介護・スーパーマーケット・建築・不動産・飲食業界向けノウハウ・事例・提案資料が多数の情報サイト

604 views

低負荷率の需要家をねらえ

新電力の狙いは学校や自治体、公共施設、事務所ビル


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

低負荷率の需要家をねらえ

電力自由化によって大手の地域電力会社と新規参入者である新電力との電力販売合戦が激しくなっています。新電力の販売戦略として、「低負荷率の需要家をねらえ」という合言葉が聞かれます。低負荷率の需要家とはどんな需要家なのか、その戦略の狙いを探っていきます。

このところ、負荷率ということばをよく耳にします。負荷率とはどういう意味、内容なのでしょうか。とくに、新電力にとって、負荷率が、需要家獲得の大きな目安になると言われます。

負荷率30%以下なら電力料金が安くなる


電力ビジネスで負荷率という場合、契約電力に対する年間の使用電力の割合を指します。通常、契約電力が50kW以上の高圧電力需要家の場合、契約電力は、年間を通じて最大電力需要が契約電力となります。たとえば、最大電力需要が、100kWとすると、契約電力は100kWとなります。100kWと言うのは、瞬間的な電力需要であり、年間トータルの最大需要量は100kW×24時間×365日=876000kWhとなります。これに対して、年間の使用電力量は、需要家によって異なりますが、仮に240000kWhとすると、負荷率=240000kWh÷876000kWh=27.3%となります。この負荷率は、高いのか低いのかと言う点が問題となりますが、一般的に新電力では、30%以下の低負荷率の需要家であれば、大手電力会社よりも安い料金で電力を供給できるとされています。

低負荷率の需要家は、契約電力が大きい割に、電気設備の稼働率が小さいため、従来、大手電力会社に割高の電力料金を支払っていたことになります。そのため、大手電力会社から新電力に契約を切り替えることによって、料金が安くなる可能性が高いのです。

学校や自治体などが狙い目


新電力は、自前で発電設備を持っていないところが多く、電力を他の電力会社や工場などから余剰電力を購入しなければなりません。また、電力を需要家に供給するためには、大手電力会社から送配電網を借りる必要があります。この借り賃は託送料とよばれますが、現在のところ、託送料は割高になっています。そのため、新電力としては、負荷率の低い需要家すなわち、割高の電力料金を支払っていた需要家でないと、料金を安くすることが難しいのです。新電力が低負荷率の需要家をターゲットとするのも、そうした理由からです。

逆に、高負荷率の需要家は、契約電力に対して、電気設備の稼働率の高い需要家であり、割安の電力料金を支払っている需要家です。こうした需要家は、新電力に契約を切り替えても、料金が安くならないばかりか、逆に高くなる可能性もあるのです。

ところで、低負荷率、高負荷率の需要家とは、具体的にどのような需要家でしょうか。
負荷率の低い需要家は、契約電力に対して電気設備の稼働率の低い需要家であり、たとえば、学校や自治体、公共施設、事務所ビルなどがあります。逆に、高負荷率の需要家は、年間を通して電力をフルに使用している、工場やホテル、病院などがそれに相当します。
こうした需要家では、電力の購入契約を新電力に変更しても、メリットは少ないばかりか、料金が高くなる可能性もあります。

4月からの電力小売の全面自由化では、高圧需要家に加え、商店や小規模事業所などの低圧需要家も電力会社を自由に選ぶことができます。既存の大手地域電力会社のほか、新電力も選択の対象となります。しかし、電力会社を選ぶ場合、需要家自身の負荷率を良く調べて、新電力に切り替えたほうがメリットがあるかどうかを慎重に見極める必要があるでしょう。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

本テーマに関係する関連記事まとめ