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語るより生きよ|笹井清範の「本日開店」

2017年5月30日


制作:月刊「商業界」編集長 笹井清範

今日は福岡で取材でした。
次の文章は、昨年10月に同社の従業員の集いに参加したときのもの。
売上高や利益よりも、社員定着率を経営目標としているのです。

昨日は、福岡を拠点に180店超、1000人以上の従業員さんが活躍する、人を大切にする経営を実践する惣菜店「むすんでひらいて」の感謝の集いに参加しました。
同社は、商業界が提唱する商人の行動訓「商売十訓」を実践する企業としても知られています。

お客に有利な商いを毎日続けよ

これはその第3訓ですが、同社がそれをまさに実践したときのことを取材したことがあります。
九州の暮らしを混乱させた熊本地震のときのことです。

熊本県に展開する店は23店舗あり、大きな被害を受けました。
各店の店長やスタッフたちは、地震が被災しながらも店に駆けつけると、比較的損傷が少なく、自分たちで店を開けられると判断した店はすぐに動きました。

「水が出なければミネラルウォーターを買ってくる、ガスが出なければ家からホットプレートを持ってくる。そうして対応しようとした店もあったほどです。何とか商品をつくろうというスタッフは本当に数多くいました」

こう語るのは、むすんでひらいての部門会社で、店舗運営を担うイーティーズの社長、原田航太さん。

店にはお客さんが殺到しました。
家庭ではまだガスが復旧していなかったり、地震が怖くて使えない人も多く、地域の人たちは温かい食事を待ち望んでいました。
作りたての弁当や惣菜は喜ばれ、店によっては普段の2倍の売上げを上げるところもありました。

「今回は人間力で対応しました。地震が起きて私が店長たちに連絡を取ろうとした時も、すでに彼らはスタッフたちの安否を確認していました。指示したわけではなく、皆自分の判断で進めたんです。しかし、もし被害に遭った店が多ければ、それはできなかったかもしれない。今後は報告・連絡の体系づくりが必要と感じました」(航太さん)

むすんでひらいての社長、原田正照さんは、それらの仕組みを回すにも、まず“精神”が欠かせないと言います。

「損得よりも先に善悪を考えるーーふだんは抽象的な言葉ですが、こんなときだからこそ具体的に考えられました。地域のお客様のためにとにかくつくる中食の役割をあらためて見直しましたし、何より私自身が試されていると感じました」と正照さん。

事業は社会にどう役立っているのか、建て前ではなく、全スタッフがふだんから真剣に考え、取り組む姿勢があってこそ、緊急時の態勢も生きると、正照さんは強調します。

商業界創立者、倉本長治は、こんな言葉を残しています。

「商店経営には勉強や研究は絶対必要だが、何を学んだかが大切なのではなく、何をなしたかが大事なのである。いかに人によく語ったかではなく、いかによく生きたかが大切なのである」

魂のこもった商売十訓を、私は同社の中に見ました。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
http://ameblo.jp/19660726/entry-12213953530.html

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