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家族から「虐待だ!」。介護施設のクレーム対応方法は?


制作:吉田 匡和(フリーライター)

家族から「虐待だ!」。介護施設のクレーム対応方法は?

お客様やご家族様には100パーセント満足いただきたいと思っていても、時として苦情が上がることがあります。施設の落ち度が原因の時もあれば、お客様やご家族の勘違いもあるでしょう。どのような理由にせよ、真摯に対応しなければ火に油を注ぐことになります。事例に基づき、気を付けなければいけないポイントを紹介します。

突然のクレーム


ある日の夕方、ショートステイを利用しているS様の息子さんのT様から電話がありました。「あんたの施設はひどい所だ!オヤジがベッドに寝たいと言っているのに、車椅子に座らせて放置しているんだから!」大声でそうまくしたててきました。

話を聞くと、T様は、本日の午前中から昼ごろまで施設にいらっしゃっていてS様と一緒に過ごしていたのですが、S様が「部屋に戻って横になりたい」と言っても、職員は何の対応も行わなかったことに立腹し、「あれは放置だ、この施設は虐待している」と怒りをあらわにされていたのです。電話で済まされる様子ではなかったため、30分後に来館いただく約束を取り付け、電話を切りました。

・POINT1 まず話を傾聴する
言葉をさえぎったり、施設の言い分を伝えるのはご法度。まずはじっくりと傾聴しましょう。
・POINT2 クレームは直接伺う
電話で一方的に話していると相手はエキサイトします。クレームは直接伺いましょう。

介護スタッフへ確認


介護記録には、お昼過ぎからベッドで休まれていることが記載されていました。介護職員に聞くと、「寝たきりを防ぐために午前中はラウンジに来てもらい、車椅子から椅子に移って過ごしてもらっていた。食後T様が帰られた後にベッドでお休みいただいた」とT様の話の内容と食い違います。

T様はちょくちょく施設に見えられていたようで、お父様と過ごされると言うより、職員に話しかけていることが多かったようです。T様と同年代の50代の主任、30代のリーダー、新人職員など女性が多く、「キスをさせてほしい」とか、「いいオンナだ」などと言われた職員がいることが分かりました。特に30代のリーダーY子を気に入っていたようですが、その日は忙しくあまりT様の話を聞くことができなかったと言います。「もしかしたら」と言う思いが頭を過りました。

Y子と一緒にT様の元に行き、「この度は失礼をいたしました」とY子が詫びると、先ほどまでの怒りはどこへやら。「いいんだ、おネェちゃんに謝ってもらわなくても大丈夫。大声出してごめんね」と言って帰って行きました。数日後、今回の一件が嘘のように、T様のお迎えで何事もなくS様はご自宅に戻られました。

・POINT3 日々の記録は、施設ではなく『個人を守るため』のものである
一職員が名指で訴えられた場合、法人は個人を守ることができません。職員にはそのことをよく伝え、記録にあたるよう指導しましょう。
・POINT4 お客様からセクハラを受けることがある
女性介護職員がセクハラ的な発言を受けることがあります。新人職員などはどう対応してよいか分からず困惑しています。共通した対応を検討しなければなりません。

 

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クレーム再び


数日後、再びT様が来られ、「この間はオヤジを人質にとられていたから引き下がったけど、やっぱりここはひどい施設だ」と言って怒鳴り込んで来ました。個室に案内して施設長と話を聞くことにしましたが興奮し、新入職員A(女性)を呼ぶように求められました。その時の会話は下記のとおりです。

私 「ご満足していただけなかったことについてお詫びいたしますが、当事者をここに連れてくることはできません」
T様「前回はきれいなおネェちゃんが来てくれたじゃないか」
私 「Yはリーダーなので、介護職員の代表としてお詫びさせていただきましたが、Aは一般職員です。またS様がお帰りになった現在、T様がユニットを訪れるのもご遠慮いただきたい」

その間に、S様のケアマネージャーも到着し、第三者を交えて話し合いが行われましたが、平行線をたどるばかり。「警察に訴えるぞ」と言うので、「どうぞここで通報ください」と言うと、おもむろに110番通報しましたが、たしなめられたのか段々トーンが低くなり、「もういい」と言って帰って行かれました。

・POINT5 必ず二人以上で話を聞く
クレームがあった場合は必ず2人で話を聞きます。これは相手とのやり取りに相違がないか確認するためであると同時に、相手より複数になることで抑制する効果があります。
・POINT6 第三者を交える
公平性を保つため、クレーム対応の中にも第三者の介入を求めた方がよいでしょう。
・POINT7
相手の勘違いや原因が明らかでない場合は、サービスに満足いただけなかったことを謝罪します。

市町村などが高齢者虐待の通報を受けた場合、48時間以内に立ち入り調査が行われます。
虐待の事実がなければ資料を整え、落ち着いて対応しましょう。

■著者■ 
吉田 匡和
フリーライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。

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