介護経営ロゴ

機能分化と地域連携で超高齢社会を支える
介護サービス事業者向け情報サイト

公開日:2018年3月19日

【ケアマネ回顧録1】夫婦揃っての同時入居だけが、全てではないことを実感させられたケース

210 views

介護経営 編集グループ

介護もしくは社会福祉という観点から考えるのであれば、ご高齢のご夫婦についてはどちらも同時に同じ施設に入居いただく、というのがあるべき姿であり、正しい唯一の答えであると思われる介護事業者も多くいらっしゃることでしょう。

しかし実際のところはそうでもありません。

夫婦揃って同時入居するよりも、別居にしておいた方が結果的にお互いが安定するというケースもゼロではないのです。

今回は筆者がケアマネージャーとして活動していた際に、実際に起こったケース、というより今回のケースは筆者本人が経験したケースですが、夫婦揃って介護サービスや介護保険の利用がない状態から一気に認知症が悪化し、最終的に夫婦別居という形で違う施設に入居して事なきを得たというケースについての事例をご紹介していきます。

ケアマネージャーの方におかれては、このような道筋もあるのだということを知見として学びとっていただければ幸いです。

ある日、民生委員から突然の電話

私の職業はケアマネです。

父はすでに他界し、母は再婚し継父とA市で2人暮らしていました。

ある日、母の地域の民生委員から私の電話に「最近お宅のお父さん(継父)が徘徊して大変なのよ。煙草も吸うし、火事になったら困るのよね」との連絡がありました。

そのため、次の日にA市に行って自宅の様子を見て愕然としました。

俗にいう「ごみ屋敷」でした。

お酒の缶がそこらに転がっており、中には灰皿代わりにしている缶もありました。

家も木造なので民生委員さんの言う通りこのまま2人で暮らしていたら、火事になってしまう可能性もあり、ましてや季節は冬でストーブの前にも燃えそうなものあり、危険であると感じたのでした。

私は本人夫婦を説得し、着の身着のままでB町まで連れてきました。とりあえず自宅に連れ帰ったのですが、私の妻と母は折り合いがなっておらず、更に継父とは全くの他人であるので同居は拒絶されてしまいました。

どうするべきか悩みましたが、近所にある高齢者専用の下宿に2人を連れていき、そこで暮らしてもらうようにしました。継父はよだれを垂らすし、失禁もあり、汚れた衣類を脱いでそのまま放置する状態でした。

かなり認知症が進んでいるのだと直感しました。

母は母で「A市に帰る」と言い出す始末で途方に暮れていました。

毎日様子を見に行きましたが、状況は変わりませんでした。A市では介護保険のサービスを受けていなかったようで、担当のケアマネがいない状況でした。

A市でどのように生活していたかは全く情報がありませんでしたが、母たちには介護サービスの利用が必要であると思い、急いで介護申請を行いました。結果が出るまでは毎日私たち夫婦が様子を見に行くことにしました。

母は要介護2、父は要介護3

一か月後、介護の認定がおり、母は要介護2・継父が要介護3の認定でした。

継父の認知症は更に悪化してきている状況で、便失禁も目立つようになりました。

急いでサービス調整を行う必要があると感じ、ケアマネを知り合いに依頼し、快くうけてもらえました。

最初は私が担当しようと思いましたが、現在事業所を休止していることと、身内なのでケアマネとしてではなく母親夫婦と感じてしまい、母も頑固で私も頑固なので感情的になって適切なマネジメントができないのも一つの理由でした。

早速サービスの調整を相談し、下宿が経営していて隣にあるデイサービスを利用したいと希望しました。

すぐにケアマネが調整に動いてくれましたが、男性利用者0人であるので利用は難しいのでは?と先方から言われました。

それでも、それぞれ別のデイサービスを利用するのは得策ではないとケアマネより先方に訴えてくれて利用できるようになりました。

が、しかし。

他の利用されている方とのトラブルが起きてすぐに利用を断られました。

更には下宿の方も対応するのが限界であるとも言われ、八方ふさがりでした。

そのことをケアマネに相談したところ「夫婦一緒にというのは諦めて、それぞれ別々に考えましょう。特にお父さん(継父)は在宅での生活はもう限界に来ているので、グループホームなどに入居させてお母さんが面会に行く形にした方がいい」と助言をもらいました。

しかし、時期は年末であり入居できることが非常に厳しいのではと感じましたが、下宿からは退去宣告に近いことを言われ正直焦っていました。

ケアマネも必死になって探してくれおり、そのおかげで1人欠員ができたグループホームを探してもらえました。

すぐに入居の申し込み、契約を済ませ、年末ぎりぎりに継父のことは解決しました。

後は母の今後をどうするかをケアマネと相談しながら進めることにしました。

所変われば行動も変わる

母はA市では飲酒・喫煙していたのですが、下宿に入居してからはそれを辞めさせていました。

しかし、少しお小遣いを持っていることと、道路の目の前がコンビニであったのでお酒などを買ってきてしまうので困っていると、ケアマネより

「お母さんにはできるだけ現金を持たせないことと、目の前にコンビニが2つあるのでお母さんが来たら売らないようにしてもらうようお願いしときましょう」

「後は、ノンアルコールの飲料でごまかせるといいのですがね」と。

それで2つのコンビニには売らないよう伝えて了解してもらい、ノンアルコールの飲料を1日1缶差し入れる形にしたところ下宿での様子は非常に落ち着きました。

継父のグループホームも目の前で、面会も母一人で行くことができるので精神的に安定してきましたが、継父がグループホームに入居してから見違えるように認知症状が安定し、母はまた同居したいとの訴えをするようになり、これはこれで困惑したものです。

しかし、ケアマネから母に「グループホームだから、プロだから安定しているのであって、戻ってくるとまた同じ繰り返しになる可能性が高いです。毎日面会してあげて、そこで時間を過ごしてもらうのが一番いいと思いますよ」と言ってくれ、本人もすべてではないが納得してくれたのでした。

この間に母もデイサービスの調整をしてもらっていたのですが、通ってはトラブルを起こし利用を断られるを繰り返していました。それでもケアマネはめげずに「デイサービスの事業所は沢山ありますから。根気よく探しましょう」と言ってくれて、母親に寄り添った支援をしてくれてすごいなと素直に思いました。

そうして何件かデイサービスを転々としていましたが、そうやくデイサービス内に仲良く話しかけてくる利用者がいてくれ、そこのデイサービスは今でも楽しみにして通所してくれています。

継父も症状が安定しているので、たまに外泊させて夫婦水いらずで過ごせるようにまでなりました。

将来的なことを考えて特養の入所申し込みをしておきましょうか?と助言をもらい、申し込みだけすませました。

今はとても夫婦とも精神的にも安定しているので、このまま過ごしてもらえると母夫婦にとっては一番いいのではなかと思って今は在宅生活を過ごしています。

介護経営 メールニュースでは、介護施設経営者が知りたい集客ノウハウや注目のサービスなど、最新のニュースを配信しています。ぜひご購読ください。

メールニュース登録

関連記事