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本当の給料は?初任給以外に知りたいこと


制作:経営会議ドットコム 編集グループ

就活生が知るべき「初任給だけでない本当の給料」

ここ10年余りの大卒初任給は平均20万円、ほぼ横ばいで推移しています。
就職サイトを見ても、有名な大企業、聞いたこともない中小企業、最近話題のベンチャー企業も、ほぼ似たような金額。ではどこに就職しても同じかというと、そうではない。
初任給の裏側には就職サイトでは伺い知ることの出来ない本当の給料が隠れています。
志望する会社の本当の給料を知るためのチェックポイントをまとめてみました。

1.残業手当


初任給の定義が厳密に定められている訳ではありませんが、通常、入社して最初に受け取る予定給与、厳密には4月1日入社の場合、4月25日支給分は日割り計算されるので、2度目(この場合なら5月25日)に受け取る予定の給与の事です。
通常、企業説明会などで、基本給+諸手当と説明される中には、住宅手当や営業手当などが含まれています。
一方で通勤手当や時間外手当、歩合給などは含まれません。
この中でも、特に時間外手当額は企業や仕事内容によって、ずいぶんと違いがあるので注意が必要です。

時間外手当は、残業した時間に応じて支給される手当は、時間単価×割増率(125%~)×残業時間数で計算します。
一目瞭然、残業時間が多いほど手当は増えます。割増率は法令上125%以上となっていますが、だいたいどこも125%のようです。
時間単価がやっかいで、通常は「基本給+諸手当」を月の所定労働時間で割って計算しますが、月給のどこまでを諸手当に含めるのか、企業によってマチマチ。労働法で定められていますが、法の解釈が企業により様々です。

結果、仮に月給20万円でも、満額で単価計算する企業もあれば、15万円や12万円で計算する企業もあります。20万円と12万円なら、同じ残業時間でも、給与にすれば、約1.7倍違うこととなります。

さらに厄介で、外から見えにくいのが残業時間数です。
1つは、業界や会社、あるいは同じ会社でも部門や仕事内容により残業時間数は大きく異なる点です。

銀行などは長時間残業を常とする仕事ですが、外回り営業の場合、通常5時半とか6時に帰社する事が求められています。しかし、この時点で定時を超えていますので、そこから1日の資料作りを始めれば、当然それらは残業して作成することになります。構造的に残業のある仕事です。
一方、同じ銀行でも内勤者の場合は、資料作成は日中に行うこともできるので、一概に言えませんが、外回り営業と比べて残業時間は少なくなります。

システムエンジニアの場合なら、受託したシステム開発の納期が迫っているにも関わらず、計画通りの進捗でなければ残業してでも開発を進めるでしょうが、担当する開発案件が少なければ、定時通りに帰ることができるかもしれません。

このあたりの実態は、先輩社員からの生の声が役に立つでしょう。
場合によっては、社員から届くメールの時間や、夜遅くに会社の前まで行ってみて、実地で検証する方法もあります。

一方、裁量労働制やフレックスタイム制度など、厳密に実残業管理しない方法があります。例えば、裁量労働制とは、労使間で実際の労働時間に関係なく、あらかじめ定めた時間働いたものとみなす勤務形態を言います。勤務時間が実際には5時間であっても、あるいは12時間であっても、会社は「8時間働いた」とみなします。
「しっかり自分で管理してくださいね」ということです。

さらに厄介なこととして、残業時間の運用方法があり、これは先輩OBに聞いてみても、なかなか本音が聞き出せない所です。
定時になったら、たとえ仕事中でも、管理職が全員のタイムカードを打刻する企業や、勤務時間後の自主的な勉強会と称して、全員を残して通常勤務をさせる企業など、笑えないといいますか、いずれも法令違反となるような話も聞こえてきます。
これらの企業の場合、表向き月の残業時間は平均20時間となっているものの、実態はその数倍です。

逆に、ある企業で研修を行った際の筆者の経験ですが、カリキュラム進行が押してしまって、10分超過して昼休みに入った際、受講生が何やら騒ぎ出すので何かと確認したところ、「超過10分は残業になるのか」という事だったようです。
これは後で実際に残業時間にカウントされたようで、「そんな固いこと言わなくても…」と思いましたが、残業時間を厳密に管理すれば、こういう事です。

このように、企業ごとに残業時間の運用方法の実態は様々であり、それが月、年と重なっていけば、初任給の差など全く関係のないくらいの残業手当となり、給与格差を生むこととなります。

2.生涯賃金


企業が初任給を決める第一の基準は「世間相場」です。
自社の初任給が世間相場を大きく下回っていれば、いくら会社や仕事に魅力があったとしても、多くの求職者を集めることは出来ないでしょう。
ましてや、全体の90%以上を占める中小企業や、競合他社とそれほど変わらない仕事をしている企業なら、初任給の低さは致命傷となり、自社の採用戦略失敗の要因となります。

したがって、例え中小企業であっても、「半人前の新人に高い給料は払いたくない」と考える企業であっても、初任給は世間相場と余り変わらないレベルで決まります。

一方、入社後の給料、昇給や賞与を決めるのは、世間相場だけではありません。
むしろ世間相場に代わって「会社の業績」や「他の社員とのバランス」、「個人の成果や能力」「個人の会社への貢献度」「その個人が替えの効かない人材か」など、複雑な「大人の事情」の中で決まっていきます。

