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公開日:2018年12月12日

課題だらけの改正入管難民法が成立! 在留資格「介護」が焼け石に水な理由 前編

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吉田 匡和(介護ライター)

臨時国会最大の焦点となっていた改正入管難民法などが、2018年12月8日に国会で正立しました。在留資格を新設して外国人労働者受け入れを拡大することを目的として政府は、人手不足が問題視されている介護分野に、5年間で最大6万人の受け入れを見込んでいます。一方で17年に始まった介護分野の技能実習で予定通りに人材確保が進んでいないことや、外国人実習生がパワハラやセクハラを受けていること、最低賃金以下で長時間労働を強いられるなど、国際問題に発展しかねる事実も発覚しています。



在留資格「介護」成立までの経緯


日本は2006年にフィリピン、2007年にインドネシア及びベトナムと合意に達し、経済連携協定(EPA)による外国人介護士の受け入れがスタートしました。東南アジアの3カ国と介護人材の受け入れに合意した背景は、EPAの交渉を優位に進めるためであり、必ずしも介護業界のニーズに応えることを目的ではありませんでした。EPAは介護福祉士の取得を必須とするなどハードルが高いため、ほとんどが定着せずに帰国してしまうなど失敗を認めざるを得ず、新たな外国人介護人材の受け入れの方法の検討が必要になりました。

これまでの反省を踏まえて、17年11月に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行され、介護分野の技能実習生の受け入れを開始しました。これまでのEPAより規制が緩和され、介護の担い手として多くの外国人が集まることが期待されました。今回の法改正ではさらなる外国人労働者受け入れの拡大を目的に在留資格が新設されています。



外国人介護職受け入れ方法別比較


  EPA 技能実習生 在留資格「介護」
就労期間 4年 3年(諸条件をクリアした場合は5年)       最長5年(更新可)      
介護福祉士の国家資格に合格した場合は永続的に滞在可能
受入国         インドネシア、フィリピン、ベトナム   討議議事録(R/D)」ならびに「補足討議議事録(補足R/D)」を締結している 送出し国15カ国 制限なし
雇用契約 基本的に日本人と同様
配置基準 最初の6ヶ月は配置基準に含めることができない
日本語能力   おおよそN2以上 入国時N4所持、1年後N3の取得義務がある おおよそN2以上
人財紹介団体 JICWELSのみ 各監理団体
配属までに必要な時間 マッチングの約1年 面接後4~5ヶ月(ベトナム) 面接後6~7ヶ月(ミャンマー) 留学ビザとして入国→介護福祉士養成施設(2年以上)→介護福祉士資格取得→配属
メリット                     ・政府の政策的な側面からのバックアップが強い
・政府から補助金が受けられる
・4年後国家試験に合格すれば介護士として定員に数えられる
・膨大な介護職ニーズに対応可能
R/Dを取り交わしている送り出し国15ヶ国から受入可能
・N3相当まで現地で教育し、基礎的介護技能教育全般も現地で行う送出し機関から受け入れられれば、相当有用に活用できる
・受入可能国の指定がない
・何かと制限の多いEPA制度を使わなくても介護士を雇うことができる
デメリット ・EPAで日本に来ても難しい介護福祉士試験に受かる人が少ない。
・国家資格取得後、帰国者が多い
・結果的に帰国してしまう人が大半である
・日本語能力がEPA,在留資格介護と較べて低い
・国家資格を所持していない
・N4レベルで入国させると、労働しながらN3合格はほぼ無理で1年で帰国することになる
・基礎的な介護技能教育全般を行うことなしに受入れると、日本での介護教育に多額の費用と時間がかかってしまう
・介護士採用まで時間がかかりすぎる
・本人に留学費用がかかりすぎ、かつ介護福祉士に受からなければ結局日本で働けない
・国家資格取得後、帰国者が多い

出典:国際事業協同研究組合
https://www.ibr-c.com/business/care/system/



思うように進まない外国人労働者の受け入れ


介護分野の技能実習生の受け入れを開始して1年が経過しましたが、先ごろの調査報告で一年間に来日した外国人は247人、在留資格「介護」は177人にとどまることがわかりました。また既存の在留資格で受け入れた外国人介護職は10年で5000人にも満たないことが分かりました。

18年10月末までに監督機関である「外国人技能実習機構」には986人の申請があり、実習生として認定された472人のうち247人が来日しました。認定された人の出身国はインドネシア(144人)、中国(142人)、ベトナム(60人)。残りも手続きが済み次第来日する見通なものの、日本政府関係者は「期待より少ない」と認めています。

課題だらけの改正入管難民法が成立! 在留資格「介護」が焼け石に水な理由 後編に続く


https://yts.jp/article/c-1086/



■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:https://buleorca.webnode.jp/

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