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1月から電力会社切り替えの事前受付がスタート

急がれるスマートメーターの設置、全数取り替えにはまだまだ時間が


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

1月から電力会社切り替えの事前受付がスタート

4月からの小売電力の全面自由化に先立ち、1月から電力会社切り替えのための事前受付がスタートします。電力会社を切り替えたいという人が、これまでのアンケート調査で6~7割に上っており、申し込み希望者がかなり多くなることも予想されます。電力会社の切り替えには、手続きにある程度の日数を要する上、スマートメーターの設置も必要となります。4月1日から電気の供給を円滑に受けるためには、ある程度余裕を持った準備が必要となります。そこで、電力会社の切り替えやスマートメーター設置などの手続きなどを見て行きます。

電力会社を自由に選べる


小売電力の全面自由化は、従来の高圧電力需要家いわゆる大口電力需要家に加え、一般家庭や商店、コンビニなどの小口電力需要家すなわち低圧電力需要家を含め、すべての需要家向けの電力が自由化の対象となります。一般消費者などの小口需要家はこれまでは、地域電力会社1社からしか電気を買うことができませんでした。しかし、全面自由化後は、電力会社を自由に選んで買えるようになります。

地域電力会社は北海道から沖縄まで、現在10社ありますが、このほかに新電力と呼ばれる新規参入の電気事業者があります。新電力は特定規模電気事業者(PPS)と呼ばれ、50kW以上の高圧電力需要家向けに供給する電力会社です。

新電力は、これまでの大口需要家を対象とした自由化の過程で、電気事業に参入しました。従来は届出だけで参入でき、現在、経済産業省に届け出た新電力の数は、昨年12月25日現在、802社にのぼります。これらの新電力は、4月からの全面自由化後に、一般家庭などの低圧需要家向けに電気を販売するためには、経産省に、小売電気事業者としての登録が必要となります。改めて登録申請し、審査にパスしなければなりません。

小売電気事業者の登録数は119社(12月21日現在)


小売電気事業者の登録は、昨年8月から事前受付が始まっており、昨年12月21日現在、登録電気事業者は119社にのぼっています。この中には、地域電力会社系の事業者として、関西電力の子会社である「ケイ・オプティコム」、中部電力の子会社である「ダイヤモンドパワー」などがあります。また、主な新電力としては「F-Power」「イーレックス」「リエスパワー」などが名前を連ねています。

さらに、LP・都市ガス系の事業者として、東京ガス、大阪ガス、北海道ガスなどの大手ガス会社もあります。昭和シエル石油や東燃ゼネラル石油などの石油系の事業者、再エネ系の事業者なども参入しています。小売電気事業者の登録申請は現在も続いており、来年4月には、登録事業者の数はさらに増えると予想されます。

全面自由化実施後には、現在の地域電力会社に加え、このように多くの小売電気事業者が電気の小売販売で競争を展開することになります。

電力会社との契約を切り替える場合、こうした数多くの電気事業会社の中から、選択し、契約を結ぶ必要があります。もちろん、現在の電力会社との契約を変更する必要がないと言う需要家の場合、特に手続きをしなくても、4月以降、引き続き電気の供給を受けることができます。

スイッチング支援システムでワンストップサービス


現在の電力会社との契約を変更することは、「スイッチング」(切り替え)と呼ばれます。電力会社との契約変更に際して、電気の供給が一時的にせよストップすることは許されません。電気は、需要家のライフラインでもあり、途切れることなく供給する必要があります。そのため、全面自由化に際して、経産省は、広域機関(広域的運営推進機関)を中心として、電気事業者との間で、「スイッチング支援システム」を構築しています。広域機関は、従来のような地域ごとの電力供給の枠を超えて、すべての地域電力会社や新電力などの加入を義務づけ、電力の全国規模での送配電や、情報の共有化を目指した、いわば電力の司令塔となる機関です。

スイッチング支援システムは、需要家が、電力会社との契約変更する場合、新たに契約を結びたい電力会社に契約を申し込めば、旧電力会社との契約解消はもちろん、電気を届けてもらう電力会社の送配電部門との契約も不要と言うシステムです。

通常、一般の商品、サービスの契約変更の場合、旧契約を解約して新たに契約を結ぶ手続きが必要となりますが、電力の場合、契約変更手続きに時間がかかって供給が途切れることがあってはなりません。そのため、需要家は、新たな電力会社と契約を結ぶだけで、旧契約が自動的に解約され、送配電部門との契約も自動的に行ってくれるシステムです。経産省ではこのスイッチング支援システムを、切り替えの「ワンストップサービス」と呼んでいます。需要家が、新たに契約を結ぶ電力会社を選び、契約申し込みをするだけで、すべて自動的に行ってくれるシステムです。

 

送配電部門との契約というのは、自由化によって、電力会社の事業が、発電事業、送配電事業、小売事業の3つに分かれ、将来的に、別々の事業会社に分かれるため、それぞれの会社ごとに契約を結ぶ必要が生ずるためです。当面は、電力会社の送配電部門の形となりますが、それでも、電気を送配電してもらう契約(託送契約といいます)を結ばなければなりません。

スイッチング支援システムでは、需要家の利便性を考慮し、複雑な契約をワンストップで、契約を自動化することができるのです。

新しい電力会社に契約を申し込む場合には、旧電力会社から送られてきた検針票(電気ご使用量のお知らせ)に記されているお客様番号や供給地点特定番号が必要となります。また、自動車運転免許証や健康保険証などの本人名義や住所を証明できる書類も必要となります。

急がれるスマートメーターの設置


電力会社の切り替えに際して、もうひとつ重要なことは、新しい電力会社から、スマートメーターの設置についてたずねられます。スマートメーターは、次世代型電力計と呼ばれ、通信・情報機能を持った電力メーターです。電力会社では、従来の機械式メーターを、全面自由化を契機に、すべてスマートメーターに切り替えることが決まっており、現在、電力会社はその作業を急いでいます。

スマートメーターの取替えは、電力会社の費用負担で行われますが、取替え台数が膨大なため、全数の取替えには時間がかかります。最も早い東京電力でも、2020年度末までかかります。スイッチングを希望しない需要家は、スマートメーターの設置に関しては電力会社に任せておけばよいのですが、切り替えを希望する需要家では、切り替え先の電力会社の検針の必要上、4月1日までに設置する必要があります。そのため、スマートメーターの取替えが未実施の需要家は、その旨、新たな電力会社に通知する必要があります。

通知を受けた電力会社は、迅速に、スマートメーターの設置工事を実施します。電力会社はそれぞれ、計画に従って取替え工事を進めていますが、電力会社の切り替えを希望する需要家で、スマートメーター取替えが未実施の場合は、優先的に取替えを進めることになります。

まとめ


電力会社の切り替えを希望する需要家は、まず、ライフスタイルにあった料金メニューや電力会社を選び、新しい電力会社に契約の申し込みをします。契約切り替えには3日程度が必要ですが、スマートメーター未設置の場合はさらに1週間程度の期間を要します。契約切り替えからスマートメーター設置まで、約10日間を見込んで、準備する必要があります。電力会社を切り替える需要家は、早目の準備と手続きが大切です。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

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