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施設長・管理者に耳を傾けてほしい介護職員のホンネ


制作:吉田 匡和(フリーライター)

施設長・管理者に耳を傾けてほしい介護職員のホンネ

きちんと現場を把握していないと、職員の退職や事故がドミノ倒しのようにやってきます。ここでは、施設長や管理者が耳を傾けるべき介護職員のホンネを紹介します。

職員数の見方の違い


施設長や管理者は、職員数を国の基準を満たしているかといった「数字」で見がちですが、職員は、自分たちの負担がどれくらい軽減されるかと言う「労働力」で見ます。例え人員基準を満たしていても、それ以上に一人当たりの仕事量が多ければ人手不足ですし、基準以上に配置されても、能力が劣る人ばかりでは労働力になりません。

介護職員の勤務の実態


人手不足や突然の休みなどでシフトが組めず、残業で次のシフトまでつないだり、休日出勤を命じることはありませんか?私は立場上、職員の勤怠にかかわっていたのですが、毎月の介護職員の残業の多さに驚いていました。交代勤務のため、日勤から遅番に引き継げば帰ることができるのですが、実際は居残って仕事を続ける人も多く見受けました。出勤簿には表れないサービス残業が多数存在します。ある介護職員は、退職の理由をこのように語りました。

ストレスと疲労で鎮痛剤が効かず、頭痛で入院しました。休みなのに事故ミーティングやユニット会議は全員参加で、代休や手当もありません。さらに行事の用意を夜勤の前後に行っています。ストレスで蕁麻疹がでているけど、「やらなきゃ」という思いで休みなのに出勤しました。そうしたら施設長に、「休みにまで出てきて大丈夫か?無理するなよ」と言われたのです!勤務時間内で終わらない仕事を押し付けるだけで、人を駒としか思っていない人が何を言うか!?とバカらしくなり、退職を決意しました。

ねぎらいのつもりで言った一言が、「実情を理解していない」と思われたことがお判りでしょう。何よりも優先して行わなくてはならないのは労働環境の整備です。せめてそれに取り組もうとしている姿勢を見せていれば、防ぐことのできた退職だったのではないかと思います。

 

高齢者介護施設の労働環境整備には、内容によっては国から助成金が支給されます。助成金申請については、顧問の社労士さんに相談されるか、こちらのページ助成金申請コンサル・代行会社の一覧比較まとめも参考になさって下さい

 

慢性的な人手不足からくる脱力感


介護職員の退職理由の第2位に、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」が上がっています。現在退職を考えているSさんは、その理由をこう話してくれました。

私の勤める法人は、「自分たちが受けたいと思えるサービスを創造する」という理念を掲げ、職員教育にも熱心だと聞いたので就職したのですが、全然違いました。「お一人おひとりに寄り添うケア」など、慢性的な人手不足では不可能だし、「夢や希望をかなえることを一番の喜びとする」なんて、日常業務に追われて行事どころではない。何より我慢がならないのは、こんな気持ちでお客様に接していること。日々自分が嫌になるんです。

誰でも自分の仕事にプライドがあります。退職理由の「理念や運営のあり方に不満があった」には、本来自分が思い描いていた介護ができず、葛藤の末に辞めていく人たちの無念さが隠されているのです。

 

介護施設の新人離職率0%を実現した新人・若手育成プログラム「リフレクションラーニング」は、こちらの記事でご紹介しています


中途採用の教育方策


国家資格として介護福祉士がありますが、名称独占のため、取得していなくても介護はできます。そのため未経験者も多く採用されますが、人が足りないために、わずか数日で即戦力として求められています。専門学校で2年もかけて習う内容が、中途採用では業務の合間に介護技術を教えられて、わずか1か月程度で独り立ち。夜勤もこなさなくてはならないのです。某牛丼屋の夜間の一人勤務が過酷な労働環境として取り上げられましたが、人の命がかかわっているだけに、この状況が問題視されないのは不思議です。結局プレッシャーに潰されて辞める人は後を絶ちません。

本来であれば時間をとって施設の理解、高齢者心理の理解から始め、介護技術を段階的にレクチャーし、見極めに合格して初めて現場にデビューと言うのが理想ですが、どこも指導者がいなかったり教育に充てる時間がないのが現状です。
施設独自での育成ができないのであれば、法人の負担で介護技術講習会や、介護職員初任者研修の受講を必須とするなど、外部機関を活用する必要があるでしょう。介護職員が定着すればスキルも上がり、地域での施設の評判もよくなり、安定した経営につながるはずです。

 

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最近では「人材」ではなく「人財」と呼びます。人財を大切にしない施設は、職員の労働意欲が減退してモチベーションが下がり、同時にサービスの質も低下します。先日入社1か月で施設を退職した人に理由を聞くと、「前の施設は大変な時でも一丸になろうという雰囲気があったが、ここの職員はいつ辞めようという話ばかりするので、その雰囲気に耐えられなくなった」と話していました。職員のホンネを聞き真摯に向き合うことが、施設長や管理者に与えられた重要な仕事なのです。

■著者■ 
吉田 匡和
フリーライター
福祉業界では20年のキャリアを誇り、福祉系専門学校教職員、老人保健施設相談支援員、特別養護老人ホーム・デイサービスセンター生活相談員、特別養護老人ホーム事務長として勤務。退職後はフリーライターとなり、WEBを中心に活動している。社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーターの資格を保有。

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