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労働保険は絶対入った方が良い!?飲食店に労働保険(労災、雇用保険)を勧めるワケ


制作:おぬおぬ(行政書士・ライター)

従業員は雇ってますか?


飲食店は個人経営だとしても、完全にオーナーさん一人で毎日お店を回す、というのはかなり大変です。ピークの時間帯にお客さんをお断りしなければいけなかったり、料理を提供するまで待たせる時間が長くなってしまった、というのは客数の減少や評判の悪化に直結します。そしてそれは、単純に人手を増やすことで解消できる場合が多いです。つまり、従業員を雇うということですね。メインで働く人間を早番と遅番の二人にする、ピークの時間帯にはアルバイトを雇う、というだけで提供までの時間は大幅に短縮できますし、やむを得ない病気やケガから事業を守ることにもなり、お店の経営は安定する訳です。
さて、従業員を1人でも雇った場合、「労働保険」加入が必須になります。今回はこの「労働保険」について解説していきます。

労働保険とは・・・


労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」のことです。この二つを合わせて「労働保険」と呼びます。この労働保険、実は誤解されていることがかなり多く、加入のメリットが非常に大きいものなのです。

労働保険に入らない理由・・・


従業員を雇ったら労働保険に入らないといけない、という話はほとんどのオーナーさんがご存じだと思います。これはほぼその通りで、法人経営のお店は加入が必須ですし、個人経営だとしても、労災保険は加入が必須です(雇用保険は働く時間数によって必須になります。メインの従業員を雇う場合は、ほぼ加入必須になると思って間違いありません。)。それにも関わらず、労働保険の加入手続きをしていないお店は実は多いです。そこで、オーナーさんに入らない理由を聞くとほとんどは、「だって保険料もったいないじゃん。」という理由だったりします。出費を嫌う訳ですね。

労働保険の保険料


労働保険も、労働「保険」という名前が示す通り、要は保険です。生命保険、自動車保険などなど、全て入るには保険料を払わなければいけませんね。国と民間、運営主体のちがいはあれど、これはある意味当然です。
しかしこの労働保険、実は保険料がとっても安いのです。よく混同されるのが「社会保険」で、これは健康保険と厚生年金のことです。こちらは確かに保険料はそこそこします(給付内容を考えたらこれも本当はかなりお得なのですが・・・)。「保険料もったいないじゃん。」というオーナーさんは、実は労働保険と社会保険を混同していることが多いですね。

安いと言っても実際にどのくらいなのか。


労災保険は最新のもので、飲食業の保険料率が0,0035%です。つまり、従業員に給料として年間300万円払ったとすると、10,500円ということになります。これは年額なので、ひと月あたりにするとたった875円です。かなり安いと思いませんか?
また雇用保険はどうかというと、労災保険よりは少々高いですが、これは労使双方が負担しますので、オーナーさんの実質負担は飲食業の場合、0,007%。これも従業員の給与が年間300万円だとすると、21,000円。ひと月あたりだと1,750円ということになります。つまり労働保険は、年間の給料支払いが300万円の場合、労災と雇用保険を合わせてひと月あたり2625円の保険料です。決してそこまで大きな負担ではないですよね。そして、これを払って何が出来るかと言うと・・・

労災保険に入ると・・・


上記の通り、月額875円で入った労災保険。これで何を補償してもらえるのか。労災保険が補償するのは、従業員が業務上災害にあった場合の事業主の補償債務です。分かりにくいので具体的に言いますと、飲食店で仕事中に従業員が怪我をした場合、その治療費や治療中の生活の補償は「オーナーさん」がしなければいけません。「お店で働いている時のケガなんだから、働かせた人が責任とってね。」という理屈です。業務上災害は一旦発生するとその金額は莫大になることが多いです。ケガや病気、生活の補償は、その程度によっては数百万円、数千万円、なんてこともある訳です。つまり、従業員が怪我したことで、その補償費用が払えずに経営破綻、なんてことも容易にあり得る訳です。それを保証してくれるのが労災保険です。

繰り返しますが、従業員が業務上災害で負傷したり病気になった場合、オーナーさんに代わってその支払いをしてくれるのが労災保険です。よく勘違いされるのですが、この労災保険はそういった補償債務を背負うリスクから、「オーナーさんや事業それ自体を守る保険」なのです。従業員はオーナーさんが労災に入っていようといなかろうと本来関係ありません。補償費用をオーナーさんからもらうか、労災保険からもらうか、だけの違いです。つまり、オーナーさんを守る保険だから、費用は全てオーナーさん負担なのです。ちなみに従業員が出勤中に事故にあった、という場合にも使えます。従業員を雇うことで発生するそういった経営上の大きなリスクを保証してくれる訳ですから、月875円はむしろ「激安」と言えると思います。

雇用保険に入ると・・・


次は、月1,750円で雇用保険に加入すると、どんなメリットがあるのかについてです。雇用保険は労使双方にメリットがありますから、双方で負担します。有名なのは、失業した場合に補償がもらえる、「失業手当(基本手当)」ですね。あとは、再就職手当や資格学校などに通った場合にその費用を補助してもらえる教育訓練給付などなど。これらは従業員側のメリットです。

さて、では事業主側はどんなメリットがあるのか。これはなんといっても「助成金」が受けられることです。厚生労働省管轄の助成金は、そのほとんどが雇用保険加入が必須条件になっています。この助成金は金額も大きく、従業員を正社員にしたり、研修を行えば、一人当たり数十万円~百万円を超える助成金を受けられます。他にも、定年年齢の引き上げをするとか、設備投資など、労働環境を向上させるともらえるものも多いです。保険料を支払っているのに、助成金を使わなければ、確かに保険料がもったいないかも知れません。しかし、きちんと活用すれば、支払った額とはケタが違う給付を受けることも出来るのです。
また、雇用保険に入ることでハローワークを利用して無料で求人を行うことも出来ます。有料の求人誌に求人広告を載せる費用を考えたら、それだけで元がとれるとも言えます。さらにトライアル雇用などの制度を使えば、最初の三ヶ月は給料を雇用保険が一定額負担してくれるのです。 こういった雇用保険の、オーナーさん側のメリットは制度の複雑さもあり、中々一般的には浸透していません。フルに活用する場合には、社会保険労務士を使うことが有効です。

さて、労働保険(労災保険と雇用保険)のメリットについて解説しました。これでも「保険料もったいない。」となるでしょうか。加入を迷っているオーナーさんには「迷うことではありません。すぐ入りましょう。」と強くおススメ致します。

■著者■ 
おぬおぬ
行政書士。バーテンダーの経験を活かし、飲食店関連許認可、民事法務、入管業務を中心に、顧客との相談が得意な行政書士として活動。 ライター業も行っています。社会保険労務士有資格者、介護福祉士、宅地建物取引士を兼務。

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