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従業員満足度を第一に売上前期比1.5倍の訪問介護経営とは?

株式会社icare代表 鎌田陽平さんインタビュー


制作:山崎テツロウ(フリーライター・インタビューライター)

従業員満足度を第一に売上前期比1.5倍の訪問介護経営とは?

株式会社icareは東京町田市を中心に訪問介護サービス、放課後デイサービス等の事業を展開しています。平成25年の設立から常に業績を伸ばし続け、今期に「売り上げ前期比1.5倍増」の事業計画のもと町田市内に新たな事業所も複数開設予定です。今回は代表の鎌田陽平様に福祉介護業界の悩みでもある「人材の育成」「従業員の満足度」について話を伺いました。

-鎌田様、本日はよろしくお願いします。早速ですが、鎌田様が福祉介護の業界に入ったきっかけや現在この業界で大切にしていることなどありましたら教えてください。

よろしくお願いします。私はもともと飲食業界におりまして、系列会社からの出資で今の事業を経営しています。その中で特に大切だと感じるのは「価値」を追求することです。これは単に利益を追い求めるだけはなく、しっかりと誠意をもってそれを追求することで、その価値には「感謝の連鎖」が付いてくると感じます。

飲食業界にしろ福祉業界にしろ、サービスを通して「有り難うございます」のやり取りを行います。本当に良いサービスには心からの「有り難う」があって、それは私たちの側からも同じです。その感覚が連鎖していって、一人一人のやりがいにもつながっていくと感じますね。

「感謝の連鎖」は利用者の方にとっても働く人にとっても、「人の輝き」を生み出してくれる

▼「感謝の連鎖」は利用者の方にとっても働く人にとっても、「人の輝き」を生み出してくれる

-福祉介護の業界では離職率の高さや慢性的な人手不足が問題になっていると思うのですが、その「人を大切にする」という点で意識していることなどはあるのでしょうか

確かに福祉介護業界は常に人手不足になっている業界です。そしてその中で行われる採用は「手を補充する」という形になっている印象です。「どういった人に来てほしい」、「どういう風に一緒に働きたい」という部分ではなく、「この仕事をやる人が足りないからとりあえずその仕事をできる人を集める」というものです。しかし、それではどうしても働きだしてからの満足度や充実感といったものを感じることはできないと思います。

私はやはり採用の段階から、自分自身がしっかりと話をする時間を設けて自分たちの持つ理念に共感してくれる人を探しています。それは雇用形態の違いに関わらず大切にしています。もちろん採用担当者の立場に立てば「それでは人が集まらない」という難しい部分もあると思います。

ですが、全体で成長していくことのできる一人一人の満足度が高い組織を作っていく上では、どこかで採用に関わる負の連鎖を止めなければいけないと思いますね。「足りない仕事」ではなく「目標や理念に共感してくれる人」にこだわることです。これはどれだけ会社が成長しても続けていきたいですね。

-では採用後のことをお聞きしたいのですが、実際に働かれている従業員の方が毎期の目標や理念を共有していくことができるように取り組まれていることなどはあるのでしょうか

最初の「価値」に関わる部分でもありますが、その点に関しては働く人が自分たちのやっていることや仕事に誇りを見いだすことのできる経営計画、成長戦略をつくることが私の使命だと思っています。従業員が「共有したい」と思える計画ですね。それは働く人たちのやりがいにつながると思います。まずはその部分をしっかりと考えます。

そして年間の事業計画は全員と共有するようにしています。売り上げの状態から3年先のプランまで事業計画書は正規、非正規関わらず全従業員に公表しています。発表の場として年度の初めに全員で集まって私自身が行うプレゼンを用意しています。「会社は今ここにいて、今年はここまで行きたい、その目標は来年のこれにつながっているんだ」ということを明確に宣言します。

月々の売り上げであるとか、ルーティン的な仕事ではなく、組織的な大きな成長の中で何をしていくのかをしっかりとわかってもらうようにしています。その上での一日、一カ月の仕事があるんだという意識ですね。

そして「会社の成長は皆さんのおかげだけど、最終的な失敗は全部私の責任です」というところに押印しています。これは「自分(経営者)の事業計画が働く人にとってやりがいのあるものだったのか、本当に良い目標を定めることができたのかという部分なので、その責任はすべて私にありますよ」ということを明確にするためですね。

