介護・スーパーマーケット・建築・不動産・飲食業界向けノウハウ・事例・提案資料が多数の情報サイト

126 views

ビル、住宅向け初期投資ゼロの地中熱利用冷暖房システム

アリガプランニングがESCO事業によるシステム提供を開始


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

ビル、住宅向けに初期投資ゼロの地中熱利用冷暖房システム

ビルや住宅向けに、初期投資ゼロの地中熱利用冷暖房システムが話題を呼んでいます。アリガプランニング(北海道札幌市)が3月1日からESCO事業によるシステムの提供を開始したもので、地中熱の利用によって、空調コストを大幅に削減できるとされています。地中熱利用の地域冷暖房システムとしては、東京スカイツリー地区に全国で初めて導入されています。電力自由化による電気代削減の動きが強まる中で、エスコ事業による地中熱利用の冷暖房システムに関心が高まりそうです。

ESCOによる包括的省エネサービス


ESCO事業とは、Energy Service Companyの略称で、エネルギー診断、設備の設計、施工、運転、維持管理から、資金調達など、省エネルギーに関する包括的なサービスを提供する事業です。今回のアリガプランニングのシステムは、地中熱利用の冷暖房システム全般のサービスをESCO事業として実施するもので、設備費用回収までの一定の期間、省エネや電力コスト削減分はその費用に充当されます。そのため、初期投資コストをゼロに抑えることが可能となります。ユーザーにとっては、資金がなくてもシステムを導入でき、エスコ事業の契約期間終了後には、電力、エネルギー、さらに水道代などのコスト削減分は、すべてユーザーの利益になります。

アリガプランニングは、2001年の設立以来、地中熱の調査・研究に取り組み、北海道を中心に、地中熱利用システムの導入に多くの実績を上げています。例えば、2015年3月には、生活協同組合コープさっぽろの店舗に、地中熱ヒートポンプ融雪設備を導入しました。また、高性能ヒートポンプを導入することで、地中掘削費用を従来の2分の1程度に引き下げることに成功しています。

ヒートポンプは、文字通り、熱をくみ上げる装置で、エアコンなどに不可欠の装置となっています。エアコンは、外気との間で、熱のやり取りをしますが、地中熱利用システムは、地中熱との間でやり取りをします。地中の温度は、年間を通して15度前後で安定しており、その熱を取り出し、冷媒によって、圧縮、膨張させることで、高温や冷温を得ることができます。高温、冷温を作り出すエネルギーは、ヒートポンプに使われる電気代だけであり、エアコンに比べると、電気エネルギーは少なくてすみます。

オフィスビルで年間50%の節電・省エネ


地中熱利用促進協会の調べによると、東京都心のオフィスビルでは、エアコンから地中熱利用システムに切り替えた場合、年間で約50%の節電・省エネを実現できると試算されています。特に気温の高い夏の省エネ効果が大きいようです。暖房の場合、厳寒期では、外気温がマイナス15度以下になると、通常のエアコンは利用できなくなります。地中熱利用システムはクローズドシステムであり、環境汚染の心配もありません。

地中熱利用システムは、そうした省エネ・節電効果が注目され、近年、導入機運が高まっていますが、地中熱の採熱のために、多額の掘削コストがかかります。採熱のために地中約75~100mの掘削が必要といわれます。そうした掘削コストがネックとなって、従来、システムの導入に二の足を踏む動きも多く見られました。

今回、アリガプランニングが提供を始めたESCO事業によるシステムは、そうした費用のネックを解消するものとして、各方面から関心を集めそうです。

まとめ


電力自由化によって、一般消費者はもとより、オフィス、事業所、商業施設などのビルなどで、電気料金削減の機運が高まると予想されます。特に、住宅、ビルなどでは、照明のほか、エアコンなどの冷暖房エネルギーを無視できません。それだけに、初期投資不要の地中熱利用システムは、冷暖房の省エネに大きく寄与すると思われます。

 

従来方式と比べ5倍以上の地中熱採熱能力を持つヒートクラスター方式を開発した株式会社アグリクラスターを紹介する「再生可能エネルギー“地中熱”を活用して電気代削減」もあわせてお読みください。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

本テーマに関係する関連記事まとめ