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公開日:2018年12月12日

富山型デイサービスの進化系! 北海道・江別市「地域共生ホームてまりの華」後編

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吉田 匡和(介護ライター)

地域ケアシステムが推進される中、年齢や障害の有無で利用者を区別せず、乳幼児から高齢者まで利用できる「富山型デイサービス」が全国に波及しています。中でも北海道・江別市の「地域共生ホームてまりの華」は、「富山型以上に共生が進んでいる」と言われ、多くの関係者が注目しています。開設までのプロセスと現状を取材しました。



少年と高齢者の触れ合いで利用者ゼロから脱却


念願の富山型デイサービスを開設したものの、「富山型」や「共生型」という概念が地域のケアマネジャーなどに理解されず、高齢者・児童ともに利用者ゼロの状況が続きました。もうひとつの小規模型デイサービスが黒字経営だったため、職員の給与などは何とか確保できていたものの、「数か月間利用者がとても少ない状況には、若干焦りを感じていた」と言います。

そんな状況を、ひとりの少年が変えてくれました。自閉症と診断されたその少年は、通所当初、泣くことと叫ぶこと、自傷行為を繰り返したりしていました。てまりの華に来るまでも、児童発達支援で療育プログラムが実施されていたものの、コミュニケーションができないと理解できません。「子どもだけだとイジメが起こることがありますが、ここには優しく見守り、時には愛情を持って叱ってくれる高齢者がいます。そんな環境の中で子供たちは障害の有無にかかわらず素直に育っています」。

自閉症と診断された少年は、高齢者とかかわることでコミュニケーション能力を身に付け、感情を豊かにし、自分で考えて行動できるようになりました。高齢者にも変化が見られます。「デイサービスなど子供っぽい」と他の通所を拒んでいた男性が、子供たちの面倒を見ることに責任を感じ、自主的に利用し始めたといいます。相互効果が話題になり、開業から半年を過ぎたときに、地元のテレビ局の取材受けることになります。高齢者と児童が生き生きしている姿が反響を呼び、少しずつ利用者が増加。開設から1年後には、どちらも定員を満たし、黒字経営として軌道に乗せることができました。



地域に支えられたからこそ成功した


手ごろな物件を探していたところ、偶然にも売り出された渡邊氏の自宅の隣の一般住宅が「てまりの華」として使用されています。「住民が経営者、古くからある家がデイサービスであることが、地域に違和感なく受け入れられた要因」と言います。住民の反対により保育園の建設が頓挫する地域がある中、渡邊氏のもとには地域から家や土地を貸し出したいという声が寄せられています。公園などで遊ぶ子供の声に耳を傾け、「昔は多くの子供たちが遊んでいた」と活気があった時代を懐かしむ人も多く、七夕やハロウィンなどで地域の家をまわると高齢者の住民の方々は喜んでお菓子を差し出してくれるなど、地域ぐるみで子供たちを育んでいます。

フランチャイズにしたら儲かると言う話もありますが、「そのつもりは全くありません」と言い切ります。「自分でやってみたいと言う人には立ち上げや開設の手続きの方法を教えますが、自分が住んでもいない地域で共生型を始めようと思いませんし、ノウハウだけを売ろうと思いません」と強調したうえで、「ノウハウなんて言ったって、やってみたら上手くいったと言うだけのことですから」と笑い飛ばしました。



生活の中に共生がある


「まるでお正月に親戚一同が集まっているようだ」。筆者が「てまりの華」を訪れたときの第一印象です。高齢者と子どもが違和感なく同じ空間にいることに驚きとともに、居心地の良さを感じました。同じ家に高齢者と子どもを集めただけで、自然に交流するわけではありません。調理や畑仕事など一つの作業を一緒に行うなど、ともに協力し合う仕組みを仕掛けることで、徐々に孫と祖父母のような関係が形成されていきました。最初は「認知症の高齢者と子どもを一緒にして大丈夫?」「障害のある子どもと高齢者を一緒にして大丈夫?」と心配していた方々も、自分の目で確かめることで納得されています。

共生の取り組みに関心を持ち、数百組もの団体が視察に来ましたが、実施に至る事業所は僅かです。渡邊氏はその理由をこう話してくれました。「社会性を重視して高齢者の方々に子供の面倒を見てもらう機会を増やすことがポイントです。職員がしてあげる、させてもらうという昔ながらの奉仕の心では、共生は実現できません」

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https://yts.jp/article/c-1087/



■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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