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二つの宅配便の共通点|笹井清範の「本日開店」

2017年11月09日


制作:月刊「商業界」編集長 笹井清範

昨日届いた二つの宅配便。
それらは共に注文していた商品でした。
一つは店舗で試着して注文した商品。
一つは毎月異なる商品が届く定期購入品。
これら二つには、その買物の満足感を本質的に高める共通点がありました。

“工場直結ジャパンブランド”を旗頭とする衣料品・服飾雑貨店「ファクトリエ」。
その店名は英語のファクトリー(工場)と仏語のアトリエ(工房)に由来しています。
どの商品にも根底に「語れるもので、日々を豊かに。」というコンセプトが貫かれています。

届いた荷物を開けると、店舗で試着したカーディガンに二つの手紙が添えられていました。
共にプリントではありますが、丁寧に記された手書きです。
一つは、伝え手であるファクトリエ店主の山田敏夫さんからの近況報告。
ファストファッションの国、アメリカでは昨年、5兆円分の未使用の服が廃棄されていることが触れられていました。
もう一つは、作り手である日本有数のニット産地、新潟・五泉のニットメーカー、川島の代表、川島幹生さんからのメッセージ。
長年培った技術と努力がこの商品に注いでいることを伝えています。

“世直しは、食直し。”をミッションとする食べ物付き情報誌「食べる通信」は、2013年、東日本大震災後、疲弊する東北の生産地と作り手の価値を伝えようと始まりました。
食を通じて地方の生産者と都市の生活者を“かき混ぜる”ことで、双方を豊かにしようという理念が共感を呼び、今では全国39地域に広がっています。
丁寧につくられた生鮮品には、作り手と使い手をつなぎ、費やして消す者だった消費者を、活かして生きる者である生活者に変えていこうというビジョンが流れています。

届いた荷物を開けると、カラー16ページのタブロイド判雑誌「東北食べる通信」と、今月号特集テーマ、山形県高畠町の中川吉右衛門さんと美花子さんご夫妻がつくった玄米3合。
誌面には、玄米の炊き方、編集部が選んだおにぎり9選、中川吉右衛門さん流自然栽培を抑えて、お二人の馴れ初めから駆け落ちの物語が巻頭を飾ります。
その物語を読むうちに、読み手は中川さんの米づくりに対する覚悟と信念を知ることになるのです。
「食べる通信は単に特産品の定期販売事業ではありません。作り手のライフストーリーと共に、食べものをいただき、ごちそうさまを伝える――という作り手と直接つながる取り組みなのです」と創立者の高橋博之さんは言います。

お客様が求めているのは
商品ではありません
商人の人間としての
美しさを求めています

これは商業界創立者が伝え続けた商いの心。
“美しさ”とは他者を思いやる心であり、志です。
ファクトリエと食べる通信――この二つの取り組みに私はそれを見ます。

いま、しばしばメディアでは「消費はモノからコトへ」と言われます。
しかし、勘違いしてはなりません。
確かなモノだからこそ、体験に値するコトがあり、語るべきモノガタリがあるのです。
この秋いちばん冷え込んだ今朝、私がファクトリエのカーディガンに袖を通し、お弁当に東北食べる通信の玄米を詰めたことを、この一文の締めくくりとします。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
https://ameblo.jp/19660726/entry-12326018960.html