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ノンフロンな世界-フロン排出抑制法の目的と意義


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

ノンフロン化への国や企業の対応 フロン排出抑制法

オゾン層の保護や地球温暖化防止のため、政府は2001年に「フロン回収・破壊法」を制定し、様々な取組を実施してきました。しかし、その後のフロンを取り巻く状況変化や世界的な規制強化の動きなどを踏まえ、2013年に「フロン回収・破壊法」の改正法として、「フロン排出抑制法」を制定、2015年4月から施行しました。ここでは、フロン排出抑制法の目的や意義などを見ていきます。

ライフサイクル全体での対策を促進


フロン排出抑制法が、それまでのフロン回収・破壊法と、大きく異なる点は、フロンの回収・破壊だけでなく、フロンの製造から廃棄に至るまでのライフサイクル全体にわたって、包括的な対策がとれるよう改正した点が最大のポイントです。

フロンは、製造業者によって生産され、身の回りでは、エアコンやショーケース、断熱材、スプレーなどに使われています。最も多く使われているのは、第一種特定製品に指定されている業務用の冷凍空調機器です。冷凍空調機器では、熱を伝える冷媒として、フロンが使われています。飲食店で見られる大型冷蔵庫やエアコン、スーパー・コンビニなどで見られる冷蔵・冷凍ショーケース、さらには、街なかでの自動販売機、冷凍・冷蔵トラック、地下鉄などのエアコンなど、さまざま場所で、フロンの使われている機器を見ることができます。

フロンの使われているこうした多くの機器の管理者を含め、フロンのメーカーから、フロンの充てん回収業者、フロンの破壊・再生業者など、フロンに関係するさまざまな事業者の役割を細かく定めたのが、フロン排出抑制法です。

同法では、フロン類の使用合理化に関する措置として、フロンのメーカーおよび国の定める指定製品のメーカーは、使用の合理化や環境影響度の低減に取り組まなければならないとしています。フロン類の使用合理化というのは、フロンを使用する機器の適切な管理や、フロンの低減あるいは、フロンを使わない、いわゆるノンフロン化(CO2やアンモニアなどの自然冷媒の使用)への取組です。国の定める指定製品は、家庭用エアコンや店舗・オフィス用エアコン(床置型を除く)、自動車用エアコン、断熱材などです。

業務用冷凍空調機器の管理者を規制対象に


フロン排出抑制法で大きく変わった点の一つは、業務用の冷凍空調機器のうちフロンを使用する機器の管理者が新たに規制対象とされたことです。管理者というのは、業務用冷凍空調機器を所有する企業・法人の管理者をいいます。管理者は、機器の損傷等を防止するため、適切な場所への設置やその環境の維持保全が求められます。

機器の平常時の対応としては、3ヵ月に1回以上の簡易点検を求められる上、一定の機器については、専門知識のある人による定期点検をしなければなりません。定期点検については、定格出力7.5kW以上の冷凍機および冷凍機器の場合、1年に1回以上が求められています。対象となる機器は例えば、別置型ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵用チリングユニットなどです。また、エアコンについては、定格出力50kW以上の機器の場合、1年に1回以上、7.5kW以上50kW未満の場合、3年に1回以上の点検が必要となります。

点検などでフロンの漏えいが確認された場合は、漏えい個所の特定やその修理などが必要となります。その際、修理を行うまでは、原則フロンの充てんは禁止となります。

一定量以上の漏えいには報告義務


フロンの漏えい量は、一定量以上の場合、管理者が事業所管の役所(環境大臣や経済産業大臣)に企業・法人単位で報告する必要があります。一定量以上というのは、1年度内でCO2換算1000トン以上です。その際、フランチャイズチェーンなどの場合は、チェーン全体で算定・報告することになります。漏えい量の算定は、追加充てんした総量を漏えい量とみなし、管理者は、フロン類充てん回収業者の発行する充てん・回収証明書から確認します。漏えい量が一定量以下の場合は、報告する必要がありません。

フロンの漏えいが報告されると、所管の役所はその報告内容を公表し、都道府県別の集計結果を各都道府県に通知・公表します。

業務用冷凍空調機器の整備時におけるフロンの充てん・回収は、第一種フロン類充てん回収業者に委託する必要があります。第一種フロン類回収業者は、都道府県知事の登録業者となります。フロン類回収業者は、フロン類を引き取る義務があり、充てん・回収・運搬に関する基準に従い、それぞれの業務を行います。フロンの充てん・回収の際には、充てん・回収証明書を発行し、委託者である企業・法人の管理者に提出します。また、充てん・回収の記録は、都道府県知事に報告しなければなりません。

再生業者を新たに位置づけ


回収されたフロンは、回収業者からフロンの破壊業者に引き渡されますが、フロン排出抑制法では、新たに再生業者を位置づけ、回収フロンからの再生も可能としました。代替フロンの需要に応ずるための、回収フロンの有効活用が目的です。しかし、再生業者が再生できなかったフロンは、破壊業者によって、最終的に破壊(技術的に無害化する方法)が行われます。再生・破壊ともに、それぞれの事業者は、環境省、経産省の許可業者であり、再生・破壊に伴う証明書を作成し、3年間の保存を義務づけられます。

フロン排出抑制法はこのように、フロンの製造から使用、管理、回収、再生、破壊に至る、ライフサイクル全体の中で、それぞれの事業者の役割や責任を詳細に示したことが特徴といえます。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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