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電力コスト削減へ「新電力」と「見える化ソリューション」を組み合わせ


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

電力コスト削減へ「新電力」と「見える化ソリューション」を組み合わせ

企業の工場や、オフィス、事業所、店舗などの電力コストは年々上昇し、経営の大きな負担になっています。そんな中で、電力自由化をコスト削減のチャンスととらえ、新電力会社電力「見える化」ソリューションを組み合わせたユニークなサービスの提供が話題を呼んでいます。

大塚商会が4月1日から実施


新電力会社と「見える化」ソリューションを組み合わせたサービスの提供に乗り出したのは、IT(情報通信技術)を活用した企業向けソリューションプロバイダーの大塚商会です。同社は、電力小売りの全面自由化が実施された今年4月1日から「電力供給サービス」として、このサービスを開始しました。同社は、小売り電気事業者として経産省に登録されているグローバルエンジニアリング(本社・福岡市)と提携し、グローバルエンジニアリングの取次サービスとして「電力供給サービス」を実施することにしたものです。つまり大塚商会も、新電力会社として、さまざま電力サービスを実施できるのです。

大塚商会の電力供給サービスのポイントは、企業が電力会社を切り替える際、地域電力会社から新電力会社に替えるだけでなく、さまざまな「見える化ソリューション」を組み合わせることによって、電力コストの削減を、より効果的にしようというものです。新電力会社は、2000年から実施された電力の部分自由化の過程で、様々な業種分野から電力事業に参入した企業で、既存の地域電力会社に対する呼称として、一般的に新電力会社と呼ばれています。

新電力会社は、電力契約が50kW~2000kWの高圧契約の需要家、及び2000kW以上の特別高圧の需要家に対して、電気の供給が可能です。グローバルエンジニアリングもそうした新電力会社の一つで、今年4月からは、一般家庭などの小口電力需要家にも電力販売が可能になりました。

グローバルエンジニアリングは3000社に電力供給実績


グローバルエンジニアリングは、これまでの部分自由化の中で、すでに3000社に達する企業に電力供給の実績を持ち、全国の電力部分供給のシェアとしては、約20%を占めています。部分供給というのは、企業が電力の供給を受ける場合、既存の地域電力会社からベースとなる供給を受け、新電力会社からは、需要の多くなる時期に供給を受けることを言います。

グローバルエンジニアリングは、部分供給だけでなく全量供給も行っており、供給地域としては、北陸電力および沖縄電力管内を除く全国です。発電所は自社で保有しているほか、水力や石炭、バイオマスの大手発電会社と調達契約を結んでいます。

地域電力会社に比べ基本料金を安くできる


今回の大塚商会の電力供給サービスは、グローバルエンジニアリングとの提携によって、新電力会社としての事業を展開するもので、契約電力50kW以上の高圧契約および特別高圧契約の電力需要家を対象にサービスを実施します。これらの大口需要家が既存の地域電力会社から新電力会社に電力契約を切り替えることで、いくつかの電力コスト削減メリットが期待されます。その一つは、電力の基本料金が、地域電力会社に比べて安くなる点です。

地域電力会社の場合、火力や水力など多くの発電設備を保有し、さらに、多くの送配電網を整備しています。これらに要する建設・維持費用は、設備の償却費用として、固定費に計上されます。また、人件費なども固定費とされます。これらの固定費は、電気料金の中では、基本料金に反映されます。一方、新電力会社の場合、地域電力会社に比べて発電設備が少なく、あるいは、自前で保有していない企業が多く、また、人件費なども、地域電力会社に比べて小さいのが実情です。そのため、固定費の割合が少なく、したがって基本料金に相当する部分は、地域電力会社に比べて圧縮することが可能です。

負荷率高くても部分供給でコスト削減


企業が、新電力会社に切り替える場合、契約電力に比べて電力消費量の比較的少ない、いわゆる低負荷率の企業が、より電力コスト削減メリットが大きいといえます。低負荷率の企業というのは、季節による電力消費量の波の大きい企業で、例えば、飲食チェーン店、食品会社、ホテルなどで、負荷率は平均30%前後といわれます。それに対して、大手の製造業などでは、契約電力も大きいのですが、年間を通して電力消費量が多く、負荷率の高い業種、企業といえます。そうした企業では、新電力会社への切り替えメリットは少ないといわれます。しかし、大塚商会では、そうした負荷率の高い企業でも、部分供給によって、電力コストを削減することが可能としています。つまり、季節や時間帯などで電力消費量に波のある企業や業種はもちろん、年間を通じて電力消費量の多い製造業などでも、地域電力会社と新電力による部分供給の形でコストを削減できるというわけです。

とはいえ、大塚商会では「企業が電力会社を新電力会社に切り替えただけではその効果は限定的。よりコスト削減効果を大きくするには、電力使用状況を可視化し、使い過ぎの場合、管理者に通知送付をしたり、多店舗を展開する企業では、本社での電力使用量の一元管理を行うことによって、電力使用量の効率化を図ることが大事です」と指摘しています。
大塚商会は、企業向けソリューションプロバイダーとしてこれまで電力料金の削減につながるさまざまなサービス、例えばLED照明の導入や、照明コントロールによる消費量抑制等のサービスを提供してきました。そうした電力料金削減サービスの実績を踏まえ、今回、電力小売りの全面自由化のタイミングをとらえ、新たな電力供給サービスを開始することにしたのです。

デマンド監視装置によるコスト削減サービス


新電力会社への切り替えに合わせた「電力見える化」サービスとしては、デマンド監視装置による電力コスト削減サービスがあります。このサービスは、電力の基本料金に影響する最大デマンド(ピーク電力)を作らないように、電力使用量を常時監視し、ピーク値を超過しそうな場合は、警報メールで通知するサービスです。デマンド監視装置は「エコ.WebIV」と呼ばれ、リアルタイムで電力使用量を把握します。最大デマンドが更新されると、その値が翌年の契約電力となるため、電力料金が大きく跳ね上がることになります。

「エコ.WebIV」は、デマンドコントロール機能だけでなく、空調(エアコン)をコントロールする機能を併せ持っています。空調の電力消費量は電気装置の中でもとりわけ多く、消費量を抑制することが、電力料金削減の決め手になるともいわれます。「エコ.WebIV」は、事業所全体の電力使用量をウオッチするとともに、使用量がピークを更新しそうになると、空調に対してコントロール機能が働き、自動的に運転を低下させます。それによって、基本となる契約電力が抑制されるとともに、空調の使用電力量も抑制されるという、いわばダブルの削減効果が期待できるのです。

事業所や店舗を多く展開する企業の場合、空調の設置台数も多く、電力消費量の抑制がコスト削減の大きな課題です。「エコ.WebIV」は、複数の空調をグループごとに一括集中管理し、店舗、事業所ごとの使用量を管理するとともに、休止・運転を順番に行うことで、快適性を損なわずに、空調運用が可能になる点も見逃せません。

まとめ


電力自由化のもとで、電力料金を削減するためには、割安の電力料金を提供する電力会社への契約切り替えと同時に、デマンドレスポンス(需要家による電力消費量の抑制)が、きわめて重要視されています。デマンドレスポンスのサービスを専門とする企業も登場しているほどです。大塚商会の今回のサービスは、新電力会社としてのサービスと同時に、そうしたデマンドレスポンス事業をドッキングさせた、いわば、電力コスト削減ソリューションといえるでしょう。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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