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開業後に欠かせない事務作業について(人事労務)


制作:おぬおぬ(行政書士・ライター)

従業員を雇用した場合に必ず発生する事務作業が「人事労務」です。人事労務に明確な定義はありませんが、一言で言えば、従業員の雇い入れから退職までの管理に関する業務といえます。会計業務と同じく、人事労務それ自体が直接的な利益を生むわけではありませんので、小さな事業所ではおろそかにされがちな部分です。しかし従業員が安心して働き、より良いパフォーマンスを発揮する為には正確な人事労務システムの構築、運営が実は欠かせません。「うちは小企業だし、経営状態を考えても、毎月決まった給料さえ払っていれば良いだろう。従業員から文句もでてないし。」等と経営者さんは自身の都合の良い方向に考えがちですが、一見、不満なく働いてくれている様に見える従業員が「有休をとれないなんて・・。」「サービス残業をさせられるなんてひどい会社だ!」と感じていることは多いのです(当然ですが・・・)。労使間紛争を防止し、経営者と従業員が良い関係を築いていく為にも、人事労務が果たす役割は本来非常に重要なのです。
さて、それでは実際に何をするのか。

人事労務


・契約書類の準備や各種行政庁への届出書類の提出

まず、従業員を雇い入れる際には雇用契約の締結が必須です。この雇用契約書は事業者側に準備する責任があります。また、労働保険や社会保険の加入手続き、毎年の年度更新や定時決定、更には昇給時、賞与の支給時、退職時などの臨時の手続きなど、従業員を雇用する為に行わなければならない手続きは意外なほど多く、煩雑です。ある程度の企業規模であれば、人事担当の従業員を雇い、シフト作成等の人事戦略について一手に任せることが可能ですが、小さな会社や個人事業主さんの場合は、まずは経営者さんが自ら行うことになります。

 

・勤怠管理

次に、従業員を雇っている場合には、その勤務状況を記録、管理し、それに基づいて給与の計算を行います。
そして勤怠管理の方法としては、一般的なものをご紹介しますと以下の通りです。

➀出勤簿
➁タイムカード
➂ICカード、指紋認証、PC,スマホでの打刻

これらはそれぞれに特徴があります。
➀の出勤簿の作成は、アナログな方法ですが、それ故に分かりやすいとも言えます。手間はかかりますが、費用はほとんどかかりません。
➁のタイムカードでの管理は、導入の初期費用はかかりますが(1~2万円程度)、ランニングコストはほぼかかりませんし、打刻の際の記入の手間が省けます。難点としては結局集計の手間がかかることですね。
➂の方法は、これから勤怠管理のシステムを導入することを検討されている場合には、非常におススメできます。ソフトによって初期導入費用(数万円程度)又は月額使用料(従業員一人当たり数百円程度)がかかりますが、記録したデータの集計の手間が省けることはそれらの経費を払ってもお釣りがくるほどのとても大きなメリットです。出勤簿やタイムカードでの管理は、給与の締め毎にその記録を集計しなければなりません。これは従業員が増えれば増える程、手間も増えますし、集計ミスも発生しやすくなります。管理ソフトを利用することでこういった手間を省けることのメリットは非常に大きいです。

・ずさんな管理には罰則が?

上記の出退勤の記録には、3年間の保管義務があり、怠ると労基法上の罰則が科される可能性があります。また、それらは賃金や労働時間に関する紛争が起きた際の重要な証拠となりますので、慎重な管理が求められます。

・給与計算

勤怠管理で得たデータを基に給与計算を行います。月一回が一般的ですが、その都度、勤怠データを集計し、残業代や休日手当などの各種手当をつけ、源泉徴収や社会保険料を差し引いて、一人一人の給与を確定させる訳ですので、これも従業員数によっては非常に大きな手間になってくる為、勤怠管理ソフトの導入が便利です。

また、これらの事務作業は直接的に利益を生む訳ではない為、それらに経営者さんの時間が大きく割かれることは望ましくありません。また小規模な事業所では、従業員に任せると、各個人の給与が分かってしまうという、情報漏洩の点での心配もあります。
その為、日々の事務作業にストレスを感じる場合には、思い切って税理士、社会保険労務士等の専門家に外注してしまうことも良いでしょう。付随して専門的な立場で客観的なアドバイスを受けられることも多く、経営者さんの強い味方になってくれることは間違いありません。

・人事労務の重要性とは

上記の様に、人事労務の手続きは複雑で時間がかかります。しかしそれ自体が直接的な利益を生む訳ではない為、多くの経営者さんがおろそかにしがちな部分です。そして、この労務管理の重要性が身に染みて分かるのは、実際に労使紛争が起きた場合だと言えます。正確な人事労務の管理をしていなかった場合、「退職した従業員から過去2年分の残業代の支払い請求通知が届いた。」、「有給を与えていなかった従業員が一気に40日分の有給取得を請求してきた。」などという状況はいつ現実化してもおかしくありませんし、実際にトラブル事例としても非常に多いパターンです。また、1人の従業員との労使間紛争をきっかけに、バタバタと従業員が辞めていってしまう、といった経営者側には悪夢の様な出来事が起こることもあります。事業を継続していくにあたって、経営者と従業員が良い関係を築いていく為にも、労使間紛争から事業を守る為にも、まず最初に正確な人事労務の管理システムを構築し、運営していくことをおススメします。

 

以上、開業後に欠かせない事務作業についてでした。

■著者■ 
おぬおぬ
行政書士。バーテンダーの経験を活かし、飲食店関連許認可、民事法務、入管業務を中心に、顧客との相談が得意な行政書士として活動。 ライター業も行っています。社会保険労務士有資格者、介護福祉士、宅地建物取引士を兼務。

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