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介護ロボットの現状と今後の展望


制作:吉田 匡和(介護ライター)

政府は「今後急増する高齢者を支えていくため、介護の現場の負担軽減を図るなど、働きやすい職場環境を整備していく必要がある」として、「介護ロボット等導入支援特別事業」を創設。多くの施設が補助金の申し込みに殺到しました。超高齢社会の救世主になりえるのか。介護ロボットの現状と今後の展望をまとめました。

[参考サイト]介護ロボットポータルサイト

直近の介護ロボットに関するニュース


●政府の未来投資会議が高齢化対策として、人工知能やロボットを活用することで一致。2020年度までに診療・介護報酬の対象とする方針を示す。

●介護ロボットの導入などを希望する介護サービス事業者に、国の制度を活用して費用を助成する自治体が増加。補助制度を設けた自治体には多数の事業者が申請している。

高齢化と介護者不足の打開策として国も力を入れ始めた「介護ロボット」。導入の際には補助金が交付されることや、2020年には診療・介護報酬の対象となることがすでに決定しています。

矢野経済研究所による調査では、2015年度の国内介護ロボット市場は10億7600万円と、前年度比549.0%と大きく伸長。2030年頃までに産業用ロボットを凌ぐ規模にまで成長すると期待しています。

介護ロボット等導入支援特別事業とは


介護ロボット等導入支援について厚生労働省は、下記のように説明しています。

「介護ロボットの使用により介護従事者の負担軽減を図り、働きやすい職場環境を整備することで介護従事者の確保に資することを目的とする」

介護は肉体労働。低い姿勢で高齢者を抱え上げるため、腰痛や膝痛に苦しむ介護職員は少なくありません。それらの負担を軽減し、介護士の離職を減少させる狙いがあります。

<補助の対象となる福祉ロボット>

下記の1~3をすべて満たすことが条件とされています。

1 目的要件
移乗介護、移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援のいずれかの場面で使用され、介護従事者の負担を軽減するとともに業務の効率化に効果があるロボット。

2 技術的要件
経済産業省が行う「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において採択されたロボット、または、最新のテクノロジーにより、それまでの機器ができなかった優位性を介護分野で発揮するロボット。

3 市場的要件
販売価格が公表されており、一般に購入できるロボット。

<補助金交付申請>

市町村補助事業のため、市町村が窓口になります。1機器あたり20万円以上のものとし、1事業所につき300万円を上限として補助されます。2017年度の申請は今年2月で締め切られています。また申請書類を提出しても、国の交付金の配分状況等により補助の対象とならない場合があるようです。

介護ロボットとは何か?


介護ロボットの多くは、一定の働きをする「装置」です。機械式特殊浴槽や電動車いすなど、介護機器の延長線と考えてよいでしょう。例として経済産業省が行う「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において採択されているロボットの一部を紹介します。

用途 商品名 製作会社 使用方法
移乗介助 腰部負荷軽減用HAL CYBERDYNE株式会社 皮膚表面の微弱な生体電位信号を用いることで人間の運動意思を反映したアシストが可能。腰に装着することで移乗介助が軽減できる。
離床アシストベッド パナソニックエイジフリーライフテック株式会社 電動ケアベッドと電動フルリクライニング車いすが融合。ベッドの半分が車イスに変形するため、移乗の負担が少なくなる。
移動 歩行アシストカート RT.ワークス株式会社 使用者の操作力や路面環境を勘案した、アシスト・ブレーキ制御を搭載。使用者の体調や個人差による操作特性を学習することで、快適に使用できる歩行支援を実現。
排泄 居室設置型移動式水洗便器 TOTO株式会社 フレキシブル管の採用により、居室内の移動が可能。洗浄能力を強化し、居室に匂いがこもらない機能が採用されている。
見守り 3次元電子マット式見守りシステム
Neos+Care
NKワークス株式会社 赤外線センサーにより暗闇でもリアルタイムの見守りが可能。様々な動作パターンを認識できるセンシング機能、日常生活動作のモニタリング機能、介護プラン作成や事故分析に役立つ検知履歴・映像録画機能などを搭載。

人工知能(AI)の技術が活用されたヒューマロイド型ロボットも導入されてきています。富士ソフト株式会社が開発した「パルロ」は、高さ40センチ、重さ1.8㎏と小型ながら多彩な機能を搭載。一緒にダンスを踊ることで介護予防に役立ち、人間のように話しかけ、会話も成立します。

理化学研究所と住友理工が共同設立した「理研-住友理工人間共存ロボット連携センター」が開発した「ROBEAR」は、愛らしいクマ型のロボットです。サイズは800×800×1500mmと大きく、80㎏までの人の移乗介助をすることができます。

日本のお家芸であるロボット技術。世界的に高齢化社会が進む中、政府は介護ロボットの輸出も有力とみています。今後も、大手企業・ベンチャー企業入り乱れての開発が進むことが予想されます。

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■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。

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