-従業員の日々の声などを聞く機会などはあるのでしょうか

もちろん現在の事業規模もあるとは思いますが、私自身が現場に出て顔を向き合わせてちょっとした変化や思っていることなどを吸収するようにしています。特にこれまでの3年間、スタートの3年間は現場第一で肩を並べてやってきました。

また月に1回の月間報告を直接私宛にメールしてもらうようにしています。これも形骸化してしまわないように「なぜこの月報をやるのか」の部分を明確にしていて、優等生的な答えではなくて会社に対して思っていることなどをばんばんぶつけてもらっていますね。結構「痛い指摘」もあって私自身も学ばせてもらっています。

「経営者と従業員の良い意味での「近さ」を感じる雰囲気

▼経営者と従業員の良い意味での「近さ」を感じる雰囲気

-従業員の満足度で言えばキャリアアップなどのアセスメントが不透明な部分は不満につながりやすいと思うのですが、そういったところでは何かやられていますでしょうか

評価で言えばこれも先ほどのプレゼンの時に配る事業計画に明確にフローを掲載しています。どういったポジションがあって、それにはどういったスキルや経験、資格が必要であるのかとか、さらにそのポジションになった時の給与はどうなるのかとかですね。細かく提示し全員と共有しています。

評価の場合には何を評価されるのかがわからずにいると「結局あの人は上司に気に入られているから」などの不満が生じると思います。そういった不透明な部分を無くして、誰が見ても客観的に判断できる一つの指標としてキャリアアップのフローを用意しています。

もちろん、すべて事務的に片づけるのではなくそれに合わせて毎年、社員一人一人と私が話をしてからポジションなどを決めていくことも忘れないようにしています。これもやはりどれだけ企業として成長していっても大切にしたい時間ですね。

-有難うございます。すみません予定のお時間にかかってしまいまして。最後に、社内の出来事などで印象的なエピソードなどありましたらお教えください

最近で一番印象に残っているのはバレンタインデーのお返しですね(笑)

-バレンタインデーのお返し?と言いますと。

バレンタインデーに女性陣から男性スタッフ全員に「義理チョコ」のプレゼントがあったんですよ。それのお返しにですね、icare男性陣で「i Soul Brothers」を結成して深夜にジャケット写真を撮影してマグカップにプリントしてお返ししました。

-ジャケット写真ですか(笑)

何カットも取り直して、それでプロのデザイナーに頼んで加工してもらって作りましたね。これです。

-クオリティー高すぎませんか!?ちなみに女性陣の評価は?

「いらねー!!」でしたね(笑)ただ、こういうことを全体で楽しむことのできる組織でありたいと思いますね。スタッフの一人一人が「ここに居たい」と思えるような会社で、さらに会社が成長していけることが一番ですね。

-今日は貴重なお話を有難うございました。

女性スタッフに不評でも男性スタッフの団結は強まったそうです

▼女性スタッフに不評でも男性スタッフの団結は強まったそうです

今回、鎌田様に伺ったポイントは以下の5点です。
「価値」を追求することが全体の意識を統一することにつながる
・採用は「人手が足りない」で選ぶのではなく、最後まで「共感してくれる人」にこだわる
・経営側のデータも含めて事業計画を従業員に公表することが、全員の目標の明確化につながる
直接話を聞く機会を設け、それが形骸化してしまわないように留意する
キャリアアップのフローを明確にして公開する

どれも経営者側の労力を必要とするものかもしれませんが、成長し続けることのできる組織作りには欠かせないものです。スキルフルな人材が不足しがちな介護福祉業界にあって、成長を続けるにはどれも必要不可欠な努力ではないかと感じました。

■著者■ 
山崎テツロウ
フリーライター・インタビューライター元私立学校教諭。現在、フリーランスのライターとしてノンジャンルに取材・執筆を行う。雑誌、WEB媒体においてインタビュー記事を多数執筆中。インタビューライターとして、インタビュー取材をもとにしたインタビュアーのセルフブランディングサポートも行っている。
公式HPはこちら【http://www.nomadic-kogamo.com

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