いずれにせよ、給料の上がり方は、それぞれ企業次第ということとなり、これは年数を重ねる毎に、大きな差を生み出します。

例えば、初任給がいずれも20万円の2社があり、A社は毎年3%ずつ昇給、B社は毎年0.5%ずつ昇給した場合、20年後にどれくらいの差が出るか見てみましょう。

 A社: 20万円×1.03×1.03×・・・・=20万円×(1.03)20-1=約35万円
 B社: 20万円×1.005×1.005× =20万円×(1.005)20-1=約22万円

A社は初任給の倍近くとなっていますが、B社はほとんど初任給と変わりませんね。
「会社の業績」や「他の社員とのバランス」などの事情により、大きな格差が生まれます。

最近では年齢別のモデル給与を示す企業も出てきています。
また上場企業なら、有価証券報告書を見れば社員の平均年齢と平均年収が書かれているので、それを参考にしたい所です。
ちなみに、上場小売業各社の平均年収を示します。

上場小売業各社の平均年収(平成27年度)

平均年間給与 平均年齢
イオン(株) 8,223千円 45.5才
(株)ファーストリテイリング 7,696千円 36.9才
(株)ヤマダ電機 4,214千円 34.5才
(株)三越伊勢丹ホールディングス 8,330千円 46.1才
(株)ドンキホーテホールディングス 6,467千円 37.2才
(株)ライフコーポレーション 5,112千円 39.7才
(株)ローソン 6,447千円 39.8才

上場小売業で見ても、このように企業間で差が出ます。
概して、百貨店の給与水準は高く、スーパーマーケットや専門チェーンの水準は低くなっています。(専門店でもユニクロの検討は光ります)

しかしこれらは、あくまで現時点の水準であり、今の新入社員の20年後の姿を保証するものではありません。
これら企業の中でも、逆転が起こったり、あるいは全く違う企業がランクインしてくるなんてことも大いにあるでしょう。

生涯賃金を考えた時、企業を選ぶ就活生の眼力も試されます。

3.福利厚生


福利厚生とは、企業が社員に対して給与にプラスして支給する、非金銭的な報酬の一種です。
内容は企業によって様々ですが、ウィキペディアでは福利厚生の例として、住居(家賃補助、借り上げ、社員寮、貸付金等)、保険(健康保険、雇用保険、団体保険等)、年金(厚生年金、共済年金、企業年金等)、勤労者財産形成貯蓄、子育て支援、資格支援、保養所、社員食堂、社員旅行、クラブ活動、実業団の補助を挙げています。

特に着目すべきは、住居関連の福利厚生、中でも貸付金は要チェックです。

通常、私たちはマイホームを、銀行から住宅ローンを組んで購入しますが、その住宅ローンの替わりとなるものが貸付金制度です。
つまり社員は銀行からではなく、会社からお金を借りて家を買うこととなります。

これの何が要チェックかと言いますと、そのお得感です。

実例を挙げてシミュレーションしましょう。
例えば3000万円を30年固定、利息3%で銀行ローンを組んだ場合、利息を含めた総返済額は4500万円以上、つまり利息だけで1500万円以上を払うこととなります。

ところが会社からの貸付金の場合、当然利息は銀行金利を大きく下回ることになるでしょうから、同様に30年、例えば利息1.5%で借りた場合、総返済額は約3700万円、つまり利息だけで約800万円もお得な計算です。

この800万円の差、見過ごすことの出来ない額ですが、マイホームに縛られてしまって、会社を辞めたくても辞めにくい難点があります。
同様の効果は、家賃補助は借り上げ制度にもあります。

一方、福利厚生から就活生が真っ先にイメージする社員旅行、ベンチャー企業を中心に毎年、海外旅行へ行くことをアピールしている企業もありますが、例えば100人の会社が毎年ハワイへ行くだけでかかる費用が2000~3000万円、少なくはない旅行費用は、給料にその分だけしわ寄せが来ると考えるのが自然です。

最近は負担感が増したのか、福利厚生をアウトソーシング化したり、縮小したりする企業も増えてきました。
非金銭的な報酬で社員を会社に繋ぎ止める効果が、最近の若者の価値観の変化も相まって、薄れてきているのかもしれません。

就活生があまり意識することは少ないかもしれませんが、意外とその内容によっては差がつく、隠れた給料「福利厚生」は要チェックです。

4.退職金


自己都合であれ、会社都合(定年退職含む)であれ、退職金を支給する企業は依然として多いです。

退職金制度には、長年会社に貢献してくれた社員に対する功労報奨的な意味合いもありますが、在籍社員の繋ぎ止めという意味合いも多分にあります。

厚生労働省のデータによると、従業員規模別にみた定年時の退職金額(大卒)は、1000人以上規模で約2500万円、100~300人で約1600万円と、大企業ほど退職金額は多い傾向になります。

これから就職活動をされる方にとっては、現実感の無い話ではあります。

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