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飲食店が外国人労働者を雇用する場合の注意点


制作:おぬおぬ(行政書士・ライター)

飲食店が外国人労働者を雇用する場合の注意点

シェフやアルバイトに外国籍の方を雇いたい


お店を出店するにあたり、様々な理由から「外国人従業員を雇いたい。」という場合があると思います。
例えば、外国人スタッフがいることで非日常空間の演出になる、ということもありますし、場所柄によってはその国出身のお客さんが多く集まるお店になることもあります。
実際に、日替わりで違った国出身の従業員がバーテンダーをするというお店もあり、外国人のみならず語学を勉強している日本人が会話の練習や情報交換に訪れたり、国際交流が出来るお店として繁盛している、なんてお店も数多くあります。

また、「アルバイトを募集したら外国人の方が応募してきた。良さそうな人だから雇いたいけれど注意する点ある?」という様に、予想外に外国人労働者の雇用を検討することになった、という場合もあります。

昨今、日本在住の外国人を雇用することは一般的であり、あえて外国人スタッフを雇うメリットもあります。しかし一方で、外国籍の方を雇用する場合には、注意しなくてはいけない点もあります。ここではその注意点について解説していきます。

最も気を付けるべき「ビザ」の問題について


*正確には在留資格と言いますが、ここでは一般的な呼称である「ビザ」に統一して解説します。

一口に外国人といっても、様々な方がいます。オーナーさんの視点から、雇って問題ない方、雇ってはいけない方、制限があるがそれをクリアすれば雇ってもOKな方等、その事情は個人個人によって変わってきます。
在日外国人の方は「在留カード」という身分証をもっていますので、そこに記載されている滞在の目的をきちんと確認するようにしましょう。

簡単にまとめると雇っても問題ないのは以下の様なケースです。

① シェフとして働く目的で適正に就労ビザを取得し、日本に来ている方
② 日本人や永住者と結婚しており、いわゆる配偶者ビザや定住ビザを取得して日本に滞在している方
③ 名前は外国人みたいだけれど、既に帰化して日本国籍を取得している方

こういった方々はそもそもシェフとして日本で働く目的で来日していたり、日本での活動が制限されていなかったりしますので、日本人と同様に雇用しても基本的には問題ありません(①の場合は勤務先が変わったことによる申請が必要)し、働いてもらう時間の制限も特にありません。また、日本に帰化した方は、要は日本人です。オーナーさんとしては安心して雇用できるパターンです。

雇用の際に注意が必要な方


「留学」や「家族滞在」のビザで日本に滞在している、という方は、その名の通り、留学や、家族として滞在することが目的でビザを取得していますから、基本的には就労をすることが出来ません。
しかしこれらのビザは資格外活動をする許可をもらうことで週28時間以内であれば働くことが出来ます。アルバイトに応募してきた方がこれらのビザであれば資格外活動の許可をとってもらい、週28時間以内で働いてもらうようにしましょう。
コンビニや居酒屋などでアルバイトしている外国人学生はこのパターンが多いですね。ちなみに、「留学」の場合は夏休みなどの長期休暇は一日8時間まで働けたりと、雇い方によってはメインのスタッフとしてオーナーさんの強い味方になってくれることも。

雇用してはいけない方


上記の様に、日本に適法に滞在する外国籍の方には、それぞれ日本に滞在する目的が決まっており、その範囲内で活動をすることが原則です。
その為、就労や婚姻生活を目的としていないビザでは日本で働くことは原則出来ません。
問題になることが多いパターンとしては、いわゆる観光ビザで日本に滞在しているにも関わらず就労をするケースや、就労ビザで日本に来たが、仕事を辞めてしまいビザが更新出来ない状態の方(不法滞在)です。そういった人たちは低い労働条件でも構わないから働きたい、と言ってくる場合や必死に懇願される場合も多く、雇ってあげたくなるのがオーナーさんの心情でもあります。

しかし、うかつにこういった人たちを雇い入れてしまうと後々不法就労を助長したとして重い罰則が科せられる場合もありますから要注意です。

外国から呼び寄せる場合


さて、現地で専門のシェフを探して日本に呼び寄せてお店を任そう、という場合もあるかと思います。この場合も最もネックになるのは果たしてビザが取出来るのか、といった点です。実は、いくら料理が上手でも、高学歴でも、人柄が良くても、ウェイターや雑用等のいわゆる単純労働では就労ビザは下りないのです。

まず、シェフの方と雇用契約を結んだ上で、オーナーさんが入国管理局に対しビザの申請を行います。
シェフの場合、申請するビザは「技能」になります。熟練した職人(原則10年以上の実務経験をもっており、それが前勤務先等から証明してもらえる方)しか許されませんので、許可基準は厳しい部類に入ります。尚、修行中の方などを通訳や事務員ということにしてビザをとることも基本的には出来ません。申請を行う場合、その方に十分な実務経験があるか、それを証明することができるか、犯罪歴はないか、をチェックします。この段階で一つでも問題がある場合にはその方のビザ取得は難しくなります。
加えてその方が過去に不法滞在をしていた場合や、あなたの事業が不正な申請をしたことがある場合などは、かなり審査が厳しくなってしまいます。

それから、呼び寄せる事業者の経営状態なども考慮されます。赤字経営が続いている、加入すべき労働保険や社会保険に加入していない、極端に低い給与しか払っていない、帳簿書類が適切に管理されていない、という場合にもビザの許可は下りづらくなります。雇う側がきちんと外国人労働者を管理できるのか?という点が問われるのです。一般的には、個人事業よりも法人の方が、法人の中でも中小企業よりも大企業の方が信用を得やすい為、ビザは取得しやすくなります。また、これから事業を始める、という場合には、当然実績は提示できませんから、詳細な事業計画書を作成し、なぜその外国人を呼びよせるのか、その必要性について入管側に説明し、納得してもらえればビザが取得できるのです。

上記の様な問題をクリアして、ビザの取得が出来てから、日本へ呼び寄せることになります。申請から許可までの期間は1か月程度から、審査が長引いたり追加書類の提出が必要になった場合には三ヶ月以上かかる場合もあります。
お店の重要なポジションとして外国人労働者を雇用することを考えている場合には、早い段階でビザの準備を進めましょう。尚、許認可全般に言えることですが、一度不許可になってしまうと、再申請は厳しく審査されがちです。
つまり、一度目の申請でスムーズに許可をもらうことがとても重要です。ビザの申請は専門的な知識も必要になりますので、判断がつかない場合にはまず専門の行政書士に相談されると良いでしょう。

以上の様に、外国人労働者を雇用するには、様々な条件をクリアしなければなりません。しかし、外国人労働者には日本人労働者とは違った個性があり、それがお店に良い影響を与えることも多いのは事実です。ご自身の理想のお店に近づける手段の一つとして、経営の良きパートナーとして、検討してみては如何でしょうか。

■著者■ 
おぬおぬ
行政書士。バーテンダーの経験を活かし、飲食店関連許認可、民事法務、入管業務を中心に、顧客との相談が得意な行政書士として活動。 ライター業も行っています。社会保険労務士有資格者、介護福祉士、宅地建物取引士を兼務。

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