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家族が見ている高齢者介護施設のこんなところ


制作:吉田 匡和(フリーライター)

家族が見ている高齢者介護施設のこんなところ

普段職員が気づかないことも、ご家族にはとても気になることがあります。現在の施設の状況を、ご家族の視点になって施設内をチェックしてみましょう。

職員は快く迎えてくれるか


受付の印象で施設全体が評価されるといっても過言ではありません。心の中で「また来たよ」とか「今忙しいのに」などと思いながら、作り笑顔を見せたところで見破られてしまいます。ご家族は「いつ来ても、突然の訪問にも笑顔で対応できるか」を見ているのです。

<対策>
素早く笑顔で対応することが望ましいため、受付付近には電話連絡の多い生活相談員や、会計やケアプランの作成など集中力を必要とする職員の配置は避けましょう。

臭いが気になる


施設職員が慢性化して気にならなくなるのが臭いです。高齢者は、加齢による独特の体臭があります。また、便や尿の失禁、おむつ交換などの臭いや、食べ物がこぼれた後に十分な清掃がされていないことも臭いの原因となります。

<対策>
時間を決めて換気と清掃を定期的に行いましょう。食堂の椅子は介護職員の目線できれいでも、座ってみると端に食べかすが詰まっていることがあります。交換し終わったおむつも、密封して素早く処分しましょう。

居室内は整えられているか


タンスの中の服はぐちゃぐちゃ、他人の物が混じっている、衣類が紛失している、部屋が汚れているといったクレームを受けることがあります。特別養護老人ホームでは膨大な量の衣類を施設で洗濯するため、衣服のトラブルが起きやすいのです。清掃については「職員の目線」だけで行うと、きれいにはなりません。

<対策>
洗濯物の種類と枚数を確認することで、紛失や入れ間違えを防ぐことができます。また、その季節に着ない服を別に保管するなどして枚数を減らし、整理しやすくします。
清掃はお客様目線になってください。立っている状態、座っている状態、寝ている状態では見える景色が異なります。ベッドのサイドレール、洗面台の裏側などにも気を配りましょう。

身だしなみに気を配られているか


ご家族の中には、家庭で介護が困難なため断腸の思いで入所に踏み切った人が少ないため、ぞんざいな扱いを受けていたら怒りとともに後悔にさいなまれます。ご家族はこのような点を見ています。

・爪や髭は伸びてないか、目ヤニや涎、鼻くそがついてないか
巻き爪のため切りにくい、肌が弱く髭がそれない、眠っていることが多いので目ヤニが多いというのは言い訳と捉えられます。ご家族がその姿を見たらどう感じるかということを第一に考えなくてはなりません。

・服装の乱れや汚れはないか
食後何時間も経過しているにも関わらず、衣服が食べ物で汚れているのは、職員の目が十分に利用者に届いていない証拠。洗濯で縮ませたり、漂白剤でまだらになるのもクレームの原因になります。

・髪は整えられているか
寝たきりの人に多いのが、寝癖がついたままの状態です。家族がオーダーしたとおりのヘアースタイルにならず落胆されることも!施設に入っても、凛とした姿を期待しているのです。

<対策>
保清はご家族の面会に限らず、普段から行われていなくてはなりません。ケアプランに盛り込み、「必ず行うべきこと」として共通認識を持つとともに、確実に行われているか定期的にモニタリングすることが大切です。

プライバシーが守られているか


ロビーなどのオープンスペースで話をしている場面を見かけますが、ご家族から「ここでは話せないので個室でお願いします」とは、なかなか切り出せません。ご家族からの相談はプライバシーに配慮しましょう。

<対策>
オープンスペースでプライベートな話をすると、周囲に漏れる危険がありますし、普段のプライバシーの保護も疑われます。相談内容によって相談室や会議室などの個室を使用するか、どうしてもオープンスペースしか使用できない場合は、ほかの人から離れた場所を選びましょう。

職員の行動が気になる


無駄話をしている職員はいないか、表情が疲れ切っている、覇気がない職員はいないか、ニックネームや「ちゃん付け」で呼んでいないか、職員の行動に対しても敏感に察知しています。特にトイレでの介護は密室であることから、廊下まで聞こえていることを忘れて、お客様を怒鳴ったり、乱暴な口調で話していることがあるので要注意です。

<対策>
本来は職員間で注意しあったり、所属長が注意すべきですが、すでに慢性化して気づかなくなっているか、注意できる関係が築けていない場合があります。施設長や管理者が速やかに注意を与え、改善を求めるべきです。

多くの施設を見学すると、中に入っただけでホッとする雰囲気を感じることがあります。それは、お客様と職員の関係により生まれる温もりであり、施設の体温と言えます。ご家族の視点を忘れずに、暖かさを感じ取れる施設を目指していきましょう。

■著者■ 
吉田 匡和
フリーライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。

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