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元教員・施設採用担当者が教える『新卒者採用のためのウラ話!』


制作:吉田 匡和(フリーライター)

元教員・施設採用担当者が教える『新卒者採用のためのウラ話!』

介護業界は空前の人手不足。景気が回復しても求人につながらず、思ったように事業展開ができない施設は多いでしょう。これまで介護福祉士の輩出先であった養成施設も年々学生数が減少し、新規採用も難しくなっています。元専門学校教員・元施設採用担当者の2つの職歴を持つ筆者が、新卒者採用のためのウラ話を紹介します。

超売り手市場! 就活せずに内定


厚生労働省の発表では、2025年までに必要な介護職員は249万人であると言われています。しかし2015年度の介護関連の有効求人倍率は4.24倍!ある専門学校では8割の学生が夏休み前に実習先から内定をもらったそうです。

接触のチャンスを無駄にしない


施設が学生と接触するチャンスは、企業説明会か介護実習くらいと少なくないもの。そのチャンスを逃す手はありません。しかしそれにはこのような、メリット・デメリットがあります。

・企業説明会

<メリット>
たくさんの学生に事業内容をアピールできる。

<デメリット>
自主参加型の形式をとることが多く、人気がなければ誰もブースに来ない。

筆者は一般企業と合同の企業説明会に参加したことがありますが、介護関連を希望する学生は少数。しかも新設施設のためネームバリューもなく介護実習も受け入れていないと言うトリプル・パンチを食らいました。しかし、わずかでも参加してくれている学生は施設に関心を持っているはずと思い、ネガティブな部分も包み隠さず誠意をもって話しました。

<アドバイスポイント>
説明会では人数に応じて説明内容を変えることも必要。よい点のみをアピールするのではなく、ネガティブな部分もきちんと話し、それに対する改善への取り組みを説明。学生に誠実さを印象付けましょう。

・介護実習

<メリット>
介護実習は1か月以上に渡り行われるため、事業所も学生も互いに理解が深まる。

<デメリット>
実習生に対する対応が悪かったり、施設自体に問題がある場合、学生間でネガティブな情報が拡散され、評判を落とす。

ほとんどの学生は介護実習で初めて「社会」に触れます。そこで気になるのが「施設内での人間関係」です。実習生に対して適切な指導ができていない、常に職員が施設への不満を漏らしているようであれば、実習の受け入れは百害あって一利なしと言えます。

<アドバイスポイント>
介護実習の受け入れは諸刃の剣。施設のサービスや人間関係に自信がない場合、一旦介護実習を中止し、内部改革に努めてください。

採用のチャンスは2回


夏休み前後が就活のピークですが、年末から年明けにかけて第二の就活ピークが起こります。選り好みしすぎて最初のピークに乗り遅れた学生や、他の施設を不採用になりまだ内定をもらえない学生が就活しています。

この時期に就活している学生は「優秀」と呼べる学生ばかりではありません。応募書類を見ても「履歴書に修正テープを使用する」「印鑑を二重押しする」「老人」の老の字を「考」と書くなど、面接をしなくても不採用になった理由がわかる学生が多く見られます。人手不足を理由に、そうした学生を採用する施設もありますが、しっかりと教育ができない限りお勧めはできません。

<アドバイスポイント>
人物的に採用を迷うような学生は、現場にトラブルを呼び込む元。本人にとっても働きやすい職場にならない可能性もあります。採用は慎重に行ってください。

口コミにより拡散される「よい施設」「悪い施設」


施設側が学生を選ぶように、学生も施設を選びます。何と言っても有効求人倍率は4.24倍。選ぶより選ばれる方が多いと言っても過言ではありません。学生たちはこのように情報を得て就職先を選んでいます。

・介護実習での評判を重視

実体験や仲間の体験談はもっとも信憑性の高い情報です。「指導者が厳しすぎる」「派閥がある」「職員の入れ替わりが激しい」「待遇が悪い」などの口コミが広がると採用は絶望的です。

・先輩の情報を重視

養成校は多くの施設に卒業生を輩出しているため、学生とも独自のネットワークを持っています。当然のことながら、良い評判のみならず悪い評判も耳に入ります。学生の就職に関して卒業生の情報は「リアルな情報源」になっているようです。

・担任のアドバイスを重視

専門学校などの養成校は担任制を採用していることが多く、担任のアドバイスを参考にしている学生は少なくありません。もちろん学生の希望する施設をダメ出しすることはありませんが、評判のよくない施設に就職させるのは心苦しいもの。「その施設もいいけど、こんな施設もありますよ」と他の施設を紹介することはあります。

<アドバイスポイント>
3つのアドバイスを総合的に判断し、「よい施設」「悪い施設」の判断を下しているようです。客観性に欠けますが、情報によってイメージが左右されるのは仕方ありません。以前、校内で説明会を開いた際に、評判が悪すぎてその施設だけ誰も参加しなかったことがありました。筆者自身もその施設には良い印象がなかったので、あながち判断は間違ってはいない気がします。

「働きやすい職場で長く勤めたい」学生の希望はその一点につきます。敬遠される施設は、そうした魅力に欠けているのです。介護保険の改正による報酬の減少や、人材確保など施設経営には様々な問題がありますが、働く側に立ち実践している経営者や管理者はどれくらいいるのでしょうか。そうした改善が図られない限り、よい人材を確保することは難しいと言えるでしょう。

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■著者■ 
吉田 匡和
フリーライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。

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