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配偶者控除拡大で「パートの働き方」「家族手当」が変わる!


制作:福田 秀樹氏 (特定社会保険労務士/株式会社福田式経営研究所 代表取締役)

現行、配偶者の配偶者控除の対象となる配偶者の給与収入の上限は103万円です。来年、平成30年より配偶者控除(配偶者特別控除)の上限が150万円に引き上げられます。

会社は、2つのことを検討する必要があります。一つは、「家族手当」です。もう一つは「パートの働かせ方」です。

1.家族手当が変わる


平成27年の民間給与の実態調査(人事院)によれば、家族手当制度がある会社は76.5%、そのうち配偶者に家族手当があるのは90.3%です。その配偶者手当の支給要件はの収入制限の額が、103万円が68.8%、130万円が25.8%となっています。つまり、配偶者手当のある会社の支給要件の大半が実質、「奥さんのパート収入が103万円」ということです。その上限が来年には150万円になりますので、何らかの見直しをする気運も高くなってきます。

また、大手企業や公務員は既に家族手当の見直しに動いています。

経団連は、会員企業に今年の春闘で、配偶者手当の廃止や削減を呼びかけました。また、公務員は現行配偶者13,000円、子ども6,500円を、2018年には配偶者6,500円、子ども10,000円に見直されることが決まっています。

家族手当は女性の就労促進を阻害するものだ、男女の差別的賃金につながるものだとかねてより批判が強まっていたからです。

来年の税制改正(103万円→150万円)は、大手企業、公務員に広がった家族手当の見直しが中小企業に波及するきっかけになります。

今年、平成29年は「家族手当見直し元年」といえます。

2.パートの働かせ方が変わる


妻の年収が130万円以上なら、夫の社会保険(健康保険・厚生年金)の被扶養者になることができません。夫の所得控除の103万円(改正後は150万円)の壁よりも、社会保険上の130万円の壁を越えてしまう影響(手取り減)が大きくなります。妻自身が単独で保険に加入する必要があるからです。

したがって、典型的な主婦パートは年収130万円までで仕事をおさえるはずです。逆にいえば、130万円までは働きたい、または企業も人出不足ですから、130万円までは働いてくれないかということになると思います。

平成28年10月より社会保険加入者501人以上の事業所は、週20時以上勤務で、月8.8万円(賞与・残業代・通勤手当除く)のパートに対して社会保険加入が義務付けられていますので、130万円を超過するしないにかかわらず、これにあてはまるパートは単独で社会保険に加入することになります。

3.会社は何をしなければならないか。


会社は2つのことがまず求められます。

その① 家族手当の規定の検討

家族手当(特に配偶者手当)をどうするかです。特に現状でかまわらないということでも大きな実害はないと考えますが、配偶者に対する家族手当の支給要件が103万円であれば、「社会情勢に遅れをとった、わかりにくい制度」になってしまいます。配偶者手当を廃止もせず、金額も見直さないにしても、支給基準を「健康保険の被扶養者(130万円未満)」と直しておくことをお勧めします。

その② パートの意向調査

今までパートの頭にあった「103万円」が「150万円」になります。いえ、「103万円」が「130万円」になるのです。一般的なパートは130万円まで働きますということになると思われます。しかし、夫の会社の家族手当が103万円を基準としている可能性がまだあります。その場合、103万円までが給与収入の上限というのが残るパートがいます。

ですから、パートにはさまざまなニーズが生じます。

●正社員となってバリバリ働きたいのか?
(まだまだ子育てや介護に手がかかるので)

●社会保険に入って年収180万円程度まで稼ぎたいのか?

●社会保険に入って年収150万円まで稼ぎたいのか?

●社会保険は夫の扶養に入って130万円までで押さえたいのか?

●以前として103万円までで押さえたいのか?

などを今年中にパートに対して意向調査をする必要があります。特に流通・小売業などはパートのほうが人数が多いのですから、来年の経営計画・人員構成に重大な影響を及ぼします。パートへの説明会・相談会なども必要でしょう。税・社会保険が縦割りで整合していないので、本当に働くパートにとってわかりにくく、悪い制度になっています。会社が説明してあげる他ありません。

対応に遅れをとれば自分の「意向」が通る職場にサッサと転職してしまうという事態になりかねません。

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