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店のしつらえの技術|笹井清範の「本日開店」

2017年5月1日


制作:月刊「商業界」編集長 笹井清範

「消費者」という言葉に、しっくりとしない抵抗感を覚えます。
それは、お客を「(商品を)費やして消す者」と捉えることへの違和感から来ています。
ですから、消費者の代わりに「生活者」と表現することを心がけています。
なぜなら、私たちが向き合っているのは「お客さま」と呼ばれ、一人ひとりが個性を持つ「(商品を)活かして生きる者」なのですから。

こう考える人は多いようで、国語辞典「大辞林」第三版では、生活者をこう定義しています。
「人は単に消費するだけではなく、消費活動を通じて生活の豊かさや自己実現を追求しているという考えに基づき、消費者に代わり用いられる語」
お客さまを生活者と捉えると、そこには私たちが自らの商いで喜んでもらいたいと願う相手の顔がはっきりと浮かぶのではないでしょうか。

「あの人に、この商品で笑顔になってもらいたい」
そんなことを考えながら営む商いにこそ、私たちの喜びがあるはずです。
そのために私たちは、商品を仕入れ、またはつくるのです。
そのために私たちは、店を構え、売場を整えるのです。

商業界草創期の指導者、岡田徹は次のような詩を遺しています(商業界刊「岡田徹詩集」)。
そこには、活かして生きる者としてのお客さまをしっかりと意識した商人の愛情が表現されています。

何でも一通り揃えております。
しかし、ロクなものはございません。
――こういう商売のどこに
お客を引く魅力があるだろうか。

AとBの二種類しかございません。
しかし、そのいずれもが
確信のある品でございます。
――こういう特色のある商売の仕方に
お客は大きな魅力を感ずる。

商業界6月号特集「購入率と客単価を伸ばす“店のしつらえ”の技術」では、お客さま視点に立った売場改善を行うことで業績を上げている4人の商人を取材しました。
どの店もすっきりとした清潔感にあふれ、居心地の良い空間でした。

彼らは異口同音に言います。
「お客さまにお勧めしたい商品がはっきりとし、自信を持ってお勧めできるようになりました」
結果として、無理な値引きをすることなく適切な利益をいただきながら、お客さまが喜んでくれるようになったそうです。
加えて無駄な在庫やロスも減り、経営状態も改善しています。

お客さまを「費やして消す者」と捉えたら商いのフォーカスは、商品という“物”に当てられ、自店の都合が優先します。
しかし、「活かして生きる者」と捉えたら“人”を見つめ、彼らの喜びを第一とするようになります。
「消費者と生活者の違いなど、たかが表現上のこと」と思ってはいけません。
私たちは言葉によって生きる存在なのですから。

※転載元 笹井清範の商人応援ブログ「本日開店」
http://ameblo.jp/19660726/entry-12267297746.html