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ラーメンチェーン「幸楽苑」が新電力とLED導入で年間約1.8億円のコスト削減

331店舗と3工場で順次契約の見直しへ


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

新電力とLED導入で年間約1.8億円のコスト削減

4月からの電力小売の全面自由化をにらんで、企業の間では、電力会社の切り替えを検討する動きが活発になっています。企業のコストとして比較的大きい割合を占める電力などのエネルギーコストを削減するねらいです。その場合、どの電力会社を選んだらよいか、具体的にどの程度のコスト削減効果が見込めるのかなど、企業としては知りたいところです。そこで、このほど新電力への切り替えや電力コスト削減を発表したラーメン店チェーンの「幸楽苑」のケースを見ていきます。

全国に531店舗を展開


幸楽苑は北海道から中国・四国エリアまで、全国で531店舗(2015年9月時点、とんかつ店チェーンを含む)を展開するラーメン店チェーンです。関東エリアが269店舗と最も多く、次いで東北エリアの130店舗、東海エリアの56店舗などとなっています。2012年7月には、海外第1号店としてタイに出店しています。

同社グループの店舗の電気代は、2016年3月期で、13億2400万円にのぼっています。
同社は、この電気代を削減するため、まずその第一として、4月から電力会社の切り替えを実施する予定です。電力会社の切り替えを行う店舗及び工場は331店舗(高圧受電契約店舗)、3工場(郡山工場、小田原工場、京都工場)で、順次、契約の見直し、切り替えを行う予定です。現在、各店舗、工場はそれぞれ地域の大手電力会社から電気を購入しています。

新電力に「エネット」、「伊藤忠エネクス」を予定


電力の切り替え先としては、新電力を予定しています。具体的には、エネット(本社・東京都芝公園)及び伊藤忠エネクス(本社・東京都虎ノ門)です。大手電力会社から、新電力2社に契約を切り替えることにより、年間約6000万円の電力コスト低減を見込んでいます。

電力コスト低減の第二としては、LED(発光ダイオード)照明の導入です。同社は、環境への負荷を低減するため、電気使用量の削減の取組をして、2015年4月から、一部店舗(185店舗)の看板をLED照明に切り替えました。さらに、看板のほか、外灯や厨房照明を含め、既存店舗409店舗(看板導入済み店舗を含む)の照明についてもLEDの導入を実施する予定です。LED照明の導入などによる電気代の削減額として、同社は、年間約1億2000万円(LED導入費用を除く)を見込んでいます。

新電力への電力会社切り替えによるコスト削減分約6000万円とLED導入による電気代削減分1億2000万円を合わせると、合計約1億8000万円の電力コスト削減効果となります。
同社グループの店舗全体の電気代の約13%を削減できることになります。削減効果としては、LED照明の導入が大きいのですが、新電力への切り替えも無視できません。

現在、電力需要家のうち、新電力に切り替え可能な需要家は、契約電力が50kW以上の高圧需要家です。新電力は、特定規模電気事業者(PPS)として、経済産業省に届出を行っている事業者で、現在、802社(2月5日現在)が届出されています。その中には、石油、ガスなどのエネルギー関連業種や、電機、自動車、住宅、商社など、さまざまな業種分野からの参入が見られます。

特定規模電気事業者とは別に、契約電力50kW未満の低圧需要家向けに電力を供給できるのは、小売電気事業者として、経済産業省に登録されている事業者です。小売電気事業者は、一般家庭や商店、小規模事業所などに電気を販売できる事業者で、2月8日現在、登録小売電気事業者は169社に達しています。特定規模電気事業者の中には、家庭や商店、小規模事業者向けの電気販売を目指して、小売電気事業者に登録している事業者も多くあります。

まとめ


事業所や企業の場合、契約電力の大きさによって、新電力あるいは既存の地域電力会社から選択が可能となります。その場合、新電力に切り替えることによって必ずしも電気料金が安くなるわけではありません。逆に、割高になる可能性もあります。契約電力や電気使用パターンなどを見極め、慎重に選択することが重要です。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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