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公開日:2018年3月29日

【ケアマネ回顧録6】物盗られ妄想が加速する義母の介護に奮闘する家族

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介護経営 編集グループ

認知症の症状にも様々ありますが、その中には家族や周辺の人間からすれば、少々厄介とも言える症状「物盗られ妄想」というものがあります。

この物盗られ妄想という症状は、いくら良好な関係性を過去に作れていた相手でもお構いなしに責め立てるような行動をとってしまうことから、ご家族様が精神的に大変疲弊されることが多い事例の一つです。

この辺りについては、相談を受けたとしてもどこまで介入するかというのは、各ケアマネージャーの力量や考え方に委ねられるところでもあります。しかし、ケアマネージャーとして筆者は、過去にご本人様とご家族様の間に仲介役として入ることで、この物盗られ妄想に関しての事件を収束させた経験があります。

今回は対応事例の一例として、ご本人様や事例を特定できないよう一部脚色し、ご家族様目線での手記スタイルに加筆修正した上で「どのように対応することでご本人様とご家族様の負担の軽減につなげたか」をご紹介します。

近所の人からデイサービス利用を勧められたのが始まり

病気になるまでは義母を実の母のようにしたい、平穏な生活でした。しかし、母も高齢になり、足腰が弱くなり、老人クラブや町内会の行事にも参加しないようになり自宅での生活することが病院に通院以外は多くなってきました。

近所の人から「最近●●さん見かけないね」と言われ、理由を話したところ近所の人が「そんなことしてたら呆けちゃうよ。介護保険申請して、デイサービスとか通わせなさい」と言われました。

義母にそのことを話してみると「行ってみようかな」と言ってもらえたので、早速介護保険の申請を行いました。1か月後認定が下り、要介護1での認定でした。

その後のケアマネを選ぶ必要があったのですが、主治医のいる病院にケアマネがいたことと、普段通いなれている病院でそこのデイサービスを利用させたかったので、そのサービスの利用の調整を含めて、同病院のケアマネに担当を依頼しました。

まずはデイサービスの利用を、週1回からスタートしました。デイサービスから帰ってきたら本人も楽しんでいるようで、デイサービスでの様子を嬉しそうに話してくれました。

私が「もう1回増やしてみる?」と聞いたところ「いいね」となったので週2回に増やすようになりました。

足腰が弱いのでデイサービス内では車いすか歩行器を利用し移動していたようですが、趣味活動やレクリエーションなどにも積極的に参加していると、帰りの送迎時にデイサービスの職員さんから説明を受けて「通わせてよかったな」と思いました。

普段は不眠で睡眠薬を飲まないと眠れなかったのに、デイサービスを利用した日の夜は睡眠薬を飲まなくても朝まで起きることなく寝てくれました。

突然の転倒の連絡

そうしてデイサービスを利用して1年くらい経ったころ、自宅の電話にデイサービス職員から「お義母さんが、トイレに行った時に転倒してしまい、痛みを訴えています。今すぐ来ることはできますか?今、当院の整形外科の診察を受けています。」と連絡が入ったので急いでS病院にかけつけました。

レントゲンを撮影したところ、右の大腿骨が骨折しているので緊急手術が必要ですと、お医者さんに言われました。すぐに手術室に運ばれ、お医者さんからは「人工骨頭置換術という手術を行います」と言われたのですが、内容は理解できませんでした。

ただ、そんな事は言っていられませんでしたので「よろしくお願いします」とお願いしました。手術は2時間程度で終わり、お医者さんから病状説明がありました。

「手術は成功しました。明日から早速リハビリを行います。退院は2か月程度だと思います」と言われました。

手術が成功し、まずはホッとしたのを覚えています。

昼夜逆転に大声に・・・脳の萎縮が発覚

そして翌日からすぐにリハビリが開始され、順調に回復しているように思えました。しかし、入院して2週間過ぎに病院から呼ばれてお医者さんより「昼夜逆転したり、職員に手を出したり、大声をだすようになりました。認知症になったかもしれないので、頭の写真を撮影します」と言われました。

その後写真を見ながら再度お医者さんから説明がありました。「少し脳の萎縮があります。これが原因だと思いますが。家での様子はどうせしたか?」と聞かれたので「少し物忘れがありましたが、生活に支障をきたす程ではありませんでした。デイサービスに通う日も理解して楽しみにしていました」と答えると、お医者さんからは「もともと脳の委縮はあったと思いますが、日常生活には支障がなかったのですね?であれば、原因は環境の変化かもしれません」と言われ頭が真っ白になりました。

今後どうなりますかと質問したところ「おそらく認知症になったと思います。前のような自宅生活は困難だと思います」と追い打ちをかけられました。

「リハビリは順調だったようなので、2か月も入院したらもっと認知症が悪化するかもしれないので、早めの退院をした方がいいですね。歩く能力は回復してますので」と言われ、急いで退院の手続きをとり自宅に戻しました。

併せてケアマネに相談したところ、「まずはデイサービスを再開しましょう。後、介護度の変更の申請もしておきましょう。自宅で何かあればすぐに連絡ください」と言われました。

変更期間中は特に問題になるようなことはなく生活できていました。その後通知がきて要介護3での認定になりました。その結果をケアマネにも伝えました。

「様子はお変わりないのですね。ただ、精神面の活性化のためにもう1日くらいデイサービス増やしますか?」と言われたので増やしてもらうようお願いしました。

もの盗られ妄想と、ケアマネによる介入

しかし、デイサービスを増やしたころから「あんた、私の通帳どこにやったの?盗ったでしょ!」突然言い出しました。そのことを夫に伝えたところ「ほっとけばいいよ」と言われたのですが、言われるのは私だし、それから毎日のように妄想が激しくなってきました。あんなに優しかった義母なのに…。

正直ショックでしたし、これからどうしていいか途方にくれてしまいました。そのことを毎月訪問してくれるケアマネに相談しました。

ケアマネから「透明の鍵付きケースを用意し、本人の目の前で確認させて鍵を本人に預けてみる方法もあります。その時は私も立ち会います」と言ってくれたので早速ケースを買いに行き、たまたま透明の鍵付きケースが見つかったので購入し、ケアマネに連絡しました。

すると翌日訪問してくれ、本人の目の前で「●●さん、お嫁さんは通帳など盗んでないよ。今からこの透明のケースに通帳と印鑑を入れるので一緒に確認しましょう」と義母に話してくれ「そうかい」と了解してもらえましたので、ケアマネ立会いのもとケースに入れ鍵を義母に渡しました。

ケアマネより「●●さん、これで安心だね」と話しかけてくれ「そうだね」と返答してくれたので安心しました。ところが、数日後また「あんた、通帳盗んだでしょ!」と繰り返すようになりました。

「鍵はお義母さんしかもってないよ」と話すも「合鍵作ったんでしょ!」と途方にくれました。すぐにケアマネに連絡し相談したところ、「そうですか。効果はあまりなかったんですね。このまま在宅生活を継続するのは非常に難しいと思います。たまたまグループホームの空きがあるので、そこに入居できるように手配しますか?」と言われたので藁をもすがる思いでお願いしました。

そして1週間で入居でき、私の在宅介護の生活は終わりを告げました。

正直後ろめたさはありましたが、あのまま介護生活を継続していれば、大変な事になっていたかもしれません。私自身で今は納得させています。

その代り、毎日面会に行くようにしています。グループホームでの生活は大声をだすことはあるようですが、他は問題なく、他の入居者とも楽しくしているようです。

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