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介護福祉業界の人事担当者に求める能力


制作:吉田 匡和(介護ライター)

介護福祉業界の人事担当者に求める能力

社会福祉法人の人事権は定款により「施設長以外の職員は理事長が任免する」と記されています。実際には施設長または副施設長、事務長といった施設のトップが選定し、理事長が承認している法人が多いでしょう。そうした「人事」に関わる人たちに、どのような能力が必要なのか。「採用」「配属」「人事評価」の3つの視点で考えてみました。

採用について


介護施設で最も必要なのは人的資源です。機械化や効率化とは程遠く、人海戦術で行わなくてはならない介護には多くの人を必要とします。しかしどこの施設も慢性的な人手不足。採用は思うようにはいきません。しかしこの際、「職員を確保して配置基準を維持したい」という考えは捨てて、現在入居している方々の生活の質の向上や、介護職員の負担をどうすれば軽減できるかに軸を置いて考えてみましょう。

新たに採用する場合は欠員補充となることが多いですが、抜けた穴を埋めるのではなく、状況によっては現在いる職員も移動させるなど、全体的バランスを考慮して採用します。

大きな施設などは、勤務するフロアが変わると勝手がわからなかったり、常に同じスタッフだと派閥ができたりしますが、職員を採用するたびに少しずつ人事異動させることで、それらの問題も緩和できます。「働きやすさ」が確保できれば、次から次と募集することなく職員が安定。スキルアップも期待でき施設の評価も上昇します。

なお、採用に関する留意については、関連記事をご紹介しますので、参考にしてください。

<関連記事>

介護スタッフ不適格者の見分け方!履歴書から面接時の態度まで
http://yts.jp/article/c-347/

元教員・施設採用担当者が教える『新卒者採用のためのウラ話!』
http://yts.jp/article/c-338/

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配属について


厚生労働省の「社会福祉法人のガバナンスについて」によると、人事管理について「技能の適切な評価」と、「資質の向上」が記載されています。職員一人一人の能力を適切に把握し、それに見合った配属をするのが望ましいのですが、必ずしもそうならないのが現状です。

適材適所の「適所」とは何か。新卒職員の面接をしていると、「特技や好きなことを活かしたいので、〇〇の部署で働きたい」という希望をよく耳にします。「好きこそものの上手なれ」という言葉の通り、誰しも好きなものには一生懸命になれますが、だからといってすぐに新人職員を希望の部署に配属するのは間違いです。

むしろ新人職員は多くの部署を経験させ、様々なスキルを身につけさせるべきです。そうして経験を積むことで、「好き」や「得意」なとこが自己満足だけではなく、入居者や他の職員のためにどう活かせるのかを実践できる「能力」に変わっていきます。

また一般職員の仕事のマッチングは、施設長や管理者などがおこなってはなりません。人事権があることと、人を見抜く力は別です。いつも一緒に仕事をしている所属長の意見を支持して裁量させることで本人に合った仕事を与えられますし、所属長にも「施設長や管理者に信頼されている」という責任感が生まれ、相乗効果が期待できます。

人事評価について


人事評価は賞与や昇進に関わるだけでなく、仕事へのモチベーションにも影響する重要な要素です。そのため評価は慎重に行わなくてはなりませんが、当事者と評価者の考え方の相違により、双方が満足する結果にならないことがあります。

最近では「目標設定シート」を活用した自己評価・他者評価を行う施設が増えています。これは年度初めに「到達目標」「プロセス」を立案させ、定期的に達成度を確認。達成できた理由・できない理由、達成するためにはどうすべきかを見直し、年度末に自己評価と上司などによる他者評価を行い、最終評価を下すシステムです。

職員としては「公平な評価をしてほしい」と望むところですが、公平であることの具体的な基準などありませんので評価者の主観が入るのはやむを得ません。その中で行わなければならないのは、下記の2点です。

・施設が期待する、または期待以上の働きをした者を評価する。
・期待以下であることを受け止めさせ、それを改善するために奮起させる。

モチベーションの高い人は放っておいても質の高い仕事をしますが、そうでない人には改善を促す必要があります。実は「人事評価」と名乗りながらも、「再教育」的な要素が強いのです。そのためには次の3点が重要です。

・評価者である上司は、日頃から部下に無関心ではいけない
普段からコミュニケーションを取らない上司に人望はありません。人事評価に対しても反発心を持たれて、部下は聞く耳を持たないでしょう。そのためにも日頃からの部下とのコミュニケーションが大切です。

・なぜ評価が低いのかを具体的に説明できなければならない
本人の頑張りが施設の求める内容と乖離している、期待する結果に至らないなど、低評価となった根拠を提示し、それに至った理由を納得してもらいます。

・「どうすれば改善できるか」を提示する。
「認められていない」というマイナス要素だけで終わっては、不平や不満しか残りません。どうすればよい方向に向かうのか。一緒に考えることで改善を促します。

人事に関わる者に必要な能力


人事に関わる者に必要な能力は、柔軟な発想力クレバーな視点、そして信頼です。直属の部下の報告に頼るだけでなく、一般職員とも十分なコミュニケーションを取り、施設全体を掌握してください。

■著者■ 
吉田 匡和
介護ライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。

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