介護・スーパーマーケット・建築・不動産・飲食業界向けノウハウ・事例・提案資料が多数の情報サイト

258,617 views

中小企業社長の適正年収、役員報酬の決め方

意外と決められない経営者の給与を決める5つのヒント


制作:経営会議ドットコム 編集グループ

「他の中小企業の経営者は、どれくらい役員報酬を取っているの?」「社長の給与をどう決めれば良いと思う?」という質問に窮した事があります。

マスコミで発表される報酬ランキングは雲の上の話で、99%の中小企業経営者にとっては他人事です。今回は、幾つかの観点より中小企業社長の適正年収について考えてみたいと思います。

本コラムは約5900字、読むと時間にして約10分かかりますので、時間が無いという方は、とりあえずブックマークして後から読まれることをおすすめします。

1.上場企業経営者の年収とその内訳


話が横道に逸れるかもしれませんが、東洋経済が刊行している『役員四季報』では、上場企業役員の年収について記載があり、その金額が毎年大きな反響を呼んでいます。
2015年版データより、社長の年収トップ5をご紹介します。

■経営者の年収ランキング

経営者名 会社名 配当含む
総額
役員報酬 配当収入
孫 正義 ソフトバンク社長 95億5800万 1億3000万 94億2800万
柳井 正 ファーストリテイリング(会長・社長) 70億6600万 4億 66億6600万
里見 治 セガサミーHLD(会長) 19億7900万 6億3500万 13億4400万
橋本 浩 キョウデン(前会長) 13億3500万 12億9200万 4300万
樫尾 和雄 カシオ計算機(社長) 13億1100万 12億3300万 7800万

「孫さん95億!!!」と金額だけ見ればびっくりしますが、よく見ると、そのうち配当収入が94億と、これは社長の報酬というよりは、株主としての報酬ととらえた方がよさそうで、今回のテーマ「経営者の年収」から、少しずれているように思えます。

そうすると、ベスト5では、12億9200万円のキョウデン橋本前会長が純粋な役員報酬ではトップとなるのですが、これも少し違います。

役員報酬=基本報酬+役員賞与+ストックオプション+退職慰労金

このうち、サラリーマンでいう所の給与や賞与に該当するのが基本報酬、役員賞与やストックオプションは利益変動、株価変動しますから報奨金的な意味合いが強く、退職慰労金は一時的な収入。実は橋本前会長の年収のうち12億6800万円は退職慰労金です。(億を超える退職金もびっくりする数字ですが、それだけの貢献があったのでしょう)

純粋な基本報酬で最も高額なのは、日産のカルロス・ゴーン社長で9億9500万円。社長の年収という事なら、上場企業のNo.1はゴーン社長です。

しかし、約10億という金額が多いのか、少ないのかは意見の分かれる所です。
サッカーのC.ロナウド選手の競技者としての年収(CM収入等を除く)約65億円や、今年調子のあがらないジャイアンツの阿部慎之助選手の5億1000万円と比較をしても、組織や社会への貢献度を考えても、個人的には決して高い金額ではないように思います。
(むしろ孫さんなどは、株主というよりは、トップダウンで社長業に邁進されている姿を見れば、1億3000万円の役員報酬は少なすぎるように感じます。)

とは言っても、これらは上場企業のデータです。

サムライコンサル塾

2.中小企業経営者の平均年収から適正を考える


日本の全企業の99%を占める中小企業のデータを元に考えない限り、今回のテーマに対する答えとはならないでしょう。
ところが、中小企業経営者の年収データがなく、下記のような数字より類推するしかありません。

ひとつは国税庁が行う民間給与実態統計調査より、役員の平均年収のデータです。

企業規模 役員平均年収
資本金2000万円未満 543万円
資本金2000万円以上5000万円未満 752万円
資本金5000万円1億円未満 1037万円
全体 613万円

国税庁:民間給与実態統計調査 平成25年分

このデータの特長としては、国内全法人の役員450万人のデータであるため、母数が多く、かつ納税時のデータですので正確であるという事です。

一方、社長以外の役員も含まれている点、母数が大きすぎるため、様々な理由で報酬をほとんどとっていない人や、約7割と言われる赤字企業の役員も含まれている事より平均値が低すぎる、すなわち経営者の年収とは言いがたい所があります。

もうひとつの参考値は、労政時報が行ったアンケート調査「役員報酬・賞与等の最新実態」より、社長の役員報酬です。

企業規模 役員平均年収
従業員300人未満 3109万円
従業員300~999人 4043万円
全体 4381万円

労政時報「役員報酬・賞与等の最新実態」

これは同社が行ったアンケート調査に返信のあったもの127人の社長のデータです。
他の役員を含まない社長の平均年収が出ているのですが、これは逆に母数が少なく、かつ中小企業の中でも、いわゆる中堅企業、場合によっては上場企業も含まれるデータ、私の印象としてはトップ10%企業の平均データです。

これら2つのデータと、過去多くの経営者とお付き合いした中、これはあくまで推論ですが、例えば企業規模100人前後の中小企業経営者の平均年収で、1500~2000万円といった所が、中小企業経営者の平均年収ではないでしょうか。

では、この1500万円という数字は適正なのでしょうか?
都市銀行の若手支店長クラスで1500万円、総合商社の40才前後の営業マンで1000万円が比較対象です。

責任の重さ、仕事の難易度やハードさは、それぞれにあると思いますが、多くの中小企業経営者はオーナー経営者であるため、彼らには保証人の問題がついて回ります。
企業の借入金の保証を経営者が負い、万が一、企業が倒産した場合も、借入金の返済を経営者が行うという、恐らく日本でしか見られない制度です。
株式会社は有限責任です。しかし経営者が保証債務を負うのなら、それを有限責任とは言いがたいのではないでしょうか。
この保証債務を引き受けるリスクを勘案すれば、経営者の平均年収1500万円は、サラリーマンと比べて低すぎるように思います。
個人的には中小企業の経営者には3000万円以上は貰って欲しいと考えています。

ちなみに上場企業の経営者が銀行借入の保証人になる事はありません。
企業によっては数千億の借入金があり、さすがに個人に保証させるレベルではありません。借金も天井を突き抜けてしまえば、誰も責任を負えなくなってしまいます。

本テーマに関係する関連記事まとめ