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事業用太陽光発電の買取に入札制

変わる再生可能エネルギーの固定価格買取制度


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

事業用太陽光発電の買取に入札制

再生可能エネルギー(再エネ)の固定価格買取制度が、来年度から大きく変わることになりました。固定価格買取制度は、再エネの導入拡大と言う当初の目的は達成されつつありますが、半面、電力需要家の買取費用負担が増大、電気料金に上乗せされる再エネ賦課金額が急増しています。また、4月からの電力小売の全面自由化により、再エネ電力の広域融通の円滑化が重要課題になっています。そうしたことから、経済産業省は再エネ固定価格買取制度の見直しをまとめ、法律改正を行うことにしています。見直しのポイントを説明していきます。

制度実施4年でさまざまなヒズミ


再エネ固定価格買取制度は、2012年7月の制定からことし7月で丸4年となりますが、その間、再エネ(買取制度の対象は太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマスの5種類のエネルギー)の導入は大幅に拡大されました。しかし、同制度は、電力会社の買取費用を、再エネ賦課金の形で電気料金に上乗せし、電気の需要家である国民全体が費用を負担するため、買取が増えれば増えるほど賦課金が増大することになります。制度スタート当初、賦課金は全体で1300億円程度でしたが、2015年度では約10倍の1兆3000億円に膨れ上がる見通しです。賦課金の増大は、電気料金を押し上げる一方、買取が太陽光発電に偏重したため、太陽光発電設備が急増し、電力系統に接続できず、未稼働の設備が増えると言う弊害をもたらしています。今回の制度見直しはそうした課題を解決する点に大きな目的があります。

制度見直しのポイントは、大きく3点あります。ひとつは、太陽光発電を中心とした未稼働設備への対応です。具体的には、買取認定設備は、電力系統に接続し、稼働が確実な設備とします。つまり、設備の認定だけを取得して、接続や稼働はその後に行うと言うケースは認めないというわけです。2番目は、とくに設備認定の申請が多い、事業用太陽光発電の買取価格決定方式として、新たに入札方式を導入するという点です。従来、再エネ買取価格は、有識者の意見を聞いて、経済産業省が効率的なコストを算定して決めていました。今回、事業用の太陽光発電の価格については、買取の電力会社による入札によって決めるというやり方を導入します。それによって、買取費用をできるだけ抑制するのがねらいです。ただ、事業用設備でも、小規模な設備の場合、入札になじまないケースも考えられるため、当面は、メガソーラーのような大規模設備を対象として実施することにしています。

企業の場合、電力料金の水準は、コストに大きく響き、国際競争力の低下を招きかねません。そのため、固定価格買取制度では、賦課金に減免制度を設け、電力料金の上昇を抑制する措置を講じています。今回の見直しでは、今後、減免の割合などについて具体的に決める方針を示しています。

電力小売の全面自由化へ広域融通を円滑化


制度見直しの3点目としては、電力小売の全面自由化への対応があります。従来の買取制度では、地域電力会社が再エネ発電事業者から太陽光発電電力などを買い取り、その地域にのみ、供給を行っていました。しかし、全面自由化によって、電力会社の地域の枠が取り払われ、電力供給は地域を越えた形でも実施されることになります。それに対応して、再エネ電力の買取は、電力会社の送配電部門が行い、より円滑に広域融通を実施することになります。

まとめ


再エネ固定価格買取制度には、再エネの導入拡大と、国民の電気料金負担の増大という二律背反の課題を含んでいます。その解決のためには、再エネの中でも一定の普及が進んだエネルギーと、さらに普及を促進すべきエネルギーとの、政策上のメリハリを明確にし、普及の進んだ再エネに関しては、制度の縮小ないし撤廃も検討すべきでしょう。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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