介護・スーパーマーケット・建築・不動産・飲食業界向けノウハウ・事例・提案資料が多数の情報サイト

590 views

電力会社乗り換えのポイント

小売電力の全面自由化 ライフプランに合った最適な料金メニューは


制作:廣瀬 鉄之介(エネルギー・環境ジャーナリスト)

電力会社乗り換えのポイント

2016年4月から、小売り電力の全面自由化が始まります。電気をどの電力会社からでも自由に買えるようになりますが、そのための電力会社乗り換えの事前手続きが、1月からスタートします。乗り換えを希望しない人は、現在の電力会社のままでかまいませんが、自由化によって、電力会社の競争が始まると、料金の値下げや、さまざまなサービスが登場すると見られます。そこで、私たち消費者は、自由化を控えて、電力会社を乗り換えたほうが良いのか、現在のままの電力会社でよいのか、乗り換えるとしたら、どんな電力会社に乗り換えるとお得なのかなど、電力会社を選ぶポイントを見ていきます。

アンケート調査では8割の人が乗り換えの意向


自由化を控えて、経済産業省をはじめ、さまざまな機関がこれまでに、一般消費者を対象としたアンケート調査を実施しています。経産省の調査では約8割の人が乗り換えの意向を持っていることが分かりました。みずほ情報総研や博報堂の調査では、70~80%の人が、「料金が安くなれば」という条件つきで乗り換えの希望を持っています。経産省の調査は、乗り換える場合、「料金の安さ」のほか、「電気の安定供給」「災害・トラブル時の適切な対応」「経営基盤・財務内容がしっかりしている」など、複数の項目からひとつだけ選ぶ形式となっています。その中では、「料金のやすさ」をあげる人が44%と、他の項目より高い割合となっています。各調査ではいずれも、電力会社を選ぶ際、「料金の安さ」が選択の基準に考えられているようです。また、「安くなれば乗り換えたい」という人が多いことも分かりました。

電力会社を乗り換える、乗り換えないにかかわらず、自由化によって、どんな電力会社が選択の対象となるのでしょうか?
現在の電力会社は、全国10地域で、10社の電力会社がそれぞれ独占的に発電から送配電、小売りまでの一貫体制で経営を行っています。全面自由化が実施されると、こうした既存の大手電力会社は、地域を越えて電気の送配電、販売ができるようになります。そのため、東京電力から電気を購入していた関東地方の消費者も、中部電力や、関西電力から電気を買うことができます。

新たな小売り登録事業者は73社(12月7日現在)


既存の大手電力会社に加え、新電力と呼ばれる企業も電力事業に参入します。新電力は、2000年から実施された電力の部分自由化(工場や大型スーパーなどの高圧電力需要家を対象とした自由化)の過程で、経産省に届け出た電力会社です。4月からの全面自由化は、高圧需要家に加え、一般家庭やコンビニ、小規模事業所などの低圧電力需要家も対象となります。低圧需要家への電気販売は登録制となるので、既存の新電力を含め、あらたに電力事業に進出する場合は、経産省に登録しなければなりません。登録には厳しい審査がありますが、12月7日現在、登録を認められた小売り電気事業者は73社にのぼります。石油、ガスなどのエネルギー関係企業のほか、商社、通信・インターネットサービス会社などさまざまな企業ですが、4月までにはさらに増える見通しです。

既存の大手電力会社や新電力が、全面自由化のもとで、競争することになりますが、消費者に関心の高い料金については、各社とも詳細な料金プランを公表していないので、現時点で具体的な比較は困難です。しかし、電力会社を選ぶ場合の目安はある程度分かります。

既存の電力会社でも料金に違い


既存の大手電力会社の場合、どの電力会社も同様の料金水準と思われがちですが、全国10社の電力会社でも、それぞれ違いがあります。一般家庭の従量電灯料金を比較すると、消費量が月300kWhの平均世帯で、一番高いのは、北海道電力の月額約8100円、一番低いのは北陸電力の約6600円で、約1500円の開きがあります。ちなみに、東京電力は約7800円、関西電力は約7400円です(いずれも2014年4月時点)。

現在、大手電力会社は、2016年4月以降の新料金プランを検討中なので、自由化時点では変わる可能性があります。新料金プランの中で、各社が力を入れているのは、消費者の生活行動(ライフスタイル)にあわせたメリハリのある料金体系です。夜間の時間帯を広げて、料金を安くする一方、昼間の料金体系を割高にする方式です。共働き家庭などを想定した方式で、昼間の電気をあまり使わず、夜間に電気を使用する家庭では、電気料金を大幅に安くできます。

新電力は基本料金を安くできる


新電力の場合、料金プランは各社まちまちですが、既存の大手電力会社に比べ、基本料金は安くなると思われます。電気料金の体系は各社とも基本料金と、使用量に応じた従量料金で構成されます。このうち、基本料金は、発電や送配電の設備コストを反映しています。新電力の場合、自前で発電設備を保有している会社もありますが、大部分は、自家発電設備を保有する企業や既存の大手電力会社などから購入して小売り販売するところが多いのです。そのため、設備の建設、運転に伴うコストは、きわめて小さいのが実情です。したがって、新電力の基本料金は、既存の大手電力会社に比べるとかなり割安になると見られます。割安度は、現在のところ、5~10%程度と言われます。

セット販売で料金を5~10%引き下げ


従量料金に関しては、主に燃料費コストが大きいため、既存の大手電力会社や新電力で、それほど違いが出ないとみられます。そのため各社が力を入れているのが、他の商品と組み合わせたセット販売です。「電気とガス」「電気と通信」などのセット割引を検討している会社が多いようです。具体的な割引率は5~10%程度と見られています。特に大手電力会社は、そうしたセット販売によって、新電力の攻勢に対抗する構えです。

マンションでは一括受電で料金をお得に


マンションの場合、一括受電と言う形で、入居者にお得な電気を供給するところがあります。マンション管理者が、低圧電力に比べ割安の高圧電力を一括して受電し、それを各入居者に届ける方式です。変圧設備などで費用がかかりますが、それでも戸建て住宅より10~15%程度お得になると言われます。

新電力は大手電力会社に比べ、経営規模が比較的小さいため、「電力供給に不安がある」「倒産する可能性がある」と言った心配をする消費者も多いと思われます。しかし、経産省では、小売り事業者の登録審査に当たっては、安定供給を義務づけている上、電気を送る送配電網を保有する大手電力会社に対して、電力需給のバランスの維持を義務づけています。したがって、大手電力会社であれ、新電力であれ、供給面での不安は少ないといってよいでしょう。

(まとめ)


小売り電力の全面自由化によって、既存の大手電力会社同士、大手電力会社と新電力との競争など、販売合戦が激しくなる見通しです。そうした中で、私たちは、料金プランやサービスの内容を見極め、自分自身のライフスタイルにあった最適の電力会社や料金プランを選択したいものです。

■著者■ 
廣瀬 鉄之介
エネルギー・環境ジャーナリスト
産経新聞社経済記者、編集委員として、経済・産業・エネルギー政策等の記事執筆を担当。退社後、経済産業省所管団体「原子力発電技術機構」及び「社会経済生産性本部」で原子力、その他エネルギー関係の広報、出版物の編集に携わる。原子力発電、電力自由化、再生可能エネルギー等に精通。

本テーマに関係する関連記事まとめ