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電力小売り事業者の経営内容は大丈夫か?

日本ロジテックが電力小売から撤退したワケ


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

電力小売り事業者の経営内容は大丈夫か?

日本ロジテックの経営行き詰まり


先ごろ、新電力第5位の日本ロジテック協同組合が資金難から経営が行き詰まり、電力小売りの登録申請を取り下げ、電力小売りから撤退することが明らかになりました。

新電力の日本ロジテック協同組合が破産申請へ 負債71億円

 経営難に陥っている新電力大手、日本ロジテック協同組合(東京)が破産申請手続きの準備に入ったことが14日、代理人弁護士への取材で分かった。東京商工リサーチによると、負債は約71億円。

 横浜市や熊本市など自治体はごみ焼却などを利用して発電し、日本ロジテックに売電した電力の代金が未払いになっていると公表している。代理人弁護士は未払いの代金が支払えるかについて「現時点では何とも言えない」と話している。

 東京商工リサーチによると、日本ロジテックは2007年の設立。10年に電力小売りに参入して事業を拡大し、15年3月期の売上高は約555億円に膨らんでいた。代理人弁護士によると、日本ロジテックは11日に手続きを一任したという。

(産経ニュース 2016.3.14)

電力全面自由化を目前にしての撤退だけに、改めて新電力の経営内容が問われています。そこで、東京商工リサーチの調査分析をもとに、現在までに経産省に登録されている電力小売り事業者の経営内容を探ってみます。

経産省に登録されている小売り電気事業者は、3月7日現在、210社に達しています。この中には、大手地域電力会社や特定規模電気事業者(新電力)が設立した事業者のほか、様々な業種の企業からの参入も数多くあります。東京商工リサーチの調査分析は、2月23日現在の登録事業者199社を対象にしています。

対象登録事業者のうち、新設企業などを除き直近の決算が判明した登録事業者141社の経営分析では、売上高が100億円以上の事業者は66社と、構成比で46.8%を占めています。また、単体ベースの売上高が1兆円超の企業も12社(同8.5%)見られます。売上高10億~50億円未満では40社(同28.3%)、売上高10億円未満の事業者は19社で、全体の約1割にとどまっています。中堅以上の、比較的売上規模の大きい事業者の参入が多いといえます。

売上高ランキングでは、トップが石油元売り最大手のJXエネルギーの8兆1565億円です。同社はガソリンスタンド「ENEOS」と連携した電気料金の割引サービスを打ち出しています。それに続いて、丸紅伊藤忠商事、三井物産などの総合商社が続いています。三菱商事は、コンビニ大手のローソンと提携して「MCリテールエナジー」として参入しています。住友商事も100%子会社のサミットエナジーを設立し、ケーブルテレビ最大手のジェイコムグループと提携しています。ソフトバンクグループは、東京電力と業務提携して販売活動を展開しています。

資本金1億円以上の事業者が半数以上


登録事業者の資本金別では、資本金1億円以上が113社(構成比56.7%)と全体の半数以上を占めています。以下、1000万~5000万円未満が48社(同24.1%)、5000万~1億円未満が26社(同13.0%)と続いています。資本金別でみても、豊富な資本を背景とする大企業中心の構図が見て取れます。上場企業の割合も199社中24社(同12.0%)となっており、電力ビジネスへの上場企業の関心の高さがうかがえます。

登録事業者の業種別内訳では、電気業が63社(構成比31.6%)と最も多くなっています。電気業としては、特定規模電気事業者や新たに設立された小売り電気事業者などが含まれるので、構成比が高いのは当然ともいえます。むしろ、残り7割が情報通信業や卸売り業、製造業などさまざま業種の参入が見られ、異業種から電力ビジネスへの参入の多い姿が浮き彫りされています。

異業種からのさまざま電力小売り事業への参入の中で、電力ユーザーが小売り電気事業者を選択する場合、やはり、経営の安定度が重要なポイントになるとみられます。経営の安定度は、資本金や売り上げ規模などに示されますが、東京商工リサーチの調査分析にあるように、登録事業者の中には、経営安定度の高い企業の割合が多いといえます。上場企業で、しかも資本金、売上規模の多い企業は、それだけ安定性が優れているといえるでしょう。

まとめ


電力事業からの撤退を余儀なくされた日本ロジテック協同組合の場合、経営の安定度が脆弱であると同時に、自前の発電設備を保有していないことも要因と思われます。他社からの電力調達では、利幅が薄く、仕入れ価格によっては、資金難に陥ることも避けられません。電力の小売り事業に当たっては、電力の調達コストをいかに抑えるかが決め手となります。自前の発電設備を保有していなくても、系列、あるいはグループ会社から、低コストの電力を調達できる会社であれば、自由化を勝ち残れる企業といってよいでしょう。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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