介護・スーパーマーケット・建築・不動産・飲食業界向けノウハウ・事例・提案資料が多数の情報サイト

102 views

ノンフロンな世界ー企業の自然冷媒導入、取組事例


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

ノンフロンな世界ー企業の自然冷媒導入、取組事例

国は2015年4月からフロン排出抑制法を施行しました。この法律では、冷蔵・冷凍機器などに使用されているフロン類の回収・排出抑制だけでなく、フロンを使用しない冷媒すなわち、自然冷媒を使った機器の普及促進を図ることにしています。
そのため、環境省や経済産業省は、自然冷媒を使用したエネルギー効率の高い機器に対し、導入費用の一定割合を補助する制度を設けています。これまでに多くの企業が制度の適用を受けていますが、今回はその中からいくつかの企業の、自然冷媒機器導入への取組事例をご紹介します。

(株)ローソン


1店舗当たり10%の省エネを実現

全国に1万2000店以上を展開するコンビニ大手のローソンは、1975年に誕生して以来、今年で41年目を迎えます。同社は経営理念の一つとして、環境対策、省エネルギー対策に力を入れています。具体的には、LED照明やインバータ冷蔵庫(温度調節型冷蔵庫)の導入などに加え、空調と冷蔵庫の一体化などを進めています。2008年3月には「電気使用量の10%削減」の目標を掲げましたが、この目標は、既存店の店内照明を一気にLED化することによって、2011年に達成することができました。

同社の環境・省エネ対策は、従来の取組である「既存技術の導入」というより、「技術のユーザー企業として、メーカーの持つ新しい技術の掘り起こしに協力する」という考え方に立って取り組まれている点に特徴があります。そのため、同社はメーカーのさまざま技術部門の担当者と会い、市場には普及していないものの、今後可能性のある技術の検討を進めてきました。そうしたメーカーとのコミュニケーションの中で、自然冷媒の一つである「CO2冷媒」の存在に出会ったのです。

CO2冷媒は、省エネ性能が高く、しかも、フロン対策も同時に行えることから、同社としては、CO2冷媒が「次世代設備として期待できる」と感じたようです。とはいえ、当時のCO2冷媒は、技術自体はある程度確立されていましたが、明確な設置基準などが定められていなかったため、実際の導入は難しい状況でした。

そこで同社は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の協力を得て、技術の実証事業に取り組んだのです。技術実証事業の過程では、CO2冷媒使用に伴う配管圧力と安全性の解決が大きな課題となりました。いわば二律背反の課題の解決を迫られたのです。この課題の解決のために、同社はフランスの企業にも協力を求め、研究を重ねました。その結果、材料と設計の改良によりコスト削減を同時に解決することができたのです。

「機器や技術のコストは、市場に普及しなければ下がらない」―。こうした考え方のもとに同社はまず、自ら省エネ型自然冷媒機器を積極的に導入していくことにしました。2014年4月末時点で同社は150店舗に導入し、同年8月からは省エネ型自然冷媒機器を新規店舗の標準設備として導入することにしました。その結果、単月で70店の導入実績があり、2015年度末までに累計約1300店に導入することができました。

省エネ型自然冷媒機器の導入により、同社の1店舗当たり省エネは平均10.4%に達しました。フロンに関しては今後、代替フロン(HFC)の使用も禁止される見通しであり、同社としては長期的な観点から、省エネ型の自然冷媒機器の導入に引き続き取り組んでいくことにしています。

信越明星(株)


環境省の補助金活用で導入を実現

同社はそばやうどん、ラーメンなどの冷凍めん、チルドめんの製造企業で、長野県上田市に本社があります。1963年に設立されました。食品を取り扱うだけに、原料調達から生産・加工のプロセス全般にわたって、「安心・安全」に配慮した設計を心がけています。また、環境への配慮を重視し、自然エネルギーや、省エネ型自然冷媒機器の導入にも取り組んでいます。

現在、同社の工場は、本社工場と下塩尻工場があり、本社工場では、太陽光発電の全量買い取り制度導入(2012年)以前から200kWの太陽光発電を設置した実績があります。下塩尻工場は「地球環境対応型の新工場」として2014年から稼働を始めています。同社の目標として「工場のエネルギー使用量を30%削減」が課題であり、それに向けて様々な取組を進めています。

冷凍めん、チルドめんの製造には大量の冷水を使用するため、安全・品質に配慮したうえで地下水を有効活用しています。また、冷却水も、再利用するなど、水・熱の再利用を徹底しています。

製造工程の根幹にあるのが、冷凍技術です。工場でエネルギー使用量の多いのは、フリーザーと冷凍庫で、この二つの装置で工場エネルギーの8割を占めています。冷凍技術として、省エネ型自然冷媒機器を導入したことにより、大幅な省エネ化を実現できました。

当初、フロン類使用の設備の導入も考えましたが、省エネ型自然冷媒機器は省エネ性能に優れ、しかも環境に配慮した技術がふんだんに使われていることから、下塩尻工場で導入することにしました。設備のコストはずいぶん高かったのですが、環境省の補助金(約4000万円)の活用で実現できました。本社工場の設備ではフロン類を使用していますが、今後、設備を順次更新していく予定です。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

本テーマに関係する関連記事まとめ