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飲食店にありがちな従業員とのトラブルと予防方法(2)


制作:おぬおぬ(行政書士・ライター)

店長、責任者からの残業代請求


「管理者は勤怠管理をしなくて良いし、残業代も払わなくて良い。」、こんな話を耳にしたことはないでしょうか。
これは正しくて、事業の管理監督者については割増賃金の支払いは不要です。
すると、「じゃあ店長はどんなに働かせても残業代払わなくてOKなんでしょう。」という解釈をして小さなお店を店長ほぼ一人に任せてしまうオーナーさんがいらっしゃいます。
しかし、これは許されない可能性が高いです。

なぜなら、労働基準法上の「管理監督者」とは、「経営者と一体となって経営を左右する様な仕事に全く携わっているか」という点が問われるからです。
従業員が足りないにも関わらず、他の従業員を雇う権限や、自分の意思でお店を閉める権限が無い為に、やむなく毎日残業している、という様な店長は「管理監督者」ではなく「労働者」と判断される可能性が高いので、勤務時間の管理も、時間外手当も必要になってきます。

これは某コンビニの店長さんが「管理監督者にあたらない。」と判断された判例が有名です。

<予防策>

役職が店長であっても、労働者の要素が強い場合には、勤怠管理、時間外手当の支払いを必ず行う

いわゆる「雇われ店長」は「管理監督者」ではなく、「労働者」の可能性があることを忘れずに、きちんと従業員としての管理を行う様にしましょう。管理について具体的には前回の記事を参照して下さい。

契約社員の契約更新拒否が出来なくなった?


有期雇用従業員の扱いについてです。繁忙時期や人手不測の時期に臨時に従業員を雇いたい、また、「ウチの会社に合うか分からないからまずは有期雇用で雇ってみよう。」といった状況は多く、契約期間後に継続して雇用するかどうかを判断できる、いわゆる契約社員という制度はオーナーさんにはとても便利です。

しかし、この制度は労働者の地位を不安定にすることが懸念されており、一定期間経過後(雇い入れから5年経過後)は労働者が希望すれば無期雇用へ転換しなくてはいけなくなりました。その場合、更新の時期に業績が悪くても雇止めが不可能な場合になる、ということですね。

<予防策>

これはルールですので、明確な予防策、というものはありませんが、このルールの存在自体は把握しておくべきでしょう。また、無期雇用への転換や正社員化をすることで助成金が受けられる場合もありますので、可能な限りそういった制度の活用を検討するべきでしょう。

ノウハウを知った後に独立されてしまう


これも飲食店には大きな問題なのですが、「信頼していた従業員が経営のノウハウを知った途端に他の従業員やお客さんを引き連れて独立してしまう。」といった問題が起こることがあります。
オーナーさんとしては経営の死活問題に直結するのですが、だからといって退職をさせないことは出来ませんし、職業の選択は個人の自由ですから、独立させないことも出来ません。

ただ、雇い入れ時や就業規則においてある程度の予防策を採っておくことは可能なのです。

<予防策>

雇い入れ時や退職時に、競業を避ける旨の誓約書を書いてもらう

また、就業規則に退職から一定期間や特定の場所での競業開始を認めない旨の定めを置き、従業員に周知しておくことで従業員が自主的にその定めを守ることを期待することは出来ます。

ただし、特別なノウハウや技術を必要とする仕事でない場合には退職後の競業避止義務を強制することは難しい、ということも念頭に置いておきましょう。

不正行為の発覚


飲食店のおける従業員の不正行為は、会計のごまかしや、出退勤時間の虚偽報告、備品の窃盗等がケースとしては多い様に思います。犯罪行為の場合には、厳格な対処をせざるを得ない訳ですが、行らないことが一番です。
書類上で予防することは出来るのでしょうか。

<予防策>

防犯カメラの設置や、一人営業を避ける等の予防法はありますが、書面上の予防法としては、やはり就業規則や雇用契約書にて、懲戒に至る行為や懲戒の内容を具体的に定め、明確に周知しておくことや、身元保証人を用意してもらうことが望ましいですね。

労働災害の発生


飲食店において多い労働災害は、転倒、切り傷、火傷、ぎっくり腰、といったものです。
また経験年数別にみると、雇い入れから一年未満の労働者が最も労働災害に遭う可能性が高くなっています。新人さんほど要注意、といったところでしょう。

<予防策>

労働災害が発生した際の事を考え、労災保険への加入は必須ですが、実際に労働災害が起きてしまうと、労働者の将来に大きく影響を与えてしまうこともありますし、また、支払う保険料上がってしまう可能性もあることも考慮すると、当然ですが、未然に防ぐことが第一です。

その為には、各事業所に安全担当者を任命し(事業規模によっては必須です。)、危険だと思われる箇所は事故が起こる前に自然と対策が行われる様な制度を作ることが望ましいでしょう。

具体的には、どこが危険かの職場マップを作製したり、危険な場所にはステッカーを張ったりすることで、危険を可視化すること、実際に、労働災害が起きたケースや起きそうになったケースを共有する(ヒヤリハット報告書)、などの方法が採られます。

セクハラ、パワハラ問題の発生


従業員によるセクハラ、パワハラというのは、一見何の問題もない様に見える職場でも、ある日突然発覚します。
それは従業員から助けを求める相談があったり、他の従業員から報告があったり、また、被害にあった従業員から慰謝料請求が届いたことで発覚する場合もあります。

<予防策>

予防策としては、セクハラ、パワハラに毅然と対応する職場であることをポスターなどで周知する、セクハラ、パワハラに関する講習を定期的に開催し、職場の意識を高める、適度な配置転換で人間関係の固定化を避ける、気軽に相談できる窓口を用意する(外部機関などが望ましいこともあります。)、という方法があります。

セクハラ、パワハラの問題は、表面化した時には大きな問題になっている場合が多く、未然の防止が非常に重要です。

以上、飲食店においてありがちな従業員とのトラブルについてでした。従業員が快適に、その持てる能力を最大限に発揮出来る労働環境を作ることが出来るのは、経営者さんです。事業の健やかな発展の為にも、労働環境の整備をおろそかにしない様にして下さいね。

■著者■ 
おぬおぬ
行政書士。バーテンダーの経験を活かし、飲食店関連許認可、民事法務、入管業務を中心に、顧客との相談が得意な行政書士として活動。 ライター業も行っています。社会保険労務士有資格者、介護福祉士、宅地建物取引士を兼務。

関連記事 >>飲食店にありがちな従業員とのトラブルと予防方法(1)

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