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電気の基本料金ゼロ、使った分だけの料金プランが初登場

ソーラーパネルの製造・販売会社のLooopの挑戦


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

基本料金ゼロ、使った分だけの料金プランが初登場

関東、中部、関西圏で電気販売


電力小売の全面自由化を控えて、電力会社の間でさまざまな料金プランが発表されています。そんな中で、基本料金がゼロ、使った分だけの単一料金プランが初めて登場し、話題を呼んでいます。この料金プランを打ち出したのは、ソーラーパネルの製造・販売会社のLooopです。同社は太陽光発電を中心とした新電力会社で、4月1日からの電気販売では、「Looopでんき」のブランド名で、販売電力の約4分の1を太陽光発電などの再生可能エネルギー電力で供給する方針です。関東、中部、関西圏でそれぞれ「Looopでんき」の販売を行うことにしています。

「Looopでんき」の販売プランとしては、一般消費者向けの「おうちプラン」と事務所・商店向けの「ビジネスプラン」の二通りがあります。料金プランはいずれも基本料金がゼロ。従量料金のみの単価で、「おうちプラン」ではkWh26円。「ビジネスプラン」はkWh27円(関西圏は26円)です。燃料費調整単価や再生可能エネルギー発電促進賦課金は別途かかります。

ちなみにこのプランによる料金を東京電力の料金と比較してみます。3人家族の場合、東京電力の従量電灯B 40Aで、使用量520kWhの家庭では、月額1万4718円。「おうちプラン」では月額1万3533円と、1ヵ月1185円の割安になります。年間では1万4220円お得ということになります。

事務所・商店の場合は、東京電力の従量電灯C ピーク時8kVA、使用量2183kWhのケースでは、月額6万5359円となります。それに対して「ビジネスプラン」では月額5万8941円、年間では約7万7000円お得になる計算です。基本料金ゼロのお得度は、かなり大きな金額になることが分かります。

Looopは、東日本大震災後の2011年4月に設立され、災害復旧対策の一環として、宮城県石巻市にソーラー発電システムの無償設置をしたほか、被災地への太陽光発電による支援を実施しました。その後、再エネ固定価格買取制度(FIT)の実施に先立ち、太陽光発電所をDIY感覚で作れる「MY発電所キット」を売り出すなど、ソーラーシステムの積極的な展開を図っています。現在、全国で1400件以上のシステムの設置実績をあげています。
ソーラーだけでなく、風力、水力なども視野に入れた自然エネルギー専門の事業展開を図っていくことにしています。

全国に自社のソーラー発電所を設置


同社はソーラーシステムの販売だけでなく、電力自由化に伴い、2015年7月から、工場や商業施設、オフィスビル、学校などの特別高圧、高圧電力のユーザーに対して電気販売を行っています。そうした実績を踏まえ、4月1日からの全面自由化に備え、一般家庭、商店などに対する販売をめざして新たな料金プランを検討してきました。同社は、自社でもソーラー発電所を全国に設置し、出力規模は、4900kW(2015年5月)に達しています。電力販売では、そうした自社電源のほか、他社からの調達によって、ユーザーに電力供給を行う方針です。

まとめ


電力料金プランの中で、基本料金がゼロというのは、かなり思い切った決断といえます。従来の大手地域電力会社では、基本料金を引き下げたり、ましてゼロにするというのは非常に困難と思われます。地域電力会社の場合、水力、火力など多様な電源を抱える一方、送配電設備を建設しており、それらの多額の設備投資額が、固定費として電気料金の基本料金に反映されるからです。それに対して、新電力会社の場合、固定費が小さく、基本料金を引き下げる余地は、大きいといえます。とくに太陽光発電の場合、設備コストが比較的小さいことが、大幅な引き下げを可能にしたといえるでしょう。新電力会社の中には、今後、Looopの動きに追随するところも出てくる可能性があります。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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