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人の心を救うアニマルセラピー 北海道ボランティアドッグの会の活動をリポート


制作:吉田 匡和(介護ライター)

セラピー犬①

「アニマルセラピー」という言葉を聞いたことがありますか。介護施設に入所している高齢者や、慢性期の医療機関に入院する患者などが、動物と触れ合うことでストレスを軽減したり、自立心を取り戻すための療法です。このほどアニマルセラピーの効果をリポートすべく、「NPO法人北海道ボランティアドッグの会」の活動に同行させていただきました。

人の心を救うアニマルセラピー


アニマルセラピーとは、高齢者や入院患者などが動物たちと触れあうことで、精神的安定や自立心を取り戻す療法です。紀元前400年頃の古代ローマ時代に、戦争で負傷した兵士に乗馬をさせて治療したのが最初といわれています。

アニマルセラピーはその後、諸外国で心理療法として研究がすすめられます。精神分析学の創始者であるフロイトは、動物のもたらす効果を利用するために、患者と接する際、傍らにチャウチャウを座らせていたそうです。

アニマルセラピーの実施方法


現在、アニマルセラピーは、次の二つの方法が実施されています。

動物介在活動(AAA)
ボランティアが犬猫などを連れて介護施設や福祉施設、医療機関などを訪問。動物と入居者等が触れ合うことを目的とした療法。

動物介在療法(AAT)
治療計画の中に動物の参加を組み込み、治療の補助的な役割を担わせる療法。

日本においては、動物と触れ合うことで、ヒーリング効果や生きがいが生じるといわれる動物介在活動(AAA)がメインとなり、公益法人やNPO法人などによって実施されています。

NPO法人北海道ボランティアドッグの会の活動


1996年に創設。セラピー犬登録頭数128頭・26犬種(平成26年3月現在)にも及ぶ団体です。週末を中心に、全道41箇所の福祉施設や病院を訪問しています。この日は、札幌市近郊都市の特別養護老人ホームを訪問しました。この施設では開設以来、20年近くに渡り、セラピー犬のボランティアを受け入れています。

セラピー犬②

ボランティアドッグといっても、普段は一般家庭で飼われているペットです。会員の方々に伺うと、最初からセラピー犬にしようと思っていた人は稀で、ほとんどが人づてにセラピー犬の存在を知り、人懐っこい愛犬の性格に適しているのではないかと、活動に参加されたそうです。

朝10時にボランティアが集合し、軽くミーティングが行われます。今回参加する10名のメンバーの中には、初めて参加する人もいるため、経験者がフォローできる体制をとります。また、犬種もばらつきがないように分けられます。

セラピー犬になるには


セラピー犬として活動するには、検体と本会が実施する適性検査に合格しなくてはなりません。飼い主の指示が聞けるか、他の犬に興味を持たないか、触られることに抵抗はないか、大きな物音に過剰に反応しないかなど、犬と飼い主の信頼関係が判定されます。

セラピー犬と入居者の様子


施設の1階と2階に分かれてセラピーを開始します。参加している入居者は1フロア10名程度。開始早々、入居者の方々は「待っていました」とばかりに、犬を撫で始めます。15年ほど前に筆者は、この施設の職員で、ボランティアを受け入れる側にいました。当時は「危険がないように」「ボランティアさんに失礼がないように」と考えるのが精いっぱいで、入居者やセラピー犬の様子をじっくりと観察することがありませんでした。

今回、セラピー犬を見ていると、入居者が生き生きしている様子がよくわかりました。動物には人の心を癒す力があります。また世話をすることで自立心も生まれてきます。月1回の訪問をこころ待ちにすることで、入居者の「目標」や「生きがい」になっているようです。中には、セラピー犬の訪問が楽しみでショートステイを利用される方もいるほど。高齢のため犬を飼うことができない方の楽しみの場にもなっているようです。

精神的な効果が期待できます


セラピー犬が人に与える効果を科学的に立証するのは難しいですが、入居者の表情を見れば、たとえひと時でも「楽しい」「嬉しい」と感じていることが分かるはず。そのような感情を持つことができれば、とても効果的だといえます。入居者の生きがいとして、セラピー犬のボランティアを依頼してみては、いかがでしょうか。

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。
HP:http://buleorca.jugem.jp/

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