適用されるサービスより、保険外のサービスに活路を見出したい!とお考えかもしれません。

介護保険外サービスを開業する場合でも、介護保険制度のシステムを理解しておくことで、次のようなメリットがあります。

(1) 介護保険の点数制を味方につけよう

介護認定を受けた利用者は、点数制で利用可能なサービスの量が制限されます。介護保険のしくみを熟知することで、認定内の点数を使い切った利用者向けに、自費で購入できる補助的なサービス分野を開拓し、提供できる可能性が広がります。

(2) 介護保険の知識はサービス連携に不可欠

もし介護保険適用外サービスの事業者になっても、単独でサービスを提供する機会はきわめて低いのが現状です。介護が必要な利用者は、複合的にいろいろなサービスを利用するケースが大半を占めています。そのため、介護に関わる他の事業所や医療機関、ケアマネージャーなどの現場スタッフ、行政の窓口や介護担当者(利用者の家族)などは、介護保険制度に基づくサービスの経験・知識を豊富に備えていると考えるべきです。

他の介護事業者や介護スタッフとの連携を高め、質の高いサービスを提供していくために、介護保険の知識は欠かせない重要なポイントです。今後、保険外サービスを中心に経営していくとしても、事業を順調に成長させるには、介護保険のしくみを押さえておくと良いでしょう。

介護保険制度の基本:被保険者と保険者とは?

介護保険制度のスタート以降、介護分野の主要サービスは、次のような形で運営されています。

・介護保険を支える主体:市町村、都道府県、国
保険料は「保険者」である市町村が徴収します。都道府県は、指定事業者の認可などをおこないます。制度の設計、基準・報酬の設定、基本指針の作成などは、国が担当します。

・介護保険の加入対象者:40歳以上
保険料を負担して介護保険に加入するのは、介護が必要となる年代の人に限られます。65歳以上は「第一号被保険者」です。40歳以上65歳未満は「第二号被保険者」です。

・介護サービスの利用者:要介護者・要支援者
第一号被保険者は、要介護認定を受けることで、要介護レベルごとに決められた点数内の介護サービスを利用できます。より軽度の要支援と認定されると、予防給付を受けて介護予防サービスを利用できます。

第二号被保険者は、末期がんなどの特定疾病に限り、介護給付を受けられます。(生活保護の被保険者は、一般的には介護保険に加入せず、生活保護の介護扶助を受けます)

・介護サービスを提供する事業者:指定事業者
介護保険の適用内でサービスを展開する事業者は、都道府県に申請し、指定を受けることで利用者に介護サービスを提供できます。

このように、介護保険制度は「保険者」と「被保険者」の「相互扶助」を、社会的にシステム化したものです。実際のサービスは、介護認定を受けた利用者に対し、指定事業者が必要なサービスを提供する形でおこなわれます。

サービス利用者は、40歳から介護保険に加入して被保険者となります。介護が必要になると介護給付を受け、自己負担額は実際にかかる費用の一部ですみます。

サービスを提供する指定事業者は、都道府県の認可を受けて、介護報酬の形で利益を得ています。

介護保険制度が抱える問題点

上にご説明したように、介護保険とは、社会全体で高齢者の介護を支えるしくみです。少子高齢化が進む中、社会的にも重要なトピックとなってきています。現在、以下のような問題がクローズアップされています。

・少子化による財源確保の問題
・高齢化による介護サービス利用者の急増

こうした問題に対応するため、介護保険制度は3年ごとに改正され、介護報酬も改訂されています。

実際には、利用者の自己負担額が増える方向で改正が進んでいます。また、社会の高齢化を受けて、長期入所から在宅介護に転換する動きが止まることはないでしょう。介護関連サービスの事業者も、否応なしに対応を迫られることになります。

介護事業の収益システム、介護報酬とは?

介護保険の適用されるサービスでは、規定された公定価格で単価が決められています。この単価のことを「介護報酬」と呼びます。主な特徴は次の通りです。

(1) 介護報酬は公定価格

厚生労働省が各サービス単価の基準を定めており、例外を除いて、事業者が自由に価格を設定することはできません。サービスの利用機会ごとに値上げしたり割引きするなどの、価格を変動させることも認められていません。なお、介護報酬は3年ごとに見直しがおこなわれます。

(2) 介護報酬は単位計算

介護報酬の価格計算には「単位」のシステムが使われています。各サービスの単価を「○○円」という金額ではなく「○○単位」と表現します。(実際のサービス提供時には、単位を使用しません。利用者には「○○円」のように価格を提示します)

