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公開日:2018年3月22日

【ケアマネ回顧録2】若年性アルツハイマーのケアと家族のレスパイトケアの両方を提供したケアマネージャーの事例

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介護経営 編集グループ

認知症の症状というのは何も徐々に始まるものだけが全てではありません。

何かのきっかけで突然認知症の症状が発症することもあります。

そして認知症は高齢の方だけがなるものではありません。

若年性アルツハイマーと言って比較的お若い方でも認知症の症状を発症することもままあります。

今回は筆者がケアマネ時代に担当した、奥様が退職直後に突然若年性アルツハイマーを発症され、一気に要介護5にまでなったご家族様に対し、ケアマネージャーが適切なルートで施設への入居をアテンドし、さらにレスパイトケアも提供できた事例について事実をもとに再度構成し、ご家族の視点からお送りしていきます。

おとなしかった妻が、タクシーで叫び続ける様に

妻の症状に気づいたきっかけは、本人の気性の荒さがでてきたことでした。今まではおっとりした性格で怒ることなど滅多になかったのに、非常に驚きました。

そのうちトイレで排泄しなくなったり、何事もないときに叫んだりしてきましたので、役場の保健師さんに相談しました。

保健師さんからは早急に専門の医療機関に診察したほうがいいとのアドバイスをしてもらい、早速病院に連れて行こうとしたのですが、私は車の運転ができません。そのため、タクシーを手配したのですが、その道中ずっと叫び続け、タクシーの運転手さんもびっくりしていた様子でした。

病院に着いても叫びは治まらず、タクシーの運転手さんが「奥さんが落ち着くまで、近所をくるくるまわりましょうか?メーターは止めるので。うちの母親が認知症なので気持ちが痛いほどわかりますから」と優しい声をかけていただき、甘えさせていただきました。

30分ほど車を走らせてもらい、ようやく落ち着いたので病院の受付をしました。

初診だったので書類を記載しながら、記入欄に症状のきっかけは?という欄があり、自分自身ではまったく見当がつかなく、空欄で提出しました。

診察に入る前にCTと脳波の検査を行い、診察室前で呼ばれるのを待っていました。

幸いなことに叫ぶこともなく落ち着いて待っていてくれました。たくさんの患者さんがいてここで叫ばれたら迷惑になってしまうので、一安心でした。そしていよいよ名前を呼ばれて診察室に入りました。

物腰の柔らかい印象の先生でした。

早速CTの写真を説明を受けながら見せてもらいました。診断名は若年性アルツハイマー型認知症でした。

CTをみると脳全体が委縮しているのが、素人の私にもわかりました。

私は後頭部から頭を殴られた気がしました。

正直なぜ私の妻だけが…と思いました。

その後の先生の話は正直覚えていません。ただ今後治る可能性はなく、徐々に進行する病気であり、現在完治させる薬はない、進行を遅らせる薬のみで様子をみるしかないと言われたことは辛うじて覚えています。

先生より「何かきっかけはありませんでしたか?」と質問され「思いつかない」と答えました。先生からは、生活や環境の変化で認知症が発病するとも聞かされました。

早期退職させた夫の後悔

帰りのタクシーでこの後どうしていけばいいか途方に暮れてきました。心のなかで「きっかけ…、きっかけ…」と脳裏を駆け巡りましたが、何も思い浮かびませんでした。ただこれからどうしよう、どうすればいいのかと不安で不安で仕方ありませんでした。

翌日、診察の結果を保健師さんに報告しました。そこで勧められたのは介護保険の申請でした。妻の年齢で介護保険?名前は聞いたことがありましたが、我々には関係ないと思っていて申請できるとは思いませんでした。

保健師さんの話では64歳以下でも若年性アルツハイマー型認知症は申請対象とのことでした。その際、いろいろな話を聞いてもらい、アルツハイマー型認知症になるのに生活や環境の変化も大きく影響すると話され、昨日診察を受けた時に同じことを先生からもされたことを話しました。

そこで思い出したのが妻を早期退職させたことを保健師さんに話したところ、「それかもしれないですね!」と言われました。直接の因果関係は確定できないが、全く関係ないとは言い切れないと保健師さんからはそのような話を聞かされました。

その時私の脳裏によぎったのは妻に、「そろそろ仕事辞めたらどうだい?」と勧めて退職させたことを思い出しました。

そのことが妻の認知症にさせてしまったのではないか?と後悔しました。

保健師さんからは「それは気にしないように」とは言ってくれましたが、後悔は拭い切れませんでした。

思い出せば経理畑にいた妻が簡単な計算もミスすることが退職直後にあったことも思いだされました。あんなに好きだった車も全く運転しないようになり、自宅に引きこもっていたことも退職直後でした。

保健師さんに言われたとおり、介護保険を申請し調査などを受け、結果は要介護3の認定でした。その後の流れを保健師さんに聞いていたので、まずはケアマネさんを決める必要があり、自宅から一番近い事業所のケアマネさんにお願いしました。

初めて自宅に訪問してもらい、いろいろ話を聞かれ、それに対して答えているうちにやっぱり自分が悪いのではと頭の中で考えていましたが、それを察したケアマネさんは「大丈夫ですよ、辛いことはいつでも話してくださいね」と言われ救われた気持ちになりました。

サービスはまずは認知症を対象にしたデイサービスの利用を勧められ、とりあえず週2回の利用から開始しました。幸いなことに金銭のことは妻の退職金、私の年金、貯蓄と経済的には何も問題なかったのでその点は心配することはありませんでした。

しかし、本人の症状は落ち着くわけではなく、徐々にというか急速に悪化してきました。一番辛かったのはおむつ交換と夜間寝てくれないことでした。

病院では睡眠薬もだしてもらっていたのですが、薬を飲んだら血圧が低下してしまうため、薬を飲ませることが困難だったのが要因です。

本当にまいりました。そこで毎月訪問してくれるケアマネさんに相談しデイサービスの利用回数を増やすことにしました。

その時にはすでに一番重い要介護5の認定になっていました。そこでケアマネさんは私の介護疲れを軽くするために、利用しているデイサービスで泊りのサービスも実施していることの説明を受け利用を希望しました。

泊りのサービスは保険がきかず、1泊約5,000円程度かかりましたが、金銭面では問題ないので週3日ほど利用することになりました。

利用した日は私もゆっくり休めました。そのためできるだけ私の介護負担軽減のため泊りのサービスを増やしてもらいました。そのため妻が自宅いて叫んだりしても声掛けで落ち着いたり、夜間も本人が寝れるようにできるだけデイサービスで寝かせないようにしてもらい、睡眠のタイミングをしることができ身体的に余裕もできたので苦痛もなく在宅介護ができました。

私も70歳を超え、ケアマネさんからは今後どうしていくかと検討しケアマネさんからは老人ホームの入居手続きを勧められましたが、車もないので頻回に面会に行くこともできないし、会えなくなるのも寂しいので申し込みはしませんでした。

徐々に介護にも慣れ泊りのサービスも私が体調すぐれないと連絡すれば延泊もさせてもえたので、今は安心して介護生活を営めています。

今はできるだけ介護サービスを利用しながら夫婦で在宅生活をできる限り送りたいと思っています。保健師さんやケアマネさん、施設の方には非常に感謝しています。

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