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「クリーンな電力」「停電しにくい電力」等のPRはNG

クリーンなエネルギーは電源構成の開示、地産地消電力は地域表示を


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

「クリーンな電力」「停電しにくい電力」等のPRはNG

電力小売の全面自由化を前に、電力会社の顧客取り込み合戦が激しくなっていますが、経済産業省はこうした状況を踏まえ、このほど、「電力の小売営業に関する指針」を制定しました。指針は、電力会社の営業活動に関するガイドラインであり、需要家への適切な情報提供、営業・契約形態の適正化、契約内容の適正化、苦情・問合せへの対応の適正化、契約解除手続きの適正化―の5分野について、「望ましい行為」と「問題となる行為」に分けてそれぞれ詳しく例示しています。ガイドラインは、それぞれの行為に関し、関係業界の自主的取組を促す点に目的があります。ここでは、需要家にとって、とくに注意が必要ないくつかの例示について解説していきます。

どの小売事業者の電気も品質は同じ


需要家への適切な情報提供は、需要家が電力会社を選択する際の手ががりとなるもので、需要家にとってはきわめて重要な情報となります。そのためガイドラインでは、需要家の誤解を招く情報提供は「問題となる行為」としています。具体的には「当社の電気は停電しにくい」「出力変動がなく、周波数も安定している」といったPRです。需要家が電力会社を選択する場合、小売電気事業者(地域電力会社や新電力会社)から選択しますが、すべての小売電気事業者は、現在の送配電ネットワーク(地域電力会社が運営)を利用して需要家に電気を届けます。そのため、需要家が使う電気は、どの小売電気事業者と契約しようとも、出力や周波数の変動など、電気の品質には変わりありません。したがって、停電する頻度も需要家にとっては同一条件です。

電力会社が営業活動を行う場合、自社電気のPRとして、「当社の電気は100%クリーンエネルギーで作られた電気」あるいは「再生可能エネルギーによる電気」などの文言が考えられます。ガイドラインでは、こうした文言、PRも「問題となる行為」と仕分けしています。というのも、再生可能エネルギーによる電気は、現在、FIT(固定価格買取制度)によって、国民すべてが買い取り費用を負担して作られているからです。需要家に送られてくる電力会社の検針票(電気使用量のお知らせ)には、「再エネ賦課金」の形で、月々の電気料金に上乗せされています。この金額が、電力会社の再エネ買取費用に充当されているのです。再エネ買取費用のうち一部は、再エネ発電事業者への交付金の形で支払われています。このように、国民全体の負担で再エネ電気が作られているにもかかわらず、「当社の電気はクリーンエネルギー電力です」と言うのは、いわば、再エネ電気のメリットの二重取りに相当するわけです。そのため、ガイドラインでは、再エネ電気はFIT電気と呼称するよう求めています。その場合、FIT電気の説明を同時に行うようにすべきであるとしています。

地産地消電力は地域の表示を


再エネ電気に関連して、電力会社の電源構成の開示は、需要家の選択に役立つとの考え方から、「望ましい行為」としています。火力発電の比率や再エネ電力の比率は、CO2の排出とも関係して需要家の選択肢に影響するとみられるからです。「地産地消電力」の表示に関しては、対象となる地域や、どのような点で地産地消であるか、などの表示が必要となります。

小売電気事業者の営業・契約形態の適正化では、代理店や仲介業者に対して、需要家への適切な営業活動の指示・監督をしなかった場合、問題となる行為としています。契約内容の適正化に関しては、契約解除を著しく制約する条項の設定や行為は、問題となる行為となります。また、不当に安い価格設定も、問題となる行為とみなされます。

ガイドラインでは、問題となる行為を行った場合、罰則などはありせんが、関係事業者は、自主的に改善の取組を行うよう求めています。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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