(3) 単価はサービスの種類・内容による

介護報酬は、サービスの種類と内容ごとに単価が決められています。価格計算のための単位も、サービス内容や時間数などに対応して決められています。分や時間ごとに単位計算するサービスもあれば、回数ごとに計算するサービスもあります。

(4) 単価は介護レベルが上がれば高くなる

利用者の介護認定には、軽度から重度まで要介護レベルが設定されています。サービスによっては、利用者の介護レベルに合わせて価格が変わるものがあります。普通は、軽度なら単価は低めに、重度なら高めに設定されています。

(5) 実際の価格には地域差がある

介護報酬の単位は全国共通です。ただし、注意が必要なのは、地域ごと・サービスごとに換算金額が変わることです。介護保険サービスは公定価格ですが、全国一律の金額というわけではありません。都市部や首都圏では、同じサービスでも単価が高めに設定される傾向があります。(地域ごとの人件費や事業所の賃貸料などに準じるため)

以上5点が、介護報酬の押さえておきたい重要ポイントです。計算がたいへん複雑なシステムになっていますので、通常、単価計算はケアプラン作成時にケアマネージャーが担当します。

例外として「福祉用具の販売・レンタル」など、自由単価のサービスもあります。また、事業所の開設時など、自社のサービスをまとめて値下げすることは可能です。サービスごと、利用者ごとに割引率を変えることはできません。

介護報酬の加算と減額とは?

介護保険では、指定基準を満たす事業者が、保険に請求して介護報酬を受け取るしくみになっています。介護報酬には公定価格がありますが、加算と減算をすることができます。

(1) 加算の場合

提供するサービスの基準を上げることで、報酬に加算ができます。加算するためには、加算対象となるサービスの認可を受ける際に、あらかじめ申請が必要です。なお、対象サービスが提供できなくなった場合は、指定申請書の取り下げか変更をしなくてはなりません。

(2) 減算の場合

次のような事業所では、ペナルティとして介護報酬が減額される措置が取られます。

・人員基準を満たせない
・定員を超えてサービスを提供している

ペナルティではなくとも、訪問系サービスで単価の引き下げが適用されることがあります。同一建物内で複数人のケアをおこなう場合など、効率的にサービスが提供できるためです。

介護保険制度:2018年度の改正内容

ここからは2018年度の介護保険制度改正について、主なポイントを解説していきます。

今回の改正も、前回(2015年度)改正の指針を引き継ぐものとなっています。引き続き効率化・重点化が進められているのは、次の4点です。

(1) 在宅医療・介護連携の推進
(2) 認知症に対する施策の推進
(3) 地域ケア会議の設置と推進
(4) 生活支援サービスの充実

それでは、2018年度改正のポイントを見ていきましょう。

(1) 要介護者の自立支援と、重度化の防止を推進

今回の改正では、市町村に対して各年度の目標設定が義務づけられ、事業計画も自立支援と重度化の防止が重点的に強化されます。厚生労働省に対しては支援強化をうながし、国は予算内で交付金を市町村に支給できるようになります。

(2) 共生型サービスの創設

介護サービスと障害福祉サービスを合わせて提供できる「共生型サービス」が始まります。障害福祉サービスの利用者が高齢化した場合、引き続き介護サービスも同じ事業所で利用できるようになります。

(3) 介護医療院の創設

長期療養者向けの「介護療養病床」は、2018年度末に廃止予定でしたが、6年延長されることになりました。廃止後の転換先として「介護医療院」というサービスが始まります。

これまで医療保険が適用される「医療療養病床」と、介護保険が適用される「介護療養病床」の2種類が存在していました。しかし、利用内容に差はないのが実状でした。介護医療院サービス開始の背景には、介護目的で医療療養の枠を利用しないよう、病院から在宅・居住系サービスに転換させる意図があります。

(4) 高所得層の利用者は3割負担に

従来、介護サービス利用者の費用負担は1割でしたが、2015年8月より高所得者は2割負担となりました。今回の改正で、所得基準(年金などの収入合計)により、以下の負担割合に変更されます。()内は、見込まれる対象者数です。

・340万円以上 3割負担(約12万人)
・280万円以上 2割負担(約33万人)
・280万円未満 1割負担(約451万人)

加えて、高額介護サービス費は、所得区分により負担の上限が引き上げられます。現役並み所得者の場合、4万4400円まで自己負担が必要となります。

(5)介護納付金に総報酬割を導入

介護納付金とは、介護給付費の財源となるものです。医療保険者(国民健康保険、健康保険組合など)が負担する保険料率は、被保険者数により決められていました。今後は被保険者の所得差による不公平を是正するため、総報酬割が導入されます。

こちらは2020年までに段階的に導入される予定です。負担増となる被保険者と、負担減となる被保険者が出てきます。

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