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公開日:2017年2月6日

飲食店開業-「個人事業主」のメリット・デメリット


制作:おぬおぬ(行政書士・ライター)

飲食店開業-「個人事業主」のメリット・デメリット

お店の開業許可も取れる見込みでようやくオープンにこぎつけられそう。
これからバリバリ稼ぎたいけど、結局儲ける為には法人にした方が良いの?
個人事業でする方が良いの?その分かれ目について開設します。

法人で行う?個人事業で行う?


さて、実際に飲食店を始めるのにあたり、それとも個人事業で行うのか、法人を設立し会社として事業をスタートさせるのか、ここは皆さん非常に悩まれるところです。「飲食店は個人事業で十分って話を聞いた。」「法人の方が税金を抑えられるんでしょ?」等、様々な意見がインターネット上にもあふれています。しかしこの問題、一概にどちらが良いのを決めるのは難しいのです。個人事業には個人事業の、会社には会社のメリットとデメリットがあり、どちらも一長一短。あなたがやりたいと考えている事業の規模、今後の展開によって、それぞれのメリット・デメリットの大きさが変わってきます。ここでは個人事業と会社、それぞれのメリット、デメリットについて解説していきますので、参考にしてみて下さい。

まず個人事業のメリットをみていきましょう。主に、

<メリット>

・開業の費用が抑えられる
・開業、経営、廃業の手続きがシンプル
・交際費が無制限
・経営上の意思決定が楽

といったことがあげられます。

開業の費用が抑えられる


法人の場合にはまず法人の設立費用が掛かります。設立費用は、定款の作成費用や登記の印紙代等で株式会社で最低25万円程、合同会社でも最低6万円程度かかります。個人事業の場合にはこれがまるまる要らない訳です。

開業、経営、廃業の手続きがシンプル


法人は設立時もその後の手続きも煩雑です。設立時には、公証役場、法務局での手続きが要りますし、設立後には税務署、都道府県・市区町村の税務課、年金事務所への届出が必要になります。帳簿も青色申告に備えて複式簿記にする必要がありますので、日々の記帳が複雑になることに加えて確定申告に備えて貸借対照表も作成しなくてはなりません。これらを個人でやることはかなり難しい為、一般的には税理士に依頼することになります。つまり税理士への報酬が発生します。そして経営が上手くいかず廃業するときにも、清算の手続きが必要になります。清算の手続きでは弁護士に依頼することも多く、その出費は小さなものではありません。

それに比べると個人事業の場合には、開業の届出さえ税務署へ提出すれば、日々の記帳は単式簿記で問題ありませんので個人でも簡単に出来ますし(白色申告の場合)、確定申告も法人に比べると必要書類が少なくて済みます。要はオーナーさんご自身でも少し手間をかければ出来る訳です。

さらに大きな違いは社会保険でしょう。法人の場合は例え従業員が一人もいなくても強制加入ですので、社会保険に加入しなければなりません。その点個人事業であれば飲食業は任意加入です。従業員の数が多くなればなるほど社会保険料の支払いも増え、事務の負担も大きくなります。事業規模によってはかなりの負担になりますので、加入しなくて済む個人事業の方が良い、という場合もあるでしょう。

交際費が無制限


個人事業では接待に係る飲食や、贈り物等でかかるいわゆる交際費は無制限に経費として認めてもらえます。もちろん個人的な飲食代はダメですが。これは経営にとって大きなメリットと言えます。法人の場合は、これに制限が掛かります(資本金一億円以下で年間800万円まで)。会社の場合は事業規模が大きいことが多いので、個人事業よりも厳格に管理される訳ですね。

経営上の意思決定が楽


法人では事業に関する意思決定は総会を開いた上で決定し、その結果は議事録に残さなければなりません。これは役員一人の会社でも同様です。役員報酬を決めるのも、事業内容を変更するのも総会を開いた上で、議事録に記録、場合によっては変更の登記をしなければなりません。こういった手続きの煩わしさを避けることが出来るという、フットワークの軽さも個人事業のメリットの一つと言えます。

以上がメリットの代表的なところです。

次にデメリットの代表例をあげてみます。

<デメリット>

・事業の失敗の責任を個人が負う
・資金調達が不利
・経費の種類が少ない
・事業主が社会保険に加入できない

事業の失敗の責任を個人が負う


個人事業というのは、事業を行っているオーナーさん個人が事業主体です。つまり万一事業で失敗した場合、その責任を負うのはオーナーさん個人ということになります。例えば飲食店の経営で食中毒をだしてしまい、お客さんが死亡してしまったという場合、その責任(損害賠償等)をオーナーさんが個人で負わなければなりません。発生した何千万円という損害を、自身の預金や不動産などの資産から支払わなければならないのです。それに比べて法人の場合は、事業の経営主体はあくまで法人ですから、法人の資産の範囲で賠償をすればよく、原則的にはオーナーさん個人の財産は守られます(別に経営の責任等を問われる場合もありますが。)。この違いはリスクヘッジの観点からは非常に大きいですよね。

資金調達が不利


「新しい店舗を出したい。」「資金繰りが厳しいので援助を受けたい。」とった場合に、一般的には銀行へ融資を申し入れます。その際の判断材料になるのが、財務諸表等の会計資料です。個人事業でこれらをきちんと作成していない場合には、融資はまず受けられません。つまり個人の信用の範囲で借り入れを行うしかない訳です。また、公的な助成金や補助金を申請したいと思った場合にも影響がでてきます。助成金自体は個人業でも会社でも申請できる場合が多いですが、社会保険加入が条件になっているものもあります。会社ならば当然に加入しているはずですから問題なく申請出来ますが、個人業の飲食業は任意加入です。となると必然的に加入していない事業所が多くなります。結果として助成金を気軽に活用出来ない・・・となってしまうことがある訳ですね。

経費の種類が少ない


前述の通り、交際費に関しては上限がない分個人事業の方が有利と言えますが、その他の経費については法人の方が有利な場合が多いです。自宅兼事務所を会社が社宅として借り上げて経費としたり、社内規定で経費の種類を増やしたり、自動車なども完全に会社の所有物とすることが出来ます。個人の支出と経費の境目が曖昧になりやすい個人事業では、経費として認めてもらえにくいものが多いのです。

事業主が社会保険に加入できない


長く事業を続けていくにあたってはやはり社会保険の問題は重要です。法人では経営者自身も健康保険や厚生年金へ加入することになりますが、個人事業では加入が出来ません。その為、厚生年金を払い続けた会社役員と国民年金のみしか払ってこなかった個人事業主では受け取る年金の額が大幅に違います。業務外のケガや病気の際にもらえる傷病手当も国民健康保険には基本的にありませんから、保証の面での気遣いは別途個人的に行わなければいけません。そういった保証が受けられないことはやはり個人事業のデメリットと言えるでしょう。

上記は一例ですが、判断するにあたっての重要な要素になると思います。個人事業での独立を考えていらっしゃる方は、どのように感じになられたでしょうか。さて、続いては法人化した上で独立することのメリット・デメリットについて解説します。

■続きはこちら
飲食店開業-「法人化」のメリット・デメリット

■著者■ 
おぬおぬ
行政書士。バーテンダーの経験を活かし、飲食店関連許認可、民事法務、入管業務を中心に、顧客との相談が得意な行政書士として活動。 ライター業も行っています。社会保険労務士有資格者、介護福祉士、宅地建物取引士を兼務